【ジャパン キャンピングカーショー2017】カテゴリー解説・後編 キャブコンからトラキャンまで
2月2日より5日まで幕張メッセで開催された「ジャパン キャンピングカーショー2017」。前編に引き続き、キャンピングカーのカテゴリーについて解説する。
日本国内では現在、日本RV協会が1999年に整理した8種類のカテゴリーとなっている。軽キャンやセミフルコンなど、日本独自のカテゴリーも存在し、米国や欧州とは異なるカテゴリー分けや呼称が使われている。
出典:(4)フィールドライフ「シリウス 6.7」。公式サイトより引用。(8)MYSミスティック「ゼニス SP」。公式サイトより引用。
【前編】
(1)軽キャンパー(軽キャン)
軽自動車ベースの、日本で現在、最も人気のあるカテゴリー。
(2)バンコンバージョン(バンコン)
こちらも日本で人気の、ミニバン、ワンボックス、ワゴンベース。
(3)フルコンバージョン(フルコン)
キャンピングカーの最上級カテゴリー。
(4)セミフルコンバージョン(セミフルコン)
日本独自のカテゴリーで、フルコンに次ぐ。バスベース。
【後編】
(5)キャブコンバージョン(キャブコン)
トラックベースで、国内外で車種が豊富。
(6)バスコンバージョン(バスコン)
日本では、マイクロバスをベースにした形態。
(7)キャンピングトレーラー(トレーラー)
被牽引車型のカテゴリー。いわゆるトレーラーハウス型。
(8)トラックキャンパー(トラキャン)
ピックアップトラックの荷台にキャンピングシェルを載せた形態。
後編はキャブコン、バスコン、トレーラー、トラキャンの4種類を解説する。
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日本製・海外製どちらも車種の多いキャブコンから!
純日本製も多いキャブコン
キャブコンバージョン、通称キャブコンは、一般的にトラックをベースにシェルを架装したモデルだ。欧州でも同様の形態については同じくキャブコンと呼び、北米ではクラスCと呼ぶ。
キャブコンは国産シャシーが複数ある。中でも、多くのビルダーに採用されているのが、トヨタ製のトラック「ダイナ/トヨエース」をベースに開発されたキャブコン専用の「カムロード」だ。それから、専用シャシーというわけではないが、マツダ「ボンゴトラック」はベース車両として選ばれることが多い。
それに加え、ビルダーである日本特種ボディーが開発したキャブコン用シャシーもある。いすゞのトラック「エルフ」をベースにした「びぃーかむ」だ。そして同社はびぃーかむをベースにして、キャブコン「ASAKAZE」などを開発している。
日本特種ボディーのASAKAZE。いすゞエルフがベースのキャブコン専用シャシー・びぃーかむをベースに作られている。全長5750×全幅2200×全高3190mm、車両総重量は4200kg。車両価格は1265万8000円(税別)だ。
なお、ワンボックスのボディをカットしてシェルを載せる方式もこのカテゴリーに該当し、トヨタ「ハイエース」などがベース車両となる。
ワンボックスベースのバンコンとキャブコンの違いは、ボディをそのまま利用するかしないかという点。バンコンはそのまま利用し、キャブコンはカットしてシェルを新たに搭載するというわけだ。
キャンピングカーの象徴「バンクベッド」とは?
キャブコンの外見的な大きな特徴として、運転席の上に張り出した「バンクベッド」と呼ばれる就寝スペースがある。必ずしもすべてのキャブコンに装備されているわけではないが、多くのキャブコンに備えられているため、キャンピングカーらしさを表すシンボル的な構造となっている。
なお、このバンクベッドがあるおかけでキャブコンは乗車定員がそのまま全員就寝できるようなモデルも多い。この居住性の高さから、フルコン、セミフルコンなどと同様に、ファミリーユースなどの多人数での利用に向いたキャンピングカーとなっている。
運転席の上にひさしのように突き出したバンクベッド。スペースの有効活用はどのカテゴリーのキャンピングカーでも必要で、そうした中で考え出された仕組みである。車種は、日本特種ボディーの「SHINOBI」。
海外製キャブコンはとてつもない大型も!
