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クルマ最終更新日:2023.06.16 公開日:2019.11.09

電動化へと突き進むドイツメーカーの本気を見た!【フランクフルト・モーターショー2019(VW・ポルシェ・アウディ編)】

東京モーターショーへの出展を見送った海外メーカー勢は、いまどんな車を開発しているのだろうか。去る9月、ドイツで開催されたフランクフルト・モーターショーで話題を集めたニューモデルを一挙ご紹介。今回はフォルクスワーゲン・ポルシェ・アウディの3メーカーをお届けする。

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フランクフルトでお披露目されたフォルクスワーゲンの新型EV「ID.3」。

フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.3」は未来のゴルフになりえるか?

2019年のフランクフルト・モーターショーは2019年9月12日から22日まで開催された。それを端的に表せば「EV一色」。その一言に尽きるだろう。今回のショーには市販化済、もしくは市販化目前のモデルがズラリと並んだ。その中でも、ひときわ気を吐くブランドがフォルクスワーゲンだった。2015年のディーゼルゲート事件を契機に、電動化に向けて一気に舵を切った同社だが、その中軸を担う新世代EVがついにお披露目となった。

「ID.3」は、電気自動車専用に開発した新プラットフォーム、「MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)」を採用した第1弾のモデル。5人乗りのCセグメント5ドア・ハッチバックで、ボディサイズは全長4261×全幅1809×全高1552mm。バッテリーを床下に配置した分だけ背は高くなったものの、現行ゴルフ(日本仕様:全長4265×全幅1800×全高1480mm)とほぼ同じ。その佇まいは “未来からやって来たゴルフ”そのものだ。

ボディカラーはまるでキャンディーのようなポップな色合いで、インテリアは2トーンでコーディネート。従来のゴルフが保守的だっただけに、ID.3はより華やかに映る。ダッシュボード中央部には、地図やインフォテイメント類、空調関係を一括管理する10インチのタッチスクリーンを装備。またフロア周りは、シフトレバーをメーターパネルの右横に移動したお陰でスッキリした印象になった。「お、VW変わったな!」と思わせるには十分すぎるほどのインパクトが、このID.3にはある。

ポップで明るい印象のID.3のインテリア。VWのロゴも刷新され、フラットな2次元デザインとなった。

 展示車両は室内の見学も可能だったので運転席に座ってみると、VWの展示スタッフが助手席側から「ヘーイ、ID」とクルマに呼び掛け、音声コマンドで操作するデモを披露してくれた。クルマと人の会話はかなりスムーズ。「なかなか賢いでしょ?」と担当者。ID.3はこの他にも、人とクルマの関係性をより親密にするべく、いろいろな仕掛けが施されているのだという。

なかでもユニークだったのが、ドライバーが駐車中のID.3に近づくとヘッドライトがまるで人間のように “まばたき” してくれるという機能。ウインクしてくれるクルマだなんて可愛すぎる。先進性の中にも、こうしたユーザーフレンドリーな一面を織り交ぜてきたのが、フォルクスワーゲンの新しいEVの魅力だ。

ID.3は45kWh、58kWh、77kWhの3つのバッテリーサイズで展開。航続可能距離はWLTP基準でそれぞれ330km、420km、550kmとなる予定だ。100kWの急速充電器を使用した場合、約290kmを走行可能なエネルギーを30分間で充電することができるという。

現行ゴルフとほぼ同サイズのID.3。バッテリーは床面にフラットにレイアウトされている。

10年後は2台に1台がEVになる!?

ハンドリングに関しては実際にドライブしてみないと分からないものの、なんとこのクルマ、後輪駆動なのだ。バッテリーによる低重心化も含めて、きっと素晴らしい走りを披露してくれることだろう。価格は、45kWhのバッテリーで航続距離330kmのベースグレードを300万ユーロ(約360万円)以下で販売予定。日産リーフの40kWhのSやXグレードが同価格帯のライバルとなる。

ID.3は、サプライチェーン全体にわたってCO2ニュートラルな方法で生産された世界初の電気自動車であるとフォルクスワーゲンは謳う。バッテリーセルの製造と車両の生産は、グリーン電力のみで可能だと胸を張る。生産は今年11月からドイツ・ツヴァイッカウ工場で行われ、納車は2020年夏の予定だ。「ID.3は、初代ビートルや初代ゴルフと同じくらい、大きな節目となるでしょう」と同社。9月9日に発表されたプレスリリースによれば、すでに3万台以上の予約を受けているというのだから驚きだ。

