クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Cars

最終更新日:2017.03.28 公開日:2017.03.28

【動画あり】シールドマシンは巨大だった!! トンネル掘削が始まった首都高「横浜環状北西線」

横浜の道路事情を解消するために建設された自動車専用道路が、3月18日に開通したばかりの横浜北線だ。そしてこの3月27日にシールドマシンの発進式が行われた首都高「横浜環状北西線(仮称)」(北西線)も、大いに期待されている1本である。北西線は、港北ICから東名高速・横浜青葉ICまでの約7.1kmをつなぐルートで、横浜北線を延伸するイメージだ。

首都高・横浜環状北西線のシールドマシン発進立坑(たてこう)を上から見たところ。右の白い円筒状のものがシールドマシンで、第三京浜と合流する港北IC(横浜港北JCT)から東名高速と合流する横浜青葉IC行きの車線のもの。こちらは4月中旬の発進予定。奥がその反対車線のもので、こちらが3月27日に出発した。

 この3月18日16時に、首都高・横羽線(生麦JCT)と第三京浜(港北IC)をつなぐ首都高「横浜北線」が開通したことは、ご存じの方も多いことだろう(建設中のリポート記事はこちら)。

 現状、横浜は港湾部と内陸部をつなぐ幹線ルートが少ない。保土ヶ谷バイパスと首都高・三ツ沢線もしくは狩場線を通る2ルートしかないため、特に保土ヶ谷バイパスへの交通の集中が厳しい状況だ。国土交通省発表の2010年度「道路交通センサス」によれば、昼間12時間の交通量が10万4846台で一般道の全国1位となっている。24時間だと17万台にもなるという。

横浜の内陸部と港湾部を結ぶ道路事情を一変させる切り札!

 そんな横浜の道路事情を解消するために建設された自動車専用道路が、3月18日に開通したばかりの横浜北線だ。そしてこの3月27日にシールドマシンの発進式が行われた首都高「横浜環状北西線(仮称)」(北西線)も、大いに期待されている1本である。北西線は、港北ICから東名高速・横浜青葉ICまでの約7.1kmをつなぐルートで、横浜北線を延伸するイメージだ。

横浜の主要道路網。東京から放射状に広がる道路網と港湾部は発達しているが、港湾部と内陸部をつなぐ幹線が保土ヶ谷バイパスのみであり、北西線が重要であることがよくわかるはずだ。

 北西線が開通すると、保土ヶ谷バイパスの交通量が4万台減の1日13万台になると見積もられている。交通量が減れば、道路周辺の環境や交通事故などの面でもプラスなのは確実だ。

 もちろん移動に要する時間も大幅に短縮される。横浜青葉ICから港湾部の大黒ふ頭までが約20分で走れる計算となり、保土ヶ谷バイパス経由による現状の40~60分と比較すると、半分から3分の1の時間になる。内陸部と港湾部の距離が一気に縮まって人とモノの移動に多大な好影響を与えるのは必至なのだ。

→ 次ページ:
北西線はどんな高速道路?

北西線は全区間の6割弱が地下トンネルに

横浜環状北西線のルート。開通済みの横浜北線と合わせると、東名高速、第三京浜、首都高・横羽線や大黒線などが続され、横浜の交通事情が一変するのは間違いない。

 北西線では、全区間約7.1kmの半分以上に当たる約4.1kmを地下トンネル化する計画で、その内の約3.9kmがシールド工法で工事が進められる。シールド工法は地下を掘り進めていくもので、地上への影響を最小限に抑えられるのが特徴だ。なお、掘削した土砂を泥水を用いて搬出する「泥水方式」のシールド工法が採用されている。

北西線の断面図。トンネル部分以外は高架となるため、特に横浜青葉IC側の出入口近辺は勾配がきつい。公式資料より抜粋。

左が東名高速と接続する横浜青葉IC・JCTの概念(模式)図。国道246号への出口は東名と共用になる。右は第三京浜と接続する港北JCTおよび新設される港北出入口の概念図。公式資料より抜粋。

 3月27日は、その工事の主役である、シールドマシンの発進式が執り行われた。この日に発進したのは、2本ある内の横浜青葉ICから港北ICへ向かう車線のもの(港北行き)。港北ICから横浜青葉ICへ向かう車線のもの(青葉行き)は、4月中旬に発進する予定だ。半月ずらしているのは、同時発進だと作業的な不都合があるからだそうで、あえて時間差を設けている。

平原副市長(左から4人目)ら、関係者が列席してのシールドマシン発進式の様子。3月27日に実際に発進したのは港北行きで、青葉行きは4月中旬予定。式の後、報道陣に青葉行きのシールドマシンが披露された。

