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最終更新日:2020.06.16 公開日:2020.06.16

長崎自動車道の4車線復旧が数か月前倒しで7月上旬完工。4重の地すべり対策採用

2019年8月27日の大雨により地すべりが発生し、復旧工事が進められてきたE34長崎自動車道・武雄JCT付近。4車線の完全復旧が数か月前倒しとなり、7月上旬の見込みが立ったことが発表された。

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2019年8月27日の異常降雨により地すべりが発生、路面が隆起してしまったE34長崎自動車道。画像提供:NEXCO西日本

 E34長崎自動車道は2019年8月27日の時間最大50mm、連続雨量261mm(路面隆起の発見時)という異常降雨により、3か所で土砂崩れなどの災害が発生し、通行止めとなった。中でもE35西九州道と接続する武雄JCT(佐賀県武雄市)においては、武雄南料金所の正面、下り車線側ののり面において縦約170m×横約60mの範囲で地すべり(土砂崩れ)が発生。その影響で路面が最大で約1mも隆起し、側方に約2mもずれてしまったのである。

長崎道・武雄JCTの所在地。

 原因は活発な秋雨前線による異常な降雨量によるもので、支持層となる砂岩の上部にある風化した凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん ※)に雨水が浸透し、急激な地下水位の上昇および地盤の強度低下が発生し、地すべりが発生したと推定されている。

※1 凝灰角礫岩:火山活動で放出された多種多様なサイズの砕屑物(さいせつぶつ)が固まってできた火砕岩の1種。火山灰を主体とし、火山岩塊や火山礫を含む岩石。

4車線完全復旧までの道のり

地すべりからの
復旧が進むE34長崎道の武雄JCT。画像提供:NEXCO西日本

地すべりからの復旧が進む、長崎道・武雄JCT(下り車線)ののり面。画像提供:NEXCO西日本

 通行止めの直後は、上り線とE35西九州道をつなぐ連絡路を使って一般車両を通行するようにし、さらにその後、9月10日からは上り車線を復旧させて1車線ずつの対面通行が行われてきた。そして、いよいよ7月上旬に4車線の完全復旧である。当初、完全復旧は2020年秋頃の予定とされていたが、大きく早まったのは、鋼管杭打ち込み機の追加などによる工程の工夫によるものだという。

 また完全復旧を控え、約1か月前となる6月8日22時からは、下り1車線の通行が再開。上下線とも走行車線を利用する形となっており、対面通行はもう行われていない。また今後の予定としては、7月に入った後、完全復旧の前に今度は上下線とも追い越し車線だけでの片側1車線通行が計画されている。

地すべりの再発を抑止するための4つの対策

地すべりを起こしたのり面を補強するため、約600本の鉄筋が挿入された。その工事の様子。画像提供:NEXCO西日本

 NEXCO西日本では、地すべりの再発防止対策として、4つの工事を実施したという。まず、地すべりを起こした下り車線に隣接したのり面が、まず補強された。長さ約5.5mの鉄筋を約600本挿入すると同時に、のり面保護工事も約1500平方メートルにわたって実施されたのである。次に、のり面の奥側には地すべりを抑止する目的で、直径500mmの鋼管杭約80本が2列で打設された。

約80本の鋼管杭の打設工事が行われている様子。画像提供:NEXCO西日本

 3つ目は、地下水位の上昇により地すべりが発生する危険性が高まることから、その対策が施された。地下水位の上昇を抑止するため、集水井および水抜きボーリングが2か所に施工されたのである。最後は、地下水位を上昇させる原因である雨水の浸透に対しての対策。水路および地下排水路が、700mにわたって設置された。

E23長崎道の武雄JCT近辺に施された地すべり再発防止対策の模式図。画像提供:NEXCO西日本


 武雄JCT付近は単純に路面の舗装を修繕しただけでなく、地すべりの再発防止として4重の対策が採られた。これから雨の多い時期でも、利用者にとっては心強いことだろう。

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