フォルクスワーゲンはポルシェやアウディを含むグループ全体で、2028年までに約70車種、2200万台の新しい電気自動車を発売する計画だ。今後10年で、ヨーロッパと中国で販売するグループ会社の車両は、ほぼ2台に1台がEVになるだろうと同社は予測する。

タイプ2や、バギーもEVで復活!? ショー会場には、これまでフォルクスワーゲンが発表してきた電気自動車のコンセプトカーが展示されていた。

4ドアスポーツクーペとして開発された、ポルシェ初の量産型電気自動車「タイカン」。

ポルシェ初の量産型EV、タイカンの衝撃

電気の時代はついにスポーツカーにも到来した。そう強烈に印象づけてくれたのは、やはりポルシェ初のピュアEV「タイカン」の登場だ。

440kWもの大出力モーターを積むクルマの詳細については、すでにレポート済みなので割愛させていただくが、特に興味深かったのは欧州でまもなく始まる二酸化炭素(CO2)の排出量規制に対する同社の取り組みだ。

欧州では2021年以降に販売するすべての新車のCO2排出量を平均95g/km以下(現在は130g/km)に抑えることが求められていれる。各自動車メーカーが急いでEVを開発する理由のひとつがここにあるわけだが、911のような大排気量のスポーツカーを作るメーカーにとってはまさに危急存亡の秋。だがポルシェはその難題を、このタイカンをもってクリアしようと考えているようだ。

タイカンのインテリアは、現行の911やパナメーラなどのデザインとかなり近い印象。

 つまり単に規制をクリアするために電動化を推し進めるのではなく、猛烈に速いEVを手にした上で、今後も911やボクスター、ケイマンといったエンジン搭載車を作り続けていくと。その姿勢は、さすがポルシェとしか言いようがない。

ショー会場では、そんなファンの期待にも応えるべく、最新の自然吸気ボクサーシックスを搭載した718スパイダー/ケイマンGT4を披露。これからもポルシェがピュアなスポーツカーメーカーであり続けることを強くアピールしていた。

ステージ奥に鎮座するのは、ポルシェのアイコン「911」だ。

アウディが発表した「AI:トレイル クワトロ」は、同社の電気自動車のコンセプトカー「AIシリーズ」の第4弾。

EVからハイパワーモデルまで満艦飾のアウディ

すでにEVを販売するメーカーとしての余裕だろうか。アウディは今回、フォルクスワーゲンやポルシェが市販化型のEVを発表するなかで、これぞショーカーと言わんばかりの奇抜なデザインを持ったオフロードマシンを発表した。「AI:トレイル クワトロ」は、前回のフランクフルト・モーターショーからスタートした電気自動車のコンセプトカー「AIシリーズ」の第4弾だ。

全長4150×全幅2150×全高1670mm。月面探査機のような近未来感溢れるルックスが特徴だ。ボディから大胆にはみ出した22チンチの大径タイヤは迫力満点で、最大システム出力320kW、最大トルク1,000N・mを発揮する。満充電時の航続可能距離は、舗装路で400~500km、荒れたオフロードで250km(ともにWLTPモード)。現実味は極めて薄いが、こんなクルマがあったら楽しいだろうなとワクワクする1台だ。

アウディ RS7スポーツバックもワールドプレミアを飾った。

 同社はこの他、ミドルサイズ4ドアクーペの「RS7スポーツバック」と、ステーションワゴンの「RS6アヴァント」を発表。いずれも最高出力600ps、最大トルク800N・mのスペックを持つV8ツインターボを搭載するハイパワーモデルだ。また新型SUVとして、コンパクトハッチバックの「A1」をベースにしたクロスオーバーモデル「A1シティカーバー」と、Q3のクーペ仕立ての「Q3スポーツバック」も披露した。ドイツメーカーはかゆい所に手が届く、バリエーション違いのモデルを作るのが総じて上手い。

アウディ・ブースの入り口には、人気のSUVモデルがズラリと並んでいた。

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