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最終更新日:2020.07.17 公開日:2020.07.17

現行車種の安全性能がわかる! JNCAP得点一覧。ダイハツ・三菱・レクサス・輸入車編

国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が、毎年実施している新車の安全性能評価試験JNCAP(自動車アセスメント)。ここでは現行車種の試験結果を一覧にして掲載する。ここでは、ダイハツ、三菱、レクサス、そして輸入車の計29車種を取り上げる。

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ダイハツの安全運転支援システム「スマートアシスト」を搭載した小型クロスオーバーSUV「ロッキー」。その歩行者や車両をセンサーが検知しているイメージ。

ダイハツ「ロッキー」のセンサー(スマートアシスト)が、歩行者や車両を検知しているイメージ。

 JNCAPの2種類ある安全性能評価試験のうち、衝突安全性能評価に関しては、2011年度から2017年度までは208点満点として、ほぼ同一の試験内容と得点算出方法によって評価が行われてきた。そこで今回は現行車種のうち、2011年度以降に評価試験を受けた車種を取り上げた。なお試験内容の変更はないが、2018年度からは得点の算出方法が大きく変更となり、100点満点となった。また衝突安全性能は、その得点によって得られる★の数でも評価が表される。最高評価は★が5つの「ファイブスター賞」だ。

 一方、予防安全性能評価試験は、2014年度に対車両の衝突被害軽減ブレーキと車線逸脱警報の2項目・40点満点でスタート。毎年新たな試験項目が追加され、6年目となる2019年度は141点満点だった。予防安全性能評価は、その得点によってASV(※1)としての評価が与えられる。2014年度・2015年度は最高ASV+まで、2016年度からは最高ASV++(ダブルプラス)までの2段階となり、2018年度からはASV+++(トリプルプラス)までの3段階評価となった。

※1 ASV:Advanced Safety Vehicleの略。先進安全自動車のこと。

 このほか、2017年度の評価試験を受けた車種は、その後のマイナーチェンジで安全運転支援システムの機能向上などが行われていることも少なくない。そこで2020年7月現在、車種ごとに「安全運転支援システムのアップデート履歴」も記載した。

人気軽自動車7車種を含めた12車種が対象のダイハツ

ダイハツの衝突安全ボディの名称は「TAF」。

ダイハツの衝突安全ボディの名称は「TAF」。画像は「ブーン」。水色は前面衝突、黄色は側面衝突に対する基本骨格。

 ダイハツの衝突安全ボディは「TAF」と呼ばれる。Total Advanced Functionの略で、「総合的に衝突安全機能の進化したボディ」という意味を持つダイハツの造語だ。コンパクトカーや軽自動車用の小型ボディながら、衝突時の衝撃エネルギーを効率よく吸収できる構造、最適化・合理化を進めた骨格構造、強固なキャビンなどを特徴とする。また、軽量化にも力が入れられているという。

 ダイハツは、軽自動車で初めて安全運転支援システムを導入したメーカーだ。同社の安全運転支援システムは「スマートアシスト」と呼ばれ、2012年に第1世代が登場。2015年にカメラも追加して性能を向上させた「スマートアシストII」にバージョンアップ。そして翌2016年には、センサーとして当時世界最小の小型ステレオカメラを採用し、衝突被害軽減ブレーキを歩行者にも対応させるなどの機能向上を図った「スマートアシストIII」となった。2019年には、センサーを追加するなどしてさらに機能向上を図った「次世代型スマートアシスト」に。2020年には、さらにステレオカメラの一新などにより機能が向上。名称は単に「スマートアシスト」と呼ばれるようになった。

 なおダイハツは、一部の車種を親会社であるトヨタからOEM供給を受けている。ミドルセダン「アルティス」はトヨタ「カムリ」の、ステーションワゴン「メビウス」は、トヨタ「プリウスα」がベース車だ。そのため、衝突安全ボディはトヨタの「GOAボディ」、安全運転支援システムは「Toyota Safety Sense」となっている。

