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最終更新日:2019.11.03 公開日:2019.11.03

「矢羽根」や「グーパー」など、雪国特有の珍しい標識の意味。

冬になるとスキーやスノーボードなど、雪国で楽しむレジャーに出かける機会が多くなる。そんな雪国ならではの珍しい標識があるのをご存じだろうか。矢羽根付きポールやグーパー標識など、雪に関するさまざまな標識を紹介しよう。

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 本記事のレア度とは、雪国在住経験のない当編集部員10名がその標識を実際に見たことがあるかを調べ、見たことがなかった人数2名に付きレア度1としてレア度を最大5で表した。

矢羽根付きポール レア度:2.5

雪国の道路に設置された「矢羽根付きポール」©kinpouge – stock.adobe.com

 雪国の道路を走行している時、赤と白のシマシマの下向き矢印が上から吊り下がっているのを見たことはないだろうか。雪国出身者からすれば当たり前の標識だという。当編集部でのレア度は2.5。雪国への旅行などで実際に見たことがあるという人が多数いてレア度は低めであった。

 この標識は通称「矢羽根付きポール」と呼ばれ、名前の通り矢羽根のような矢印がポールの先についているもの。正式名称は「固定式視線誘導柱」といい、なんとも堅苦しい響きの名前だが、その意味はいたってシンプルである。

 主に積雪の多い地域や吹雪などの危険がある場所、カーブが多い場所などに設置されていて、矢羽根の先端が道路の端に引かれた車道外側線(外側の白線)の場所を指し示しているのだ。

 例えば積雪で車道外側線が隠され、道路と路肩の境界線が分からなくなってしまうと脱輪や衝突の危険がある。そのため「道路の端っこはここですよ」と教えてくれているのだ。

 知人の北海道民が「あれがないと危険すぎる」と語るほど重要な標識なので、是非覚えておきたい。近年では、より視認性を上げるために、LEDで発光したり、点滅したりするタイプも導入されている。

停止線の標識 レア度:2.5

停止線標識のイメージ。出典:国土交通省「道路標識一覧」

 青色に白字で停止線と書かれた「停止線」の標識は、読んで字のごとく停止線の位置を指し示している標識。矢羽根付きポールと同様、雪国には多く設置されている標識である。当編集部でのレア度は2.5点。こちらも雪国への旅行などで実際に見たことがある人が多かった。

 この標識は、道路に雪が積もった時に、路面の停止線が雪に隠れて見えなくなり、停車位置がわからなくなってしまうため、「停止線の位置はここですよ」と教えてくれている。

投雪禁止区域指定標示板 レア度:4

「投雪禁止区域指定標示板」のイメージ。出典:株式会社キクテック公式サイト

 高速道路の路肩に設置されているオレンジと青の標識。これもなかなか珍しいのではないだろうか。当編集部でのレア度は4。この標識を実際に見たことある人は少なかった。それも当然、なぜならば、この標識は除雪のための業務用の標識だからだ。

 「投雪禁止区域指定表示板」は、除雪車が除雪した雪を落としてはいけない区間を指し示している。四角型と十字型の2種類でワンセットで、前者は投雪禁止の始点。後者は投雪禁止の終点を指示している。一般ドライバーには関係のない標識だからなのか、そのサイズは20cmの正方形と30cmの正十字で、割と小さめである。

 例えば、高速道路の下に民家や一般道がある場合。除雪車が雪を落とすと民家や人に迷惑をかけたり、一般道において事故を引き起こす可能性がある。そのため「ここに雪を落としてはいけません」と教えてくれているのだ。

 ちなみに冬季だけでなく常設で設置されているので、雪国の高速道路を走ればいつでも見ることができる。

チェーン規制標識 レア度:3.5

「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の標識。出典:国土交通省資料

 続いての標識は2018年12月の改正標識令で施行された新しい標識。しかも普段はカバーが被せてあるので、実物を見たことがある人は少ないだろう。しかし、当編集部でのレア度はなんと3.5と低めだった。聞いてみると、ニュースなどで見たことを実際に見たと勘違いしている人が多数いて、実のところこの標識の実物を見たことがある人はいないというオチだった。

 これは「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の標識で、通称「チェーン規制」と呼ばれている。その名の通り、「雪道用のタイヤチェーンを取り付けていない車両は通ってはいけない」という意味。この標識がある区間ではスタッドレスタイヤを装着していたとしても、チェーンを装着しなくてはならない。

 この標識は、急な上り下りがある峠など「過去に雪による立ち往生や通行止めが発生した場所」かつ「タイヤチェーンを着脱できる場所や通行止めが解除されるまで待機できる場所がある区間」にのみに設置されている。

 チェーン規制が実施されるのは、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例な降雪があった場合だけ。カバーが外され、その姿が見られるのはそのような大雪の日だけである。2019年10月現在、日本全国の13区間にしか設置されていないのでかなり珍しい標識だ。

グーパー標識 レア度:5(MAX)

富山県小矢部市に設置されている「グーパー標識」。 提供:国土交通省 富山河川国道事務所

 まるでドライバーにジャンケンを挑んでいるような「グー」と「パー」のイラストが描かれた標識も雪国ならでは。当編集部でのレア度は、なんとMAXの5。この標識を実際に見たことがある人はもちろん、知っている人もいなかった。

 この標識の名前は「グーパー標識」、見たままの名前だ。いったい何を表している標識なのだろう。

 この標識は路面が凍結しやすい場所に設置されていて、パーの場所で凍結防止剤の散布を開始し、グーの場所で散布を終了するための目印だという。確かによく見るとパーの標識には、いくつもの点が描かれていて、これが凍結防止剤を表しているようだ。

 ちなみにこの標識は、限られた地域限定の標識。板状の標識は常設でいつでも見ることができるが、必要に応じて既存のポールに取り付けるタイプの旗状の標識もあり、冬期だけ設置されるという。冬しか見ることのできない旗状の方がよりレアだろう。

 凍結防止剤を散布する作業員以外には関係ない標識である。しかし、この標識のある場所は凍結防止剤の散布が必要である場所だ。道路でこの標識を見かけたら「凍結しているかもしれない」と思ってスピードを抑え、慎重な運転を心がけて欲しい。


 雪国に住んでいれば当たり前の標識でも、初めて見る人にとっては意味が分からないものもある。冬のレジャーなどに出かけ、雪国ならではの標識を見かけた時に戸惑ってしまわないよう、それぞれの意味を覚えておきたい。   

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