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最終更新日:2023.01.11 公開日:2023.01.11

お値段なんと4億円! 世界一有名なアストンマーティンの「ボンドカー」が復活し、日本初上陸。気分はまさにジェームズ・ボンド

マイカー選びでお迷いなら、ボンドカーはいかが? 映画『007シリーズ』で登場した劇中車をアストンマーティンが再生産。日本に初上陸を果たした。「DB5 ゴールドフィンガー・コンティニュエーション」って一体どんなクルマ?

文と写真=越湖信一 写真=アストンマーティン

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映画史上もっとも有名なクルマのひとつ

1964年に公開された映画『007/ゴールドフィンガー』撮影時のショーン・コネリーと、ボンドカーことアストンマーティンDB5

「アストンマーティン DB5 ボンドカー」といえば、映画『007シリーズ』のなかで、もっともアイコニックな劇中車だ。このDB5が登場した1964 年公開の映画『007/ゴールドフィンガー』は、この年の映画界で世界興行収入1位の作品になったワケだから如何にこのクルマが世界中の人々の脳裏に刻みつけられたことか。DB5はまさに、主役のショーン・コネリーを食ってしまった存在と言えるかもしれない。

 DB5は1963年に、DB4の後継車としてデビューした。今回ご紹介する「DB5 ゴールドフィンガー・コンティニュエーション」(以下DB5コンティニュエーション)は、生産終了から55年周年を記念し製作されたスペシャルな一台だ。

 この”コンティニュエーション”というのは、第三者が製造したレプリカではない。メーカー自身がエンジニアリング的に製造当時そのままに細部まで復元し、新しく製造したモデルのことを称す。だから、現在のエンジンを流用したり、ボディの素材が当時と違ったりしていてはコンティニュエーションとは謳えない訳だ。

徹底したオリジナルへのこだわり

現代に蘇ったボンドカー、DB5コンティニュエーション

 かつてDB5が製造されていたイギリス・バッキンガムシャー州のニューポート・パグネルで、2020年に生産がはじまったDB5コンティニュエーション。世界限定25台で販売され完売がアナウンスされていたが、実はプリ・プロダクションモデルのシャーシナンバーが付いた個体が一台だけアストンマーティン本社に保管されている。それが日本へやって来たのだ。

 そして今回、このコンティニュエーションモデルを製作したアストンマーティン社内のヘリテージ部門、アストンマーティン・ワークスのプレジデントであるポール・スパイアーズが来日したので、このモデルに関する詳細を聞いてみた。

アストンマーティン社内のヘリテージ部門「アストンマーティン・ワークス」のプレジデントを務めるポール・スパイアーズ

「オリジナルのDB5を徹底的に分解し、スキャンした3Dデータをもとに、熟練した職人の手によって1台あたり4500時間をかけて製作しました。もっとも重要なボディスタイルに関しては8台のDB5をスキャンし、そのデータを最適化しました。このナンバープレートも劇中車と同じナンバー。もちろんスイッチ一つで偽装ナンバーにも変えられますよ」

 そして彼は、得意げに車外へ持ち出せるリモートコントロールボックスのトグルスイッチを動かした。このUKクラシックナンバーと日本のナンバープレートは形状が違うから、この機能は使えないな、と呟く私に、「このモデルは基本的には公道走行の登録はできないからね」とポール。

 でも、”基本的”という単語に反応した私はしつこく彼に問い直した。詳しいことは言えないが、登録もできるようだ。その場合、この素敵な回転式偽装ナンバーは使えないかもしれないが。

ナンバーがくるりと入れ替わるギミックも見事に再現

スペックはそのままに精度は向上

 ボディのキャラクターラインやディティールの処理が完璧なのは言うまでもないが、特にクロームパーツのクオリティは感動的である。

「これらの作業は全て社内で行いました。私たちはアルミパネルを叩くことのできる職人を長年育てています。彼らの熟練した技術によりパネルのギャップも、当時の個体とはくらべものにならないほど均一です。エクステリアやインテリアだけでなく、エンジンブロックも全て新たに製造しています。各パーツの製造精度は55年前と比べると格段に向上していますし、組み上げ後も、しっかりとエージングしてあります」

エンジンブロックまで新たに作り直したというのだから、その本気度には恐れ入る

 なるほど、それでいつも見ているDB5とは一味違ったシャープなアピアランスとなっているのか。基本スペックは当時のままであるが、各部はアップデートされているというワケだ。「トランクからせり上がってくるリアの防弾シールドはオリジナルのアルミより強靱なカーボンケプラーが使われてます」とポールは胸を張る。

ボンドカーを愛車にする

 このコンティニュエーションモデルで心躍るのは、こういった劇中車を再現した特別装備だ。フロントのウィンカーが開いて飛びだしてくるマシンガンのサウンドは劇中のサウンドを正確に再現したというし、ブラウン管式のレーダーの中身は実働するGPSが仕込まれている。ドアパネルに仕込まれたレトロな電話の受話器は、ブルートゥースでスマホとペアリングできるというから、この拘りには思わず微笑んでしまう。

 そもそもこのプロジェクトは、007シリーズの製作会社イーオン・プロダクションズとアストンマーティンとの共同事業によりスタートし、特殊効果の監督として007シリーズを担当したクリス・コーボールドがその監修を行っているという。

シフトノブのカバーを開けばマシンガンの発射ボタンが! クルマの内外に潜むボンドカーの隠し装備の数々はファンならずとも感涙ものだ

 2台のプロトタイプのうち一台はイーオン・プロダクションズにあり、残りの一台が今回の個体だ。テストドライブを行い約3500マイル走ったということで、ちょうど慣らしも終わった絶好のコンディションの一台だ。ボンドカー・マニアの貴方、ここで手を上げてみては如何だろうか。もっとも、275万ポンド(約4億4000万円)を用意しなければならないが……。

<協力>アストンマーティン・ワークス / アストンマーティン・ジャパン / アストンマーティン青山ハウス / Paul Spires

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