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最終更新日:2023.07.06 公開日:2023.01.30

【初心者必見!】ルーフキャリアの選び方&使い方。キャンプのプロ小雀陣二さんに教えてもらいました

オートキャンプ場に行くとよく見かける、クルマの屋根に設置されたルーフキャリア。「バン以外の普通車でファミリーキャンプに行くなら、ルーフキャリアは必須!」と断言する人もいます。
「なんだか便利そう」と気になってはいたけれど、そもそもの使い方やラック型とボックス型の違い、積載量、メリット・デメリットなど、わからないことがたくさん!
そこでアウトドアの達人、小雀 陣二(こすずめ じゅんじ)さんに、キャンプシーンでどんな風にルーフキャリアが活躍するのか、設置方法、種類、使い方、注意点などをレクチャーしていただきます。
教えてもらうのは、私、普段家族4人でキャンプへ行っているライターの内舘 綾子です。

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記事提供元/カエライフ

アウトドアコーディネーター 小雀 陣二さん

1969年東京都生まれ、鎌倉在住。チュンチュンの愛称で親しまれ、アウトドア関連の雑誌、イベント、メディア、コラボ商品など多方面で活躍している、アウトドア業界のアニキ的存在。アウトドア料理人でもあり、レシピ本も多数執筆。ルーフキャリアはおもにスウェーデンの老舗メーカー「スーリー」を愛用。
Facebook @kosuzumejunji
カフェ「雀家

【基礎編】ルーフキャリアの仕組みとは?

そもそもルーフキャリアとはどんな仕組みなのでしょうか?

小雀さん:ざっくり説明するとルーフキャリア は「ベースキャリア」にルーフボックスやルーフラックなどの「アタッチメント」を取り付けて、荷物を積む仕組みになっています。僕のクルマにはベースキャリアが常に固定してあり、載せたい荷物によってアタッチメントを選んで取り付けています。

最初に共通していえるルーフキャリアのメリットと注意点を教えてもらいました!

<メリット>

  • 荷物の積載量が圧倒的に増え、車内のスぺ―スを確保することができる
  • 縦に長い荷物も運ぶことができる
  • 汚れたものや臭うものなど、車内に置きたくないものを収納できる
  • 無骨でワイルドな印象になりアウトドア感がでる上、駐車場でも見つけやすい

<注意点>

  • 立体駐車場や高架下など、車体の全高に注意する
  • 落下する恐れがないよう、完全に固定する
  • 洗車機を使用する際、ベースキャリア以外は原則取り外す
  • 積載荷重を確認し、超えないように注意する

アタッチメントを支える土台「ベースキャリア」

こちらがルーフキャリアを取り付けるために必要な土台「ベースキャリア」です。

小雀さん:僕はアウトドアの仕事で大きな荷物を積むことが多いので4本つけていますが、基本的に2本あればOK。2本1セットで販売されていることが多いです。

さらにベースキャリアの細かいパーツを見ていましょう。

小雀さん:ベースキャリアの部位は「バー」「フット」「ホルダー」の3パーツで構成されています。メーカーによって「バー」「ステー」「フック(キットとも)」など呼び方が違うこともあります。

バー

ルーフボックスやルーフラックなどのアタッチメントを固定するためのパーツ。

フット(ステーとも)

バーを取り付けるためのパーツ。メーカーによって高さは異なります。高いほうがアタッチメントの取り付け作業が楽になりますが、高さ制限のある立体駐車場などに注意しましょう。ベースキャリアごと盗難にあうこともあるので、キーロックつきだと安心。

ホルダー(フック、キットとも)

車体にベースキャリアを固定するパーツ。車種によってどんな形のホルダーを選ぶのかが違ってきます。

小雀さん:ベースキャリアを「どうやってクルマに固定するか」は、車種によって違ってくるので、アタッチメントの説明のあとに紹介します!

どんな荷物をのせるかで選びたい「アタッチメント」

どんな荷物を積載するかによって、アタッチメントを選んで取り付けます。

自転車やスキー・スノーボード、サーフボード用などいろいろなアタッチメントがありますが、今回はキャンプで人気のボックス型とラック型に絞ってご紹介します。それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。

◆ルーフボックス

ボックスの中に荷物を入れるタイプ。大きさはメーカーによって様々。片開きと両開きがあります。

<メリット>

  • 雨、風、日差しから荷物を守ってくれる
  • 蓋を開閉するだけで、簡単に荷物の出し入れが可能
  • カギ付きでセキュリティに優れる

<デメリット>

  • ボックスのサイズにより容量が制限され、自由度が低い
  • 紫外線や雨風を浴び続けると劣化してしまう
  • ラック型に比べて価格が高い
  • 身長が低いと積載作業は不便なことがある