青葉行きのシールドマシンの前面、「カッターヘッド」部。約2分で1回転する。刃(緑色の突起)は「カッタービット」と呼ばれ、硬度の高い合金が使用されている。なお、港北行きはカッタービットが青色になっている。

シールドマシンの直径は約12.6mで、全長が13m。重量は約2000tに及ぶ。横浜市内で施工されたシールドマシンとしては最大だという。なお最終的に開通するトンネルは、外径が約12.4mで、内径は11.5mとなる。北西線に関しては、青葉行きを横浜市が施工し、港北行きを首都高が施工。その関係でシールドマシンも製造会社が異なり、青葉行きは日立造船、港北行きはJIMテクノロジーとなっている。両マシンは色味だけでなく、細部もよく見ると異なる。

→ 次ページ:
シールドマシンは昼夜問わずに掘り進む!

発進立坑から到達立坑までの3.9kmを掘り進む!

 シールドマシンは今回の式典が行われた「発進立坑」(横浜市緑区北八朔町(きたはっさくちょう))から、同市都筑(つづき)区東方町(ひがしかたちょう)に設けられた「到達立坑」を目指す。立坑の工事が2015年4月から始まり、掘削と躯体構築が順次実施され、2016年10月に完成した。

シールドマシンは発進立坑から到達立坑まで、どちらの車線も同じ方向に掘り進む。

 シールドマシンは直径が約12.6m、全長が13m、重量2000tという巨体のため、工場で一度組み立てた後、一度分解してからパーツごとに発進立坑の底に降ろされた。そして、2016年11月から半年近くをかけて組み立て直され、遂に完成。そこで今回の発進となったというわけだ。掘削作業は昼夜連続して行われ、マシンは1日に16~20mを掘り進む。2018年夏頃にゴールに到達する予定だ。

巨大なシールドマシンをパーツごとに分解して発進立坑の底に降ろし、そこで組み立てていく。

発進立坑の底で再組み立てが進むシールドマシン。

シールド工法は掘ると同時にトンネル外壁も作っていく

 シールド工法は、掘削すると同時にトンネル部分の外壁となる「セグメント」と呼ばれる円弧状のパーツをトンネルの外周に沿ってはめ込んでいく。要は、シールドマシンが通ると、トンネルの外壁は完成しているというわけだ。

 セグメントは9ピースでトンネル内を1周するように作られており、1ピースの幅は2m、厚みは45cm。すでに1.5km分を製造済みだという(計算上では6750ピース)。

セグメント。掘ると同時にセグメントを組み立てていく仕組みで、シールドマシンが通った後は、ただ単に地中に穴が開くのではなく、すでにトンネルの外壁が完成しているのである。

 北西線の完成は計画では2021年度。ただし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合わせるため、1年間の前倒しを目指して工事を進めていくという。

→ 次ページ:
続いてはシールドマシンにフォトで迫る!

直径12.6m・全長13m・重量2000tの迫力!

 シールドマシンの間近まで迫ったので、その巨大さを実感してもらおう。

4月中旬発進予定の青葉行きのシールドマシン後部を、発進立坑の底から見上げて撮影。

すでに発進した港北行きのシールドマシンの後方を見上げて撮影。

青葉行きの前方部分。非常に巨大なため、マシンの足元からだと、広角レンズを用いないと、全体を写すことは不可能。

青葉行きの後部を上方から見下ろして撮影。パイプは、削り出した土砂を運ぶ泥水を循環させるためのもの。

発進立坑の底と地上とをつなぐ階段。発進立坑は20mほどの深さがある。

→ 次ページ:
最後は横浜北西線に関する動画を一挙掲載!

発進立坑でシールドマシンを動画撮影してみた!

 最後は、横浜環状北西線に関する動画を掲載しよう。まずは、3月27日の発進式の後に行われた、報道向けの見学会で撮影したシールドマシンを間近で撮影したものからだ。

まずは発進立坑の上からシールドマシンを見下ろしてみた図。

発進立坑の底に降りて撮影。水平方向に10m程度は大したことがないが、垂直方向に10m以上ある機械は、かくも巨大で質量感があることがわかる。

これを見れば、北西線がわかる! 公式動画集

 続いては、横浜市や首都高が公開している、北西線に関連した公式動画を紹介しよう。

首都高と横浜市がアップしている、北西線の概要が約5分でわかる動画。5分36秒。

横浜市がアップしている、横浜環状北西線シールドマシンの組み立て動画。1分33秒。

横浜市がアップしている、シールドマシンの工場での様子。

2017年3月28日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

関連記事

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(12月1日まで)
応募はこちら!(12月1日まで)