ダイハツ「タント」のスマートアシスト機能のひとつ、駐車支援システム「スマートパノラマ パーキングアシスト」のイメージ。

「タント」のスマートアシストの機能のひとつである駐車支援システム「スマートパノラマ パーキングアシスト」のイメージ。

【セダン/ステーションワゴン】
●アルティス(5代目・2017年7月発売)

衝突安全:85.5点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:75.6点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Toyota Safety Sense P(2020年7月現在はToyota Safety Senseで名称を統一)を全車標準装備。2018年8月のマイナーチェンジで、一部を除いた全車にインテリジェント・クリアランスソナーを設定。

●メビウス(初代・2013年4月発売)

衝突安全:173.1点/208点満点 ★★★★☆(2011年度)
予防安全:25.5点/40点満点 ASV+(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2014年11月に、レーンデパーチャーアラート(車線逸脱警報)などの安全運転支援機能を追加。2017年11月には、Toyota Safety Sense P(2020年7月現在はToyota Safety Senseで名称を統一)を全車標準装備した。

【コンパクトカー】
●トール(初代・2016年11月発売)

衝突安全:169.6点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:30.6点/79点満点 ASV+(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:各グレードに、スマートアシストIIの標準装備車を設定。2018年11月に、最新版のスマートアシストIIIに換装、前後コーナーセンサーと共に標準装備した。

●トール(サイド・カーテン・エアバッグ付き)(初代・2016年11月発売)

衝突安全:180.3点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)

●ブーン(3代目・2016年4月発売)

衝突安全:168.5点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:29.9点/71点満点 ASV+(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:各グレードに、スマートアシストIIの標準装備車を設定。2018年10月にスマートアシストIIIを標準装備(一部グレードを除く)。

●ブーン(サイド・カーテン・エアバッグ付き)(3代目・2016年4月発売)

衝突安全:179.2点/208点満点 ★★★★★(2016年度)

【SUV】
●ロッキー(2代目・2019年11月発売)

衝突安全:85.7点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:73.6点/141点満点 ASV++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:(次世代型)スマートアシストを搭載。衝突被害軽減ブレーキなどの主要機能は全車標準装備。

【軽自動車】
●ウェイク(初代・2014年11月発売)

衝突安全:159.2点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:30.5点/71点満点 ASV+(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:各グレードにスマートアシスト(I)の標準装備車を設定。2016年5月に、スマートアシストIIを標準装備(一部のグレードを除く)。2017年11月に、スマートアシストIIIを標準装備(一部のグレードを除く)。

●キャスト(初代・2015年9月発売)

衝突安全:166.0点/208点満点 ★★★★☆(2016年度)
予防安全:33.6点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:スマートアシストIIを標準装備(一部のグレードを除く)。2017年10月に、スマートアシストIIIに換装(一部のグレードは未搭載)。

●タント/タント カスタム(4代目・2019年7月発売)

衝突安全:80.2点/100点満点 ★★★★☆(2019年度)
予防安全:72.0点/141点満点 ASV++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:次世代型スマートアシストを装備(非装着車を除く)。衝突被害軽減ブレーキなど主要機能は全車標準装備。2017年7月中旬現在、変更なし。

●ミラ イース(2代目・2017年5月発売)

衝突安全:165.7点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:57.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:スマートアシストIIIを搭載(一部グレードを除く)。2017年7月中旬現在、変更なし。

●ミラ トコット(初代・2018年6月発売)

衝突安全:81.5点/100点満点 ★★★★☆(2018年度)
予防安全:60.6点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:スマートアシストIIIを搭載(一部グレードを除く)。2017年7月中旬現在、変更なし。

●ムーヴ/ムーヴ カスタム(6代目・2014年12月発売)

衝突安全:165.5点/208点満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:57.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:各グレードにスマートアシストの標準装備車を設定。2015年4月に、スマートアシストIIに換装(各グレードに標準装備車を設定)。2017年8月に、スマートアシストIIIに換装(各グレードに標準装備車を設定)。

●ムーヴ キャンバス(初代・2016年9月発売)

衝突安全:160.5点/208点満点 ★★★★☆(2017年度)
予防安全:56.6点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:各グレードにスマートアシストIIの標準装備車を設定。2017年9月に、スマートアシストIIIを標準装備(一部グレードを除く)。