◆ルーフラック

ベースキャリアに取り付けて、ネットとベルトで荷物を固定するタイプ。

<メリット>

  • フレキシブルに積載・固定できるので、自由度が高い
  • 多少濡れた状態の荷物を載せても、走行中に乾かせる
  • ボックス型に比べて価格が低い

<デメリット>

  • 雨、風、日差しの影響をダイレクトに受ける
  • 積み降ろしの際、ベルトやネットでの作業が手間
  • セキュリティ面に欠ける
  • 載せる荷物によっては空気抵抗となり走行が不安定になる

以上、ルーフキャリアのボックス型とラック型についてご紹介しました。

ベースキャリアの「装着方法」は車種によって異なる

続いてルーフキャリアを取り付けるための土台、「ベースキャリアはどうやってクルマに装着するのか?」について教えてもらいましょう。

小雀さんによると取り付けたいクルマが、下記のどれに当てはまるかで決まってくるそうです。

  1. ルーフレールがある
  2. ルーフレールがない
  3. レインガーター(雨どい)がある

小雀さん:レインガーター(雨どい)という言葉は初耳の人が多いかもしれません。商業車や海外のクルマによくついています。

では1つずつ見ていきましょう。

①「ルーフレール」があるクルマ

【ベースキャリアの装着方法】

ベースキャリアのフットをルーフレールにかませて装着します。そのため基本的にホルダーは使いません。

ルーフレールとは文字通り、クルマの屋根に取り付けられたレールのこと。おもにSUVやステーションワゴンでよく見かけます。クルマに標準でついている場合と、オプションで装着できる場合があります。

②「ルーフレール」がないクルマ

【ベースキャリアの装着方法】

ベースキャリアのホルダーをドア枠に挟んで装着します。クルマ本体に傷がつかないように、保護シールを貼るのがおすすめです。

③「レインガーター(雨どい)」があるクルマ

【ベースキャリアの装着方法】

ベースキャリアのホルダーをレインガーターに挟んで装着します。

レインガーターは商用車や海外のクルマによくついています。
Honda車ではN-VANについています。2cm幅ほどの雨どいで、走行中の雨滴を屋根に流す役割があります。

小雀さん:ちなみにこの写真をよく見ると、ベースキャリア+ルーフラックが一体型になっているのがわかりますか? ベースキャリア+ボックスの一体型もあります。取り付けの手間が省けますが、いろいろなアタッチメントを利用したい人には向いていません。

以上が、ルーフキャリアの基本的な仕組みと装着の仕方でした。

車種によってはクルマのメーカーが販売している純正品のベースキャリアじゃないと、取り付けNGなこともあるので確認してみましょう。

【実践編】ルーフキャリアの積載力をキャンプ用品でチェック!

それでは続いて実践編です! 実際にルーフキャリアの積載力をチェックしてみましょう。試すクルマはアウトドアで人気のフリード クロスターとN-VANです。

  • 車種「フリード クロスター」×「ボックス型」
  • 車種「フリード クロスター」×「ラック型」
  • 車種「N-VAN」×「ベースキャリア&ラック一体型」

こちらの3パターンの純正ルーフキャリアにキャンプ用品を積載してもらいました。積んでみて感じたことをレビューしていきます!

【ボックス型】ルーフボックスを取り付けてみました

フリード ルーフボックス(ロック付) 許容荷重:13kg サイズ:L195×W75×H22.5cm

フリード クロスターにはルーフレールがあるので、そこにベースキャリアを取り付けます。そしてルーフボックスを置き、4つの金具でしっかり固定します。

小雀さん:今回は車体の真ん中に取り付けました。でも個人的には、ルーフボックスは助手席側に取り付けることが多いです。道路に面した駐車場に停めたとき、運転席側はクルマが通ります。助手席側は歩道ですから荷物の積み下ろしがしやすいんです。

なるほど…。この話を聞いてから街でルーフボックスを観察すると、5台中3台が助手席側に設置していました!

ではキャンプ道具を積んでみましょう! 身長177cmの小雀さんは後部座席のドアを開けて、足をかけて作業しています。

あとで私も挑戦してみましたが、私の身長は150cm…。同じ体制でチャレンジすると、ルーフボックスの奥まで手が届かない! 背の低い人は踏み台があったほうが良さそうです。

ボックス型に積載できたキャンプ用品はこちら

4人分のシュラフ、マット、チェアがぴったり13kg分収納できました! とくにかさばりやすいシュラフが4人分ボックスに入ると、車内はだいぶスッキリしますよね。

カギ付きでセキュリティも安心

ルーフボックスにはカギがついており、さしたままの状態でないと開かない仕組み。これなら大事なキャンプ道具が盗まれる心配もなく、安心ですね。ただしカギの紛失には要注意!

