クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Cars

最終更新日:2020.01.14 公開日:2020.01.14

首都高・小松川JCT開通の効果速報。小松川JCT⇔埼玉方面はC2が早い!

2019年12月1日に開通した首都高・小松川JCT。C2中央環状線(外回り・南行き)から7号小松川線(下り・千葉方面)と、7号小松川線(上り・都心方面)からC2中央環状線(内回り・北行き)とを接続し、千葉~埼玉・北関東方面をつなぐ第3のルートとなった。開通2週間時点での効果について、首都高速から速報が発表された。

記事の画像ギャラリーを見る

画像1。小松川JCT。カーブを描いているのが、首都高・7号小松川線(上り)からC2中央環状線(内回り)への連絡路。

 首都高を利用して千葉~埼玉・北関東方面を往来する第3のルートとして、小松川JCTが開通した。今回は、この新たに誕生したC2経由と従来のC1経由による所要時間や周辺の高速道路における交通量の変化などが発表された。

画像2。小松川JCTの構造。4分の1方向だけ接続しているJCTだ。

小松川エリアから埼玉エリアまでの所要時間は、朝8時台で最大24分の短縮

 まずは所要時間の比較について。比較するルートは画像3の通りで、小松川エリア(小松川JCT)~埼玉エリア(板橋JCT)だ。距離はほぼ同じ約20kmで、C1経由の方が数百mほど長い。開通前のC1経由と、開通2週目のC1経由、そして開通2週目のC2経由の比較が行われた。期間は開通前が2019年11月25~29日で、開通2週目は12月9~13日までの平日平均のデータが用いられている。

画像3。小松川エリアから埼玉エリアまでのルートの比較。赤がC1経由、緑がC2経由だ。距離はほぼ一緒。

 画像4の折れ線グラフにある通り、小松川エリアから埼玉エリアまで(※2)の朝のピークは8時台。朝の通勤時間帯において、開通前のC1経由(赤の点線)が56分だったのに対して開通後のC2経由(水色の実線)は32分で、24分もの短縮を実現した。夕方のピークである17時台も、開通前が50分台を超えていたが、開通後のC2経由は40分台前半と、10分以上の短縮が見て取れる。

※2 小松川エリアから埼玉エリアまでの計測対象の車両:E14京葉道路からの連続利用、7号小松川線(上り)の一之江および小松川入口、C2の中環小松川入口を利用して小松川JCTを通過し、C1もしくはC2経由で板橋JCTを通過した車両が対象。

画像4。小松川エリアから埼玉エリアまでの所要時間比較。

 さらに画像4のグラフからは、開通2週目のC1とC2を比較した場合、あらゆる時間帯でC2の方が早いことがわかる。8時台が最大でC2経由の方が約15分、夕方の17時台もC2経由の方が10分以上早い。このことから、小松川JCTから板橋JCTへ向かう場合は、C2を利用した方が早いということがわかる。

埼玉エリアから小松川エリアも11時台で25分以上の短縮

 続いて、逆方向の埼玉エリアから小松川エリアまで(※3)の所要時間比較をしたのが画像5の折れ線グラフだ。

※3 埼玉エリアから小松川エリアまでの計測対象の車両:美女木JCTからの連続利用、および5号池袋線(上り)の戸田南、高島平、中台の各入口を利用し、C1もしくはC2経由で小松川JCTを通過した車両が対象。板橋JCTのすぐ北側の板橋本町入口から入った車両は、C1経由しか利用できないため計測対象外。

画像5。埼玉エリア⇒小松川エリア(小松川JCT)の所要時間の比較。

 開通前のC1経由(赤の点線)のピークは11時台で、50分以上かかっている。開通2週目のC2経由(水色の実線)は20分台半ばで、25分以上の大幅な短縮となった。夕方のピークである17時台は開通前のC1経由が40分台後半、開通2週目のC2経由が30分未満なので、約20分の短縮を実現している。また、開通2週目のC1とC2を比較した場合、こちらもすべての時間帯でC2の方が早く、埼玉エリアから小松川エリアまでの移動もC2を経由した方が間違いなく早いといえるだろう。

 このほか、画像4と画像5の両グラフから、C1の所要時間も短縮していることがわかる。これはC2経由を利用できるようになったことで、C1の交通量が減少したことも一因と考えられる。小松川JCTの開通は、C1の渋滞緩和にも寄与しているといえそうだ。

経路分担率は埼玉エリアから小松川エリアでは最大80%以上がC2を選択

 続いて、C1とC2のどちらを選択しているのか、開通2週目の経路分担率を示したのが画像6と7の棒グラフだ。画像6が小松川エリアから埼玉エリアまでで、画像7が埼玉エリアから小松川エリアだ。計測対象の車両は、所要時間と同じである。経路分担率は埼玉エリア~小松川エリアを走行した車両のETCデータを用いたもので、期間は2019年12月9~13日の平日平均データが用いられている。