→ 次ページ:
続いて三菱・レクサス・輸入車

SUVなどを中心に6車種が対象の三菱

三菱の衝突安全ボディは「RISE」と呼ばれる。画像は「アウトランダー」。

三菱の衝突安全ボディは「RISE」と呼ばれる。画像は「アウトランダー/アウトランダーPHEV」。

 三菱の衝突安全ボディは、「RISE」と呼ばれる。Reinforced Impact Safety Evolutionの略で、三菱ではその意味を「衝突安全強化ボディ」としている。

 RISEの構造的な特徴は、まずクラッシャブルゾーンの車体前後はストレートフレーム構造を採用することで、効率よく衝突エネルギーを吸収できるようにしてあること。キャビン部分には高張力鋼板(ハイテン材)を多用することで変形を抑え、乗員の安全性を確保している。また、衝突エネルギーの吸収スペースの少ない側面衝突に対しては、センターピラーやクロスメンバーに高張力鋼板を採用することで、少ない変形で効率よく衝突エネルギーを吸収できる構造にして、乗員を保護する設計だ。

 安全運転支援システムは、ミリ波レーダーとカメラ、赤外線レーザーレーダー、超音波センサーなどを備える「e-Assist」(イー・アシスト)だ。e-Assistを初搭載したのは、2012年10月に登場した2代目「アウトランダー」。現在では、搭載機能は車種によって異なるが、クロスオーバーSUVやミニバンなど全車に搭載されている。

 なお、三菱の一部の車種はスズキからOEM供給を受けている。コンパクトカー「デリカD:2」はスズキ「ソリオ」の、軽商用車「ミニキャブ バン」並びにその乗用版「タウンボックス」は、スズキ「エブリイ」がベースだ。ただし、スズキの衝突安全ボディ「TECT」(テクト)や「HEARTECT」(ハーテクト)プラットフォーム、安全運転支援システム「スズキ セーフティ サポート」の名称は使われていない。安全運転支援システムについては、e-Assistと名称が変更されている。

三菱の安全運転支援システムは「e-Assist」と呼ばれる。画像は、「エクリプス クロス」。

三菱の安全運転支援システムは「e-Assist」と呼ばれる。画像は、「エクリプス クロス」のセンサー類とその方向。

【コンパクトカー】
●デリカD:2/デリカD:2 カスタム(2代目・2015年12月発売 ※2)

衝突安全:159.4点/208点満点 ★★★★☆(2015年度)
予防安全:111.1点/126点満点 ASV+++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「デリカD:2/デリカD:2 カスタム」は、スズキから「ソリオ/ソリオ バンディット」のOEM供給を受けているため、e-Assistは実際には「スズキ セーフティ サポート」となっている。e-Assistの機能として、低車速域用の衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制(前進時)を全車標準装備。2018年8月に、e-Assist(スズキ セーフティ サポート)の機能拡充。衝突被害軽減ブレーキ(ステレオカメラタイプ)に夜間の歩行者検知機能を追加したほか、ペダル踏み間違い時加速抑制(後退時)などを全車標準装備とした。

※2 デリカD:2 カスタム:「デリカD:2」の上級モデル。

●ミラージュ(6代目・2012年8月発売)

衝突安全:184.6点/208点満点 ★★★★☆(2013年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:2014年8月に、緊急時のブレーキ踏力を補助するブレーキアシストを全車標準装備。2015年12月に、低速域衝突被害軽減ブレーキなど、e-Assistを全車標準装備。2020年4月、衝突被害軽減ブレーキの機能強化などを実施。

【SUV】
●アウトランダー(2代目・2012年10月発売)/アウトランダーPHEV(初代・2012年12月発売)

衝突安全:184.6点/208点満点 ★★★★★(2013年度)
予防安全:63.2点/79点満点 ASV++(2017年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:e-Assistの機能のうち、衝突被害軽減ブレーキなどを一部グレードに標準装備。2017年2月に、センサーをカメラとレーザーレーダーの併用方式に変更し、歩行者検知機能を追加するなど、e-Assistの機能を向上(一部グレードに標準装備)。2018年8月に、衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制(前後進時)を全車標準装備に。