本当はこれも載せたかった…!

本当は手前にある黄色い袋のタープもすっぽり入ったので載せたかったのですが、使用したルーフボックスの許容荷重13kgに対して3kgオーバーしてしまい、断念! 「隙間があるなら」とつい荷物を詰め込みたくなりますが、重量オーバーには気を付けたいところです。

寝具や着替えなど、なるべく軽量でかさばりそうなものを積むのがポイントですね。

載せたい荷物が少ないときは、ベルト付きで荷崩れ防止

ちなみにルーフボックスに荷物を入れた状態で、結構な隙間がある場合、付属ベルトがついているタイプなら、動かないように固定できて便利。走行中に荷物がガタガタ動いてしまうと、傷や故障の原因になってしまいます。

【ラック型】ルーフラックを取り付けてみました

ルーフアルミラック 許容荷重:21kg サイズ:L110×W82×H9cm

続いて、今度は同じフリード クロスターにラック型のルーフラックを取り付けてみました。先ほどのルーフボックスの許容荷重は13kgだったのに対して、こちらのルーフラックは許容荷重が21kgと8kgも多く載せられます。

ルーフラックの四方は9cm立ち上がっていて、その内側に荷物を入れる仕組みになっています。ルーフボックスに比べると載せる面積は小さいし、ラックよりも長い荷物は載せられませんね。

小雀さんが積載したキャンプ用品は、先ほどルーフボックスに載せた荷物の数より少ないですね。

タイダウンベルト(ルーフ用・2本入り) サイズ:L500×W2.5cm、ラゲッジネット(ルーフアルミラック用) サイズ:L90×W90cm

写真は荷物の積載が完了した状態。

では、こちらも重さをチェックしてみましょう!

ラック型に積載できたキャンプ用品はこちら

21kgまで載せられるので余裕ですね! あと荷重4kg分いけそうですが、ルーフラックのスペースの余裕がなさそうです。

【アドバイス】ルーフラックに荷物を載せたら、ベルト+ネットでしっかり固定が必須!

ルーフラックの場合、ふたを閉めるだけのルーフボックスと違って、荷物は専用のベルト(タイダウンベルト)でしっかりと固定し、さらに落下防止のネットを取り付ける作業が必要です。

小雀さん:ここでしっかりと固定しておかないと、走行中に荷物が落下してしまっては大変危険です。1つのアイテムに対して、ベルトを2本使うと強度が高まります。風圧の影響を少なくするため、荷物に持ち手があればベルトをからめ、ベルトや紐などがビラビラ出ていたら、しっかり結んでおくなど、丁寧に固定しましょう。

ルーフラックはたくさん詰めますが、ベルトでしっかり固定するテクニックが必要になってくるんですね。でもこの作業、あとで私もやってみましたが慣れるまでは大変でした…。

一方、ネットはゴムになっていてかぶせるだけなので、握力に自信のない私でも簡単に装着できました。ラックの下部分に引っ掛けていくだけなのですが、かなりしっかり固定されたので安心しました。

続いてN-VANの一体型のルーフラックに荷物を積み込んでみましょう。

【一体型】ベースキャリアが付いたルーフラックを取り付けてみた

ルーフキャリア 許容荷重:15kg サイズ:L約158×115×H7cm(Hにはフットの高さがプラスされます。ハイルーフ用約14cm、ロールーフ用約16cm)

最後はベースキャリアとラックが一体型になったN-VANのルーフキャリアに、キャンプ道具を載せてみましょう。

N-VANにはレインガードがあるので、そこにベースキャリアのフックをかませて装着します。無骨な雰囲気がオシャレですね! ルーフ全体を幅広く使えて、かなり自由に積載できそう。

小雀さん:2mの長い脚立など長尺のものを載せるなら、このタイプがいいですね。ただ正直、このタイプは30kgくらい許容荷重があると思いました。でも、軽自動車のN-VANは車高が1.9mもあるから、安全を期してルーフにあまりたくさんの荷物を載せないように規制しているのでしょうね。
ワゴンやミニバンみたいに背の高いクルマで何十キロもルーフキャリアに積んでしまうとコーナーで転倒してしまう危険性があります。クルマの高さによって転倒限界があるので最大積載量は調べとおくと安心です。

小雀さん曰く、車種別にクルマ自体の最大積載重量が決まっているそうです。つまり、ベースキャリアなどを含めルーフ上に積載するすべての重量を、ちゃんと把握しておく必要があるってこと。その点、メーカー純正品はクルマに合った許容積載量を記載しているので安心できるそうです!

