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クルマ最終更新日:2017.05.12 公開日:2017.05.12

障害者にも自由に運転する喜びを、 画期的な車椅子専用車

 ヨーロッパでは車椅子生活者が電車やバスに乗っている光景をよく見かける。公共施設や交通機関でのバリアフリー環境の整備も行き届き、意識の高さを感じることが多い。

 今回は、チェコで開発された車椅子生活者が、ひとりで乗降し自由に移動できる車「Elbee(エルビー)」について紹介したい。誰の助けも借りずに職場に通ったり、買い物に行ったり、旅行できるなど障害者の自立をサポートしたいという思いから、開発者が3年をかけて製品化に漕ぎつけた車椅子専用車だ。

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まるでアニメのロボット

 乗車の仕方は、リモコンキーでフロントドアを開け、車椅子をバックで進行させ運転席に乗り込む。この自動でフロントが開閉する仕組みが、80年代のアニメに出てくるロボットのようでかっこいい。車椅子は手動式・電動式に関わらずISO7176-19に順応していれば固定できる。あとは出発だ!

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メカロボットのようにフロントドアが開く

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車椅子が入った様子

 介添えが必要な場合や友達と旅行に行く時には、車椅子の後方に折りたたみ可能なシートが設置できる仕様になっている。また、このスペースは食料品や荷物を収納するのにも役立つ。

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 開発社では、ドライバーの障害重度に合わせて、各運転操作機や車椅子のドッキングシステムなどをカスタマイズするサービスも行ってくれる。

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試乗ドライブでハイタッチ続出

 降車の仕方は、フロントを歩道に面して駐車し、段差がある歩道にもスロープを下ろして問題なく降車できる。全長2,479mmのコンパクトな車体が、縦列駐車ならぬ「横列駐車」での駐車を可能にしている。

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動画で乗降の様子を視聴いただきたい。

   

 最高時速は80km/h。ガソリンの燃料消費量が、100km当たりわずか4.5リットル(22km/h)という配慮も嬉しい。カラーバリエーションは32色で、デザインに対するこだわりも、障害者にドライブの喜びを味わって欲しいというホスピタリティーの表れである。

 見本市でのお披露目で、エルビーは多くのジャーナリストやビジターに注目された。実際に会場で乗り降りや試乗テストをしてもらったところ、試乗テストを終えた障害者が、満面の笑顔で降車し、開発者とハイタッチして喜びを分かち合ったという。ある試乗者は「自分でどこにでもいける自由さが本当にいい! これでもう妻に車のお願いをしなくてもいいね」と大絶賛したそうだ。

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見本市での試乗テスト ©dpa

 エルビーは現在、チェコ、フランス、イタリア、イギリス、スイスで販売されている。車椅子生活者に自由に出かけるモビリティを提供する画期的な車椅子専用車エルビー。現在のところ、日本で導入予定はないという。車両の規則や安全性の面から検討が必要だろうが、将来、導入されることを期待したい。

エルビーのスペック

最高速度:80km/h
長さ:2,479mm
幅:1,330mm
高さ:1,725mm
車室幅:770mm
車室高:1,420mm
車両重量:400kg
エンジン:ガソリン
最大出力:12.5kW
平均燃料消費量:100Kmあたり4.5l(22km/h)
価格:22,000ユーロ(税抜き、約2,727,400円、5月12日現在)

2017年5月11日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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