●エクリプス クロス(初代・2018年3月発売)

衝突安全:89.7点/100点満点 ★★★★★(2018年度)
予防安全:63.5点/126点満点 ASV++(2018年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:e-Assistの機能のうち、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報システムなどを標準装備(一部のグレードを除く)。2020年7月中旬現在、変更なし。

【軽自動車】
●eKワゴン/eKクロス(4代目・2019年3月発売 ※3)

衝突安全:86.5点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:132.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:e-Assistの機能のうち、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制などを全車標準装備。高速道路などの自動車専用道路の同一車線専用運転支援技術「MI-PILOT」(マイ・パイロット)をメーカーオプション設定。2019年12月に、MI-PILOT標準装備グレードを追加設定。

※3 eKクロス:「eKワゴン」のクロスオーバーモデル。

【商用車】
●ミニキャブ バン(7代目)/タウンボックス(3代目 ※4)(2015年3月発売)軽自動車

衝突安全:148.0点/208点満点 ★★★☆☆(2015年度)
予防安全:7.7点/40点満点(2014年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:「ミニキャブ バン/タウンボックス」は、スズキから「エブリイ」のOEM供給を受けているため、e-Assistは実際には「スズキ セーフティ サポート」となっている。e-Assistのうち、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制機能を一部グレードに標準装備。2019年7月に、e-Assistを標準装備(一部グレードを除く)。衝突被害軽減ブレーキのセンサーとしてステレオカメラを採用して機能を向上させ、歩行者検知を可能とした。

※4 タウンボックス:商用車「ミニキャブ バン」の乗用モデル。

7車種が対象のレクサスは高得点車種多数

レクサスはトヨタの高級ブランドであるため、近年の車種はTNGAプラットフォームが採用されている。画像は、GA-Kプラットフォームを採用した「ES」。

レクサスにもTNGAプラットフォームが採用されており、画像は、GA-Kプラットフォームを採用した「ES」。画像は、マルチマテリアル構造を示したもの。

 レクサスは衝突安全ボディに関して特に名称をつけていないようだが、トヨタ自動車のブランドということから、同社が1995年に発売した「スターレット」以来磨いてきた「GOA」ボディ(※5)のコンセプトの上に立って開発されているものと考えられる。またプラットフォームに関しては、2016年以降の新型車への「TNGA」(※6)プラットフォームの採用が進む。

※5 GOA:Global Outstanding Assessmentの略。トヨタ独自の安全性評価を指す言葉だが、「GOAボディ」といった使われ方もする。
※6 TNGA:Toyota New Global Architectureの略。トヨタが掲げる新しいクルマづくりのコンセプトで、2016年の4代目「プリウス」が採用第1号。

 レクサスの安全運転支援システムは、「Lexus Safety System +」と呼ばれる。トヨタブランドの「Toyota Safety Sense」のレクサス版で、衝突被害軽減ブレーキなどの予防安全技術や運転支援機能がパッケージ化されている。なお、安全性能評価試験を受けていない車種ではあるが、フラッグシップセダンの5代目「LS」には、機能強化版の「Lexus Safety System + A」が搭載されている。

 さらに、レクサスの安全運転支援システムに関する最新のニュースとしては、2020年冬のマイナーチェンジで「LS」に搭載される予定の「Lexus Teammate」がある。高速道路などの自動車専用道路の運転において、ドライバーの監視の下、交通状況に応じてシステムが認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐、レーンチェンジ、追い越しなどを実現する高度安全運転支援システムとしている。

レクサス「UX」に搭載されている安全運転支援システム「Lexus Safety System +」のひとつ、高機能前照灯「アダプティブハイビーム」のイメージ。

2019年に、安全運転支援システム「Lexus Safety System +」に追加された”ブレードスキャン方式”の高機能前照灯「アダプティブハイビームシステム」のイメージ。

【セダン/ハッチバック】
●CT(初代・2011年1月発売)

衝突安全:179.6点/208点満点 ★★★★★(2011年度)
予防安全:未実施
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキを全車オプション設定。2017年8月に、Lexus Safety System +を標準設定。

●ES(7代目・2018年10月発売)