画像6。小松川エリア⇒埼玉エリアのC1とC2の経路分担率。

 画像6の小松川エリアから埼玉エリアまでは、全時間帯でどちらかといえばC1(オレンジ色)の方が多い。C2(青色)が50%を超えるのは6~9時台、16~19時台で、最大は7時台の70%台半ばだ。

画像7。埼玉エリア⇒小松川エリアのC1とC2の経路分担率。

 一方、埼玉エリアから小松川エリアまでは、早朝・夜間はC1の方が多いが、7時台から19時台まではC2が50%を超え、最大は17時台で80%を超えている。全体的に見ると、C2の方が多いようだ。

 画像6と7のグラフからわかるのは、埼玉エリアから小松川エリアへ向かうドライバーは、C2の利用率が高いということ。C3外環自動車道(C3外環道)・千葉区間が開通するまでは、埼玉~千葉間の移動はC2の葛西JCT経由も多く使われていたことから、C2の利用に慣れているのかもしれない。

 一方、小松川エリアから埼玉エリアへ向かうドライバーは、まだまだC1経由が多いことがわかる。7号小松川線(上り)は6号向島線に合流する箱崎JCTまではJCTがないため、途中でC2(内回り)に乗り入れることに慣れていないのかもしれない。また、スマホのカーナビアプリと異なり、車載カーナビの場合は、まだまだ地図データが更新されていないことが考えられる。経路案内が出ないことの影響も考えられるだろう。

→ 次ページ:
首都高やC3外環道の交通量の変化

小松川JCTの開通による首都高やC3外環道の交通量の変化

 小松川JCT自体の交通量は、両方向合計で開通1週目は1日約6000台で、2週目では1日約9000台と増加中だ。今後も増えていくと予想されているが、それに伴う周辺首都高やC3外環道の交通量の変化を見てみよう(グレーの路線はNEXCO東日本の管轄の高速道路)。

画像8。小松川JCT周辺の高速道路において、交通量の変化を計測した地点の一覧。

 計測地点ごとの変化は以下の通り。計測された期間は、開通前1週間(2019年11月25~29日)、開通後1週目(同年12月2~6日)、開通後2週目(同月9~13日)で、平日の平均データだ。開通前1週間⇒開通後1週目⇒開通後2週目となっている。

【首都高速】
(1)C2・四つ木出入口~小松川JCT間:6万8800台⇒7万1200台⇒7万4200台
 開通2週目の交通量が、開通前と比較して5000台以上増加しており、小松川JCTの開通が関係しているものと思われる。

(2)7号小松川線・錦糸町出入口~小松川JCT間:6万1000台⇒6万800台⇒6万1700台
 当初、小松川JCTの開通により、錦糸町出入口~小松川JCT間を含めたC1経由ルートの交通量は減るものと期待されていたが、今回の計測期間では大きな変化はなかった。小松川JCTの交通量が増加しているにも関わらず、錦糸町出入口~小松川JCT間のあまり変化がないということは、小松川JCTの利用者の多くが元からC1経由ではなかった、ということも推測される。

(3)7号小松川線・一之江出入口~E14京葉道路:4万9300台⇒5万2900台⇒5万5200台
 小松川JCTの東側に位置する計測地点。開通前と比較して開通後2週目は5000台以上増加しており、小松川JCTの開通が関係しているものと思われる。

(4)B湾岸線・葛西JCT~葛西出入口:13万800台⇒13万100台⇒13万400台
 首都高において千葉~埼玉・北関東方面を往来するためのルートのひとつであるC2葛西JCT経由。このルートの交通の約8割は、千葉区間が2018年6月に開通した際にC3外環道に転換したという(国土交通省大宮国道事務所の「埼玉県渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ」の公開資料による)。そのため、現在ではC2葛西JCT経由で千葉~埼玉・北関東方面を往来する車両は割合として少ないようだ。実際、小松川JCTの開通前後で葛西JCT~葛西出入口はわずかな増減しかなく、C2葛西JCT経由は元から千葉~埼玉・北関東方面の往来でそれほど多くは利用されていなかったようだ。

画像8(再掲載)。小松川JCT周辺の高速道路において、交通量の変化を計測した地点の一覧。

 続いてはNEXCO東日本の管内となる、(5)C3外環道の三郷JCT~京葉JCT、(6)E14京葉道路の京葉JCT~原木、(7)E51東関東道の湾岸市川~谷津船橋の計測結果だ。計測データは、NEXCO東日本で計測されたものが首都高速に提供された。

【NEXCO東日本管内】
(5)C3外環道・三郷JCT~京葉JCT:6万4400台⇒6万2100台⇒6万3200台
 開通前と比較して開通後1週目で1日2000台以上が減っており、小松川JCTを利用してC2経由ルートを選んだドライバーが多かった可能性が考えられる。ただし、2週目には再び増加している。渋滞の状況などに応じて、C2経由とC3外環道経由と使い分けていることが考えられるだろう。