ではキャンプ用品を積載してみましょう。小雀さん、何やらこまごましたキャンプ用品を大きな赤いバッグパックに詰め込み始めました。よくコンテナ(=収納ボックス)をルーフキャリアに載せているキャンパーさんを見かけますが…。

小雀さん:ルーフキャリアに積載できる許容荷重が少ない場合、大きめのバッグやソフトな素材のコンテナが活躍します。ハードな素材のコンテナは重量があるので、許容荷重をオーバーしてしまう可能性があります。

確かに、1つにまとめるときの収納の重さのことは忘れがち…。気にしないといけませんね。収納はハードなコンテナのほうがカッコイイと思っていましたが、ソフト素材のバッグのほうが軽くてよさそうです。飛び石はもちろん、防水加工のものなら突然の雨からもキャンプ用品を守ってくれますね!

※長尺物積載時にはHonda SENSINGの単眼カメラの感知範囲を妨げないように注意してください。Honda SENSINGの機能に影響が出るおそれがあります。

まだまだ空間には空きがありますが、ここで重さを計測してみましょう。

一体型ラックに積載できたキャンプ用品はこちら

許容荷重15kgなのであと0.8kg載せることができます。でも④のバッグはもうパンパンになっていて入らなかったので、これで打ち止めにします。

この一体型のルーフラックはルックスにおいて、3つの中では断トツ男前でキャンプにぴったり! ただ急に雨が降った場合、やはりぬれてしまうのがネック。荷物をとめるベルトの結び方もしっかり覚える必要があります。

手軽さを求めている方には少々難しいアイテムかもしれません。

【アドバイス】しっかり固定は基本! 全高が高い場合、脚立を使って作業しよう

一体型ルーフキャリアの場合は、荷物ごとにベルトで固定していきます。N-VANは車高が高いので脚立を使って作業。この日は大きな脚立を使ったのですが、3段くらいのコンパクトなものがあれば大丈夫そうです。

小雀さん:僕は普段3段の脚立を使って積載しています。やはりあったほうが作業はしやすい。特にベルトでしっかり固定する時などは、力を入れやすい体制でやるのがいちばんです。自分のクルマなら、ワイルドに天井に乗って作業しちゃいます!

確かにラック型の場合、ボックス型と違ってしっかり固定する必要があるから、脚立の確保が必要ですね。でも、3段くらいの脚立ならキャンプ場でもクーラーボックスやウォータージャグを置くなど、いろいろ活躍しそうだからあってもいいかも。

以上が3パターンのアタッチメントにキャンプ用品を積載したレビューでした。

【まとめ】初心者はルーフボックスがおすすめ。メーカー純正品をチェックしてみよう!

ボックス型のほうが荷物をポンポン入れて鍵を締めればいいので、私には合っているかもと思いました!

というのも、ラック型の積載の様子を見ていて、ちょっと初心者の私には難しいかな…というのが正直な印象です。小雀さんがラック型に荷物を積載するときは、こまごまとした荷物に対して2本のベルトを使って、しっかりと固定。荷物を引っ張ると、クルマごと揺れるくらいビクともせず、完全に固定されていました。

自分が積載した場合、固定したつもりでもゆるんで、走行中に外れたらどうしよう…と考えると心配で運転に集中できないかも、と感じてしまいました…。

ちなみにルーフキャリアの有名メーカーには、THULE(スーリー)、INNO(イノー)、YAKIMA(ヤキマ)、Terzo(テルゾ) などがあります。

ただし車種やグレードによっても適合するかどうかが違ってきます。 とくに初心者がルーフキャリアを選ぶときには、まずメーカー純正品をチェックしてみるのがオススメ。もちろんクルマを買ったあとからでも、装着することは可能です。

積載力が格段にアップするルーフキャリア。毎度家族分のギアでクルマの荷室がパンパンだったわが家にとっては、まさに強い味方になりそう! みなさんも自分のライフスタイルに合ったルーフキャリアを選んでくださいね。

ライター 内舘 綾子
東京都生まれ。Instagramをきっかけにキャンプメディアのライターを始める。キャンプ好きの父親の影響で子どものころからキャンプに親しむ。1歳と5歳の2児の母となった現在も、週末は家族でキャンプへ行くママキャンパー。
Instagram @___a.y.a.k0uchi__

文/内舘 綾子
写真/矢野 宗利
編集/LIG

※この記事は、カエライフに2020年2月24日に掲載されたものです。

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