キャブコンは海外製も多く、中には大迫力の大型車もある。サイズ的に小さな順に紹介しよう。
フジカーズジャパンが展示した伊ウィンガム社製「シティースウイート」(税別925万円)は全長5990×全幅2070×全高2770mm。フィアット「デュカト」ベースの1台だ。デュカトをベースにしていても、作り方によって、バンコンもあればキャブコンもフルコンもある。
ビルダーのウィンガムは、元は家具メーカー。よって、同社のキャンピングカーは車内の装備の格式が高く、その点も人気のひとつ。
そして、ニートRVが展示したう米ウィネベーゴ社製「フューズ WF423A」(税別1406万8000円)が全長7350×全幅2320×全高3110mm。
フォード「トランジット」ベースのフューズ WF423A。トランジットは、パネルバン、ミニバス、ピックアップトラックなどがラインナップされる車種だ。
東和モータース販売が展示した米フェニックスTOWA社製「ドリー バーデン 25ft」(税別1790万円)に至っては全長8330×全幅2400×全高3350mm。日本だと、表通り以外は走れないのではと心配になるほどだ。なおベース車両は、前編で紹介したフルコンの1台、ボナンザが展示していた米トール・モーターコーチ社「ヴェガス 24.1」と同じフォード「E450」。
すべてがビッグサイズな、米国らしい1台。おそらく今回の展示車両300台中で全幅と全高が最大と思われ、バンクベッドの大きさも強烈だ。ベース車両のE450は、キャンピングカーなど以外にも、救急車などのベースとなる、キャビン(運転席)とシャシーで構成された特殊なクルマ。
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乗り心地のよさが特徴のバスコン
バスコンことバスコンバージョンは、その名の通り、バス(マイクロバス)をベースにしたキャンピングカーだ。海外ではストリップシャシーから製造するバスコンもあるそうだが、国内ではマイクロバスをベースに架装する形態をバスコンと呼んでおり、同じ呼び方でも海外とでは若干形態が異なる。
また、同じバスをベースにする形態としてはセミフルコンがあるが、こちらは前編で解説したとおり、運転席とフロアを残してボディをカットし、シェルを新たに載せるというもの。バスコンはボディをカットせず、内部を架装していく点で大きく異なる。
バスコン製作に関しての近年の日本におけるトレンドとしては、断熱性とプライバシー性向上のために窓を埋め込むことが行われている。
バスをベース車とすることのメリットは、もちろんサイズ的な余裕がひとつ。さらにベース車両自体が乗り心地を追求した車種であることから、その点でも優れる。もちろん、サイズが大きいということは、市街地での取り回しなどは気を遣うということで、運転には慣れが必要だ。
今回は、トイファクトリーが、トヨタ製のマイクロバスである「コースター」をベースとしつつ、マイクロバスではなく大型のバン=「ビッグ・バン」として扱うという新コンセプトのキャンピングカーを開発することを発表した。
トイファクトリーが発表した新コンセプト「ビッグ/バン」。コースターがベース車となるが、まだ開発中で詳細はこれから。
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いわゆるトレーラーハウスのキャンピングトレーラー
被牽引型のキャンピングトレーラー
被牽引型のキャンピングトレーラー、略してトレーラーは、別名はトラベルトレーラー、欧州ではキャラバンと呼ばれる。トレーラーハウスという言い方でご存じの方も多いことだろう。キャブコンと並んで、多くの人がキャンピングカーというと思い浮かべるであろうカテゴリーだ。被牽引装置を備えたシャシーにシェルを架装した構造である。
トレーラーの車重には注意が必要で、750kgを超えると牽引免許が必要となる。そのため、750kgまでの牽引免許を必要としないトレーラーを製造しているビルダーも多い。
トレーラーはキャンピングカー中で最も取り回しが難しいが、大きなメリットもある。エンジンを搭載しないことから、同程度の居住性を持った自走式と比べるとリーズナブルで、税金や車検なども安価に抑えられるのだ。
例えば、インディアナ・RVが輸入している仏トリガノ社製「アンタレス390 Vエディション・プレミアム」などは、4人用で278万円(税別)だ。
インディアナ・RVのアンタレス390 Vエディション・プレミアム。全長5700×全幅2100×全高2580mm。車両重量750kgなので、牽引免許不要。軽キャンパーと同程度か若干安いにもかかわらず、4人で就寝可能な居住性がある。
その一方で、米国においてトレーラーの代名詞的なメーカーであるエアストリーム社の正規輸入代理店で総販売代理店であるエアストリーム ジャパンが展示していた「インターナショナル ヨーロピアン 684」のように1540万円(税別)というものもある(全長8250×全幅2490×全高2650mm、車両重量2130kg、就寝定員5名)。
インターナショナル ヨーロピアン 684は、ブース内の配置の関係などで全体を収める形でうまく撮影できなかったので、代わりに全長6810×全幅2290×全高2650mm、車両重量1500kg、就寝定員4名の同シリーズの「534」を紹介。こちらは、1280万円(税別)。
またトレーラーのメリットとして、牽引車はキャンピングカーでなくてもいいことも挙げられるだろう。逆をいえば、トレーラーを牽引できるだけの出力があれば、新たに牽引用の新車を購入しなくてもいいということである。
なおトレーラーは、米国、ドイツ、フランスなどからの輸入車が多くを占めており、国産だとバンショップミカミが製造する、軽自動車で牽引可能な「コロ」があった。
前編の軽キャンパーで紹介した、バンショップミカミの「テントむし」と統一されたデザイン。全長3390×全幅1460×全高1880mmで、就寝定員2名。車重440kgなので、テントむしのような軽自動車で牽引可能。176万8000円(税別)。
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荷台のシェルは荷物扱いのトラキャン
トラキャンことトラックキャンパーは、軽トラックやピックアップトラックの荷台に脱着可能なシェルを搭載した構造となっている。特徴は、そのシェルが荷台に載せられていることから、荷物扱いになること。それにより、車両区分としては積載車両のナンバーを変更することなく利用できるのだ。つまり、普段、業務で使用しているようなトラックなども、そのまま利用できるのである。
ピックアップトラックの利用者が多い北米(米国)ではこのスタイルの利用も多いようだが、日本ではそのピックアップトラック自体があまり利用されないこともあって、トラキャンはあまり流行していないようだ。実際、今回は出展がなかったようである。
参考として、MYSミスティックが製造・販売している「ゼニス SP」を紹介。全長4630×全幅1830(2000)×全高2400mm、就寝定員4名。車両価格は標準サイズが334万8000円(税込)、ワイドサイズが351万円(税込)。
ゼニスSPを前方から。
ゼニスSPを後方から。
2017年2月23日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)