衝突安全:未実施
予防安全:140.2点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Lexus Safety System +を搭載。衝突被害軽減ブレーキなどは全車標準装備だが、機能によってはグレードによって装備なしやメーカーオプション設定などがある。2020年7月中旬現在、変更なし

●GS(4代目・2012年1月発売)/GS F(2015年11月発売 ※7)

衝突安全:未実施
予防安全:67.9点/71点満点 ASV++(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:2013年10月に、「GS」にブラインドスポットモニターをオプション設定。2015年11月、Lexus Safety System +のうち、衝突被害軽減ブレーキなどを全車標準装備(一部機能はグレードによって非装備、メーカーオプション設定など)。同月発売の「GS F」には、Lexus Safety System +を標準装備。2017年8月に、「GS F」のLexus Safety System +にレーダークルーズコントロールへの全車速追従機能および車線逸脱抑制機能を採用し、機能を拡充。2018年5月に、「GS F」にブラインドスポットモニターを標準設定。

※7「GS」は2020年8月に生産終了の予定。「GS F」は「GS」のスポーツモデル。

【SUV】
●LX(3代目・2015年9月発売)

衝突安全:未実施
予防安全:46.0点/46点満点 ASV+(2015年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Lexus Safety System +を全車標準装備。2020年7月上旬現在、変更なし

●NX(初代・2014年7月発売)

衝突安全:85.9点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:141.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:左右確認サポート付きパノラミックビューモニターをレクサス車で初搭載。2017年9月、Lexus Safety System +のうち、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱抑制などの機能を全車標準装備(一部の機能はグレードによって装備なし、もしくはメーカーオプション設定)。2019年4月、Lexus Safety System +の衝突被害軽減ブレーキが、夜間の歩行者や昼間の自転車運転者の検知も可能となるなど、機能を向上。

●RX(4代目・2015年10月発売)

衝突安全:未実施
予防安全:68.0点/71点満点(2016年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Lexus Safety System +を標準装備。2019年8月、高機能前照灯をより細かい遮光が可能なブレードスキャン方式に変更したほか、衝突被害軽減ブレーキが昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知できるようにするなど、Lexus Safety System +の機能を向上。

●UX(初代・2018年11月発売)

衝突安全:87.3点/100点満点 ★★★★★(2019年度)
予防安全:141.0点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:Lexus Safety System +のうち、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱抑制などの機能を全車標準装備(一部の機能はグレードによって装備なし、もしくはメーカーオプション設定)。

輸入車は4メーカーの1車種ずつが評価試験を実施

 JNCAPでは、その年度の販売台数の多い車種から試験対象車種が選定されているため(メーカーから依頼を受けて評価を行うこともある)、評価試験を受けた輸入車は数が少ない。2011年以降に評価試験を受けた現行車種はフィアット「500/500C」(アバルト「595/595C」も含む)、フォルクスワーゲン「ポロ」、ミニ「3ドア/5ドア」、メルセデス・ベンツ「Cクラス」の計4車種だ。

 各社の安全技術は、まずフィアットの3代目「500」(チンクエチェント)に関しては、衝突安全ボディ名も安全運転支援システム名も特にないようだ。なお、本国イタリアでは2020年3月にEVの4代目「500e」が発表されており、3代目はすでに旧モデルとなっている。ただし「500e」の日本市場への導入は先となり、今しばらくは3代目の販売が継続されるされる模様であることから、今回は3代目を現行車種として扱った。

●500/500C(3代目・2008/03月発売・フィアット ※8)、595/595C(アバルト ※9)

衝突安全:138.6点/208点満点 ★★★☆☆(2011年度)
予防安全:未実施(装備なし)
安全運転支援システムのアップデート履歴:なし

※8 500C:フィアット「500」のカブリオレ(オープントップ)モデル。
※9 アバルト 595/595C:アバルトとは、フィアット傘下のモータースポーツ/チューニングカー部門で、「595/595C」は、「500/500C」をベースにしたチューニングカー。

 フォルクスワーゲンは、予防安全をステージ1、衝突安全をステージ2、2次被害防止をステージ3と連続的に考える「フォルクスワーゲン オールイン・セーフティ」というコンセプトの基に車両を開発している。衝突安全ボディ自体の名称や安全運転支援システムの総称などは、特につけられていないようである。

