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最終更新日:2018.11.21 公開日:2018.11.21

チャイルドシート、いつから前向きで使う?

乳児用から幼児用へ。チャイルドシートを 前向きにするタイミングが早すぎない?

 日本製のチャイルドシートは、乳児・幼児兼用のものが多く、乳児用として使用するときは進行方向に対して後ろ向きに、幼児用としての使用の際には前向きにして使用する。その前向きにするタイミングだが「1歳になったら前向きにできる」という間違った認識を持っている人がとても多いのが実情だ。前向きにする正しいタイミングはいつなのだろうか?

JAFでは、体重が10kg過ぎたら前向きを推奨

頭がはみ出る、足がつかえるなどするまでは、乳児用シートとして後ろ向きに使うのが安全とされる。

 JAFの『はじめてのチャイルドシートクイックガイド』では、赤ちゃんの体重が10kg、およそ1歳頃になったら前向きで使用することを推奨している。ちなみに、赤ちゃんが何か月くらいで10kgになるのか、みなさんはご存じだろうか? 厚労省が発表している平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書によると、以下の通りだ。

赤ちゃんが10kgを超える時期(平均体重数値)
男児/1歳4-5か月=10.03kg
女児/1歳8-9か月=10.16kg

 つまり、チャイルドシートを後ろから前向きに変えるのは、平均的な体重数値から考えると、満1歳ではかなり早いということになる。1歳の平均体重は9 kg前後しかないからだ。

なぜ、早く前向きにしたがるのか?

日本で初めて欧州の最新安全基準i-Size ECE R129(※2)に適合したチャイルドシート「アップリカクルリラシリーズ」。身長83cmまで後ろ向き使用が可能。この身長は、日本の乳児の平均だと2歳半から3歳にあたる。

 筆者は2001年にチャイルドシート指導員の資格を取得し、これまで200台以上のチャイルドシートの実地指導をしてきた。チャイルドシート搭載車を実際にチェックし「チャイルドシートが正しく確実に車のシートに固定されているか?」「チャイルドシートと子どもの身体が合っているか?」「ハーネスの位置や締め具合」を確認。チャイルドシートの正しい使い方をレッスンしてきた。この活動の中で、完璧に正しく装着されていたのは100台中、わずか3台程度。誤装着が非常に多い。その中には、まだ身体が小さく後ろ向きで使うべきなのに、前向きで使っているパターンがかなり目に付いた。

 実際、「早く前向きにする傾向が強い」に関しては、JAFで毎年実施の「チャイルドシート使用状況全国調査」に携わっている担当者も同様の所感を持っているようだ。話を聞いてみると「チャイルドシートが後ろ向きだと、運転中や信号待ちなどで子どもの顔が確認できない、もしくは子どもが前を見たがることなどが理由として想像できます」とのことだった。

欧州の最新安全基準i-Size ECE R129(※2)では、できるだけ長期で後ろ向きに使うことを推奨している

ブリタックス・レーマー「BABY SAFE i-Size」は、日本で販売されるモデルも2012年頃からi-Size ECE R129(※)に対応している。

 欧州は日本と違い、乳児・幼児兼用のチャイルドシートは少なく、乳児専用シートが主流である。日本でも人気のマキシコシやブリタックス・レーマー、サイベックスなどのブランドは、最新の安全基準に対応済み。シートベルトを使わず、チャイルドシートをクルマの固定金具に連結するだけで取り付けられる「ISOFIX」(※1)に対応している。もちろん、新基準であるi-Size ECE R129(※2)にも適合している。

 たとえば、最新のブリタックス・レーマー「BABY SAFE i-Size」(写真)乳児専用タイプでは、

対象身長:40~83cm
対象体重:13kgまで
対象年齢:新生児~15か月頃まで

という仕様である。この場合、身長か体重のいずれかが、上記の範囲を超えたら、前向きに変えるべきであると、レ―マー製品を取り扱う日本法人の担当者は言う。月齢はその目安でしかない。

 ちなみに、レ―マーは欧州のチャイルドシートメーカーなので「対象年齢が15か月頃まで」というのは欧州の赤ちゃんが基準になっている。日本の赤ちゃんの場合、身長83cm・体重13kgはおよそ2歳半~3歳位に相当する。つまり、i-Size ECE R129(※2)適合の乳児用シートならほとんどの場合、後ろ向きで2歳過ぎても使えることになる。 もちろん上述の通り、体重13kg未満でも頭がシートの上端からはみ出したり、足がつっかえたりといった場合は、前向きに変更するのが正解だ。

 早く前向きにしたい母親の気持ちは分からなくもないが、身長か体重が超ええないうちは、メーカーが推奨する後ろ向きで使うべきであろう。一番大事なことは我が子の安全である。

※1:ISOFIX(アイソフィックス)とは、車のシートベルトを使わず、車の後部座席に装備された専用の金具(ISOFIXアンカー)に、チャイルドシートのコネクターをはめ込んで固定する方法。チャイルドシートと自動車を直接連結するので、安全性が高く、簡単・確実に装着できる。 およそ2010年以降、新車として発売された国産車にはISOFIXアンカーが標準装備されている。装備の有無が不明な場合はディーラーに確認を。

※2:i-Size ECE R129(アイサイズ アール129)とは、ISOFIX対応のチャイルドシートに関する最新の安全基準。側面衝突への対策を強化し、従来の「体重」を目安とせず、「身長」をチャイルドシートの乗り換え時期の目安としている。生後15か月までは後ろ向きを義務化している。

2018年9月21日(雨輝・加藤久美子)

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