(6)E14京葉道路・京葉JCT~原木:10万6300台⇒10万6700台⇒10万9400台
 7号小松川線が接続しているE14京葉道路。今回の計測地点としては、(3)の7号小松川線・一之江出入口~E14京葉道路の東側に位置し、間にはC3外環道と接続する京葉JCTがある。開通2週目で開通前よりも1日3000台以上の増加となった。この増加も、小松川JCT開通が関係していると考えていいだろう。

(7)E51東関東道・湾岸市川~谷津船橋:12万100台⇒11万8100台⇒11万8100台
 位置的には、(4)のB湾岸線・葛西JCT~葛西出入口の東に位置する。ここは開通後に1日2000台が減少。(4)がほぼ変動がないのに対し、湾岸市川~谷津船橋が大きく減っている理由も、やはり小松川JCTの開通によりルートが大きく変わった可能性がある。従来は、E51東関東道~高谷JCT~C3外環道を利用して千葉~埼玉・北関東方面を往来していた交通が、E14京葉道路~小松川JCT~C2に乗り換えたのではないだろうか(千葉に入るとE14京葉道路とE51東関東道は近距離で並走して千葉市稲毛区の宮野木JCTで接続するので、どちらも利用しやすい)。


 今回の計測データから浮かび上がってくることは、E14京葉道路・7号小松川線~小松川JCT~C2というルートの交通量が間違いなく増加しているということだ。つまり、小松川JCTの開通が千葉~埼玉・北関東方面の交通の流れを変えたといえるだろう。今後、小松川JCTの開通がさらに浸透していくことで、C2経由の利用がより増加していくものと思われる。

 また、小松川JCTの西側に位置する計測地点の錦糸町出入口~小松川JCTが大きく変動していないことから、開通前はE14京葉道路・篠崎IC~C2・平井大橋出入口間を一般道で通行していたドライバーがC2経由の高速道路を利用するようになった可能性も考えられる。

→ 次ページ:
周辺一般道における交通量の変化

平井大橋入口の利用台数が大きく減少

 最後は、小松川JCT周辺の首都高入口の利用台数による比較で、一般道の交通量がどのように変化したのかを見てみよう。

 小松川JCTの開通前は、C2と7号小松川線を利用して千葉~埼玉・北関東方面を往来する場合、E14京葉道路・篠崎IC~C2・平井大橋出入口間は一般道を通る必要があった(画像9)。そのため、葛飾区および江戸川区の一般道における渋滞の一因となっていたのである(画像9の赤の一般道が渋滞の発生しやすい区間)。

画像9。小松川JCT周辺の一般道並びに首都高の入口(篠崎ICはE14京葉道路の出入口)。赤は主要渋滞区間(※4)。

※4 主要渋滞区間:出典は2013年1月に開催された首都圏渋滞ボトルネック対策協議会による「2012年首都圏の主要渋滞箇所の特定結果」より。

 そこでC2・平井大橋入口、7号小松川線一之江入口、新設されたC2・中環小松川入口の1日の交通量も調査された。期間は、開通前1週間が2019年11月25~29日、開通後1週目が2019年12月2~6日、開通後2週目が2019年12月9~13日だ。

 C2・平井大橋入口の1日の交通量は、開通前と開通後で大きく変化。開通前1週間は1日5200台だったが、開通後1週目で1日4510台まで減少し、開通後2週目は若干戻って1日4570台となった。おおよそ600台の減少である。これは、まず小松川JCTが開通したことでE14京葉道路・篠崎ICからC2・平井大橋入口までの間を一般道で通行する必要がなくなったことが要因のひとつと考えられる。また、環状七号線(国道318号)からアクセスのいい7号小松川線・一之江入口からもC2に乗れるようになったこと、C2・中環小松川入口も小松川JCTと同時に開通したことなども影響していると思われる。

7号小松川線・一之江入口は大きく増加し、新設の中環小松川入口も順調に増加中

 その7号小松川線・一之江入口だが、開通前1週間は1日に3470台だったのが、開通後1週目では1日4110台に、そして開通後2週目では1日4420台となった。ほぼ1000台の増加である。上述したように、これは環七からアクセスのいい一之江入口が、小松川JCTの開通でC2に入れるようになったことで、C2・平井大橋入口からの転換が行われたことが推測される。

 そして小松川JCTと共に新設されたC2(内回り)用の入口である中環小松川入口は、開通後1週目で1日630台、同じく2週目で1日710台と伸びてきている。一之江入口のように1000台に至らなかったのは、近くを通る船堀街道が環七ほどキャパシティのない道路であることも影響していると思われる。中環小松川入口の開通が今後浸透していけば、利用するドライバーが増加していくのは間違いないだろう。


 今回のデータから、小松川JCTの開通により、C2と7号小松川線の交通量が増え、利便性が大きく上がったことが証明されたといえるだろう。C1、C3外環道に続く第3のルートができたことで、千葉~埼玉・北関東方面の往来はより便利になったのは間違いないようだ。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(1月5日まで)
応募はこちら!(1月5日まで)