 また「ポロ」に関しては、衝突被害軽減ブレーキのセンサーに技術的な特徴がある。現在、大多数のメーカーがカメラとミリ波レーダー(もしくはレーザーレーダー)を併用する方式を採用しているが、「ポロ」だけはミリ波レーダーのみという独自の方式で高得点を挙げている。

●ポロ(6代目・2018/3月発売・フォルクスワーゲン)

衝突安全:85.7点/100点満点 ★★★★☆(2019年度)
予防安全:110.5点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)など、安全運転支援機能を全車標準装備。2020年3月に、車線逸脱抑制機能をオプション設定。

 BMWの傘下となってから3代目となる「ミニ」は、衝突安全ボディ名に関しては特に名称がないようだ。衝突被害軽減ブレーキを中心とした安全運転支援システムは「ドライビング・アシスタント機能」と呼ばれている。

●ミニ 3ドア/5ドア(3代目・2014/3月発売・ミニ ※10)

衝突安全:77.9点/100点満点 ★★★★☆(2019年度)
予防安全:28.8点/141点満点 ASV+(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:衝突被害軽減ブレーキなどを標準装備(一部グレードを除く)。2015年8月、一部グレードに自動防眩機能付きルーム・ミラーを標準装備。2019年9月に、レインセンサーなどを全車標準装備。

※10 BMW傘下となってからの3代目。

 メルセデス・ベンツでは、衝突安全ボディの名称は特にないようだが、安全運転支援システムに関しては、「インテリジェントドライブ」の総称が用いられている。なお、「Cクラス」とは中上級モデルの総称で、セダン、クーペ、カブリオレ(オープントップモデル)、ステーションワゴンなど、複数のカテゴリーの車種が含まれている。

●Cクラス(4代目・2014/7月発売・メルセデス・ベンツ)

衝突安全:85.7点/100点満点 ★★★★☆(2019年度)
予防安全:139.8点/141点満点 ASV+++(2019年度)
安全運転支援システムのアップデート履歴:インテリジェントドライブのうち、衝突被害軽減ブレーキの「レーダーセーフティパッケージ」を標準装備(一部車種を除く)。2017年2月、セダンおよびステーションワゴンで、「レーダーセーフティパッケージ」をオプション設定に変更。2018年7月、インテリジェントドライブの機能向上を実施。


 最後は、ダイハツ、三菱、レクサスの3ブランドのうち、2020年度に評価試験を受けそうな車種を予想してみよう。まずダイハツは、大多数の車種が2011年度以降の評価試験をすでに受けており、唯一受けていない軽クロスオーバーSUVの「タフト」が考えられるだろう。

 三菱に関しては、2020年3月から発売した軽自動車の2代目「eKスペース」(※11)と、そのSUVテイストのクロスオーバーモデル「eKクロス スペース」が評価試験を受けていない。それ以外には、ミニバン「デリカD:5」(初代)、小型クロスオーバーSUV「RVR」(3代目)などがある。2車種とも発売されてからしばらく経つが、2019年にマイナーチェンジが実施されており、発売時よりも安全運転支援システムの機能が向上している。また、2013年に衝突安全性能評価試験だけを受けた「ミラージュ」(6代目)も、2020年4月にはe-Assistの機能が強化されており、予防安全性能評価試験を受けてもいい時期ではないだろうか。

※11 「eKスペース」は、日産と共同開発された車種で、日産では「ルークス」。

 そしてレクサスは、2019年から2020年にかけては、完全新規モデルやフルモデルチェンジ車はない。高級SUV「RX」が2019年8月のマイナーチェンジにより、Lexus Safety System +の機能が向上した。さらに、小型FRスポーツセダン「IS」(3代目)が2020年秋に、フラッグシップモデル「LS」(5代目)が同年冬に、マイナーチェンジが行われる予定。両車ともLexus Safety System +の機能向上が図られることが発表されている。レクサスは13車種というラインナップに対し、評価試験を受けた車種数が6車種と少ないため、今後、評価試験を受ける車種が増える可能性も考えられる。

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