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クルマ最終更新日:2023.03.24 公開日:2023.03.24

VWが300万円台の低価格EVを発表。「ID.2all」はEV版ポロになれるか?

フォルクスワーゲン(VW)は3月15日、2万5000ユーロ以下の低価格な小型EVを発表した。「ID.2all」とは一体どのようなクルマなのだろうか? モータージャーナリストの小川フミオが解説する。

文=小川フミオ 写真=Volkswagen AG

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低価格EVに集まる期待

ID. 2allはゴルフと同じくらい広く、ポロと同じくらい手頃な価格と謳われる

ID. 2allはゴルフと同じくらい広く、ポロと同じくらい手頃な価格と謳われる

 フォルクスワーゲン本社が、ピュアEV「ID.2all」を発表しました。場所は独ハンブルグ。2023年3月15日に世界中からジャーナリストを集めてのお披露目です。

 ID.2all(アイディーツーオール)は、同社のBEV(バッテリー駆動のピュアEV)のブランドである「ID.」のラインナップのボトムラインを構成するモデル。発表されるなり欧州で大きな話題を呼んだのは、フォルクスワーゲン乗用車部門のトマス・シェーファーCEOが発表した「2万5000ユーロ以下(約360万円)」という販売価格です。

 現時点ではまだ「ショーカー」とされていて、発表会場に持ちこまれたのはただ1台。しかも外装だけで、内装はまだ出来ていません。それでも「2025年には発売」とシェーファーCEOは語ります。上位モデルの「ID.4」は、ドイツでも4万6000ユーロ程度で販売されていることを考えあわせて、2万5000ユーロのID.2allへの期待はおおいに高まっているようです。

Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)を核としてデザインされている

フロントマスクは人間の表情を意識してデザインしたという

リアクォーターパネルは初代ゴルフをとりわけ意識したとされるダイナミックさを感じるデザインに

フロントマスクは人間の表情を意識してデザインしたという。リアクォーターパネルは初代ゴルフをとりわけ意識したとされるダイナミックさを感じるデザインに。「デザインの背骨」などと表現されるリアクォーターパネルの造型がフォルクスワーゲンの一族であることを示している

 しかも、ID.2all、けっしてチープな感じがありません。まず、スタイル。現行ポロやゴルフといったエンジン車のあいだに入っても、まったく見劣りしません。それどころか「フォルクスワーゲン車のアイデンティティをしっかり持ちながら、未来を表現」(デザイン統括のアンドレアス・ミント氏)したという言葉どおり、魅力的なのです。

 20インチ径のロードホイールと組み合わせたタイヤが、全長4050mm(ポロより少しコンパクト)の車体の四隅に配されているうえ、ボディ側面には力強いキャラクターラインが入ります。

 いかにも走りがよさそうなハッチバック。これが実車を見た印象で、ミント氏が「いわゆるBEV的なデザインから脱したかった」と語っていたのもよくわかります。

万人のためのクルマづくりに立ち返るVW

ボディ下部にはモジュラーバッテリーが敷き詰められ、そのうえにアッパーボディが載るが、車高は1530mmに抑えられている

ボディ下部にはモジュラーバッテリーが敷き詰められ、そのうえにアッパーボディが載るが、車高は1530mmに抑えられている

 フォルクスワーゲンの本気度は、このクルマの作りからもみてとれます。従来のID.シリーズが使ってきた「MEB」なるBEV用のプラットフォームも大きく改良が施されました。これまではリアモーターの後輪駆動だったMEBを、なんと、フロントモーターの前輪駆動という「エントリーMEB」に作り替えてしまったのです。

「そこまでやった理由は、このマーケットではパッケージングが大事だからです。車体はコンパクトでも室内の広さと荷室容量の大きさが購買を左右するのです」

クリーンな造型と、直感的な操作系を特徴としたダッシュボード

荷室は二重構造で床下にも物入れが設けられている前席のパセンジャーシートは倒して長尺物を搭載することも可能

クリーンな造型と、直感的な操作系を特徴としたダッシュボード。荷室は二重構造で床下にも物入れが設けられている。前席のパセンジャーシートは倒して長尺物を搭載することも可能

 発表会場で話を聞いた、フォルクスワーゲンブランド技術開発担当のカイ・グリューニッツ取締役の言葉です。ドライブトレインを前に移すことで、リアの荷室容量は490リッターを実現。広大です。しかも後席シートの下にも50リッターの荷物用コンパートメントが設けられています。

「私たちは、フォルクスワーゲンを真の”Love Brand”(愛されるブランド)にするという明確な目標を持って、クルマの開発を行っていく」と、シェーファーCEOは明言します。「ID. 2all は、私たちのブランドが目指すべき姿を示しています」。シェーファーCEOの言葉を裏付けるように、発表時に会場を飾ったスローガンは「FOR THE PEOPLE」です。

 前出のヘッドオブデザインのミント氏は「親しみやすいフロントフェイスをデザインしました」と言います。フォルクスワーゲンのあるべき姿は、万人のためのクルマという根本に立ち返ることとされ、キュートで誰もが好きになるフロントマスクがこれからも登場するようです。ID.2にわざわざ付けられた「all」のサブネームが、フォルクスワーゲンの姿勢を端的に表現しているといえます。

スペックは必要十分

右から、T・シェーファーCEO、セールス/マーケティング/アフターセールス担当のI・ラベー取締役、デザインのA・ミント、技術開発担当K・グリューニッツ取締役

右から、T・シェーファーCEO、セールス/マーケティング/アフターセールス担当のI・ラベー取締役、デザインのA・ミント、技術開発担当K・グリューニッツ取締役

 発売は2025年の予定なので、バッテリー容量などの詳細は不明ですが(ID.3より小さくなるとか)、最高出力166kW、最高速度160km/h、満充電での走行距離は450kmに達すると発表されています。

 ポロがモデルチェンジしてID.2allになるといううわさもあり、それをジャーナリストから尋ねられたシェーファーCEOは、「なくなるモデル名もあるでしょう」と曖昧な返答。

 このさき、同じエントリーMEBプラットフォームを使ったSUVなども予定されているそうで、ポロやゴルフと並べて違和感のないID.2allから、本格的なBEV戦略が始まるのかもしれません。

フォルクスワーゲン アイディーツーオール|Volkswagen ID.2 all
ボディサイズ:全長4050x全幅1812x全高1530mm
ホイールベース:2600mm
駆動方式:FF
最高速度:160km/h
モーター最高出力:166kW(226PS)
一充電走行距離:約450km(WLTP)

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