マツダも”EVシフト”?「エンジンのマツダ」その狙いとは。
マツダは10月2日、車の電動化とコネクティビティに関する技術戦略を発表した。
これによると、2050年までに10年比でCO2排出量を90%削減するために、20年にはEVを市場投入する考えだ。また、30年時点では生産するすべての車両に電動化技術を搭載するとしている。この30年の電動化技術搭載車両の構成比だが、マツダでは電動+内燃機関車が95%、EVを5%程度と想定している。合わせて提携しているトヨタと連携して”つながる車”技術にも取り組む。
マツダはこれまで、同社の代名詞とも言われたロータリーエンジン(写真上:かつてのロータリーエンジン研究部)に始まり、バルブ制御が特徴的なミラーサイクルエンジンをいち早く採用するなど、他社とは一線を画すエンジン開発姿勢を貫いてきた。12年にロータリーエンジン搭載車が廃止されたが、10年に発表していた開発方針「SKYACTIV TECHNOLOGY」によって、ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G」やディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D」といった画期的な機構を採用した新型エンジンを続々と開発、投入してきた(関連記事1,2,3)。17年には、「これからも理想の内燃機関の追求に資本を投入していく」とし、電動化に舵を切り始めていた他の国内カーメーカーとは異なるスタンスを明確にしていたことから、「さすがエンジンのマツダ」だと多くの守旧派ユーザーの胸をアツくさせた。
マツダの”EVシフト”の真意
だがここへ来て、”EVシフト”とも取れる今回の発表である。マツダでは、そうした昔から同社を応援してきた多くのユーザーを慮ってか「決してエンジンを諦めたわけではない」とする。ロータリーエンジン(写真上)を、そのコンパクトで高出力な特徴を活かして、EVのレンジエクステンダー(発電機。EVの弱点である航続距離を伸ばす装置)として採用する方針だとしている。また、直接的な動力源という意味でも、予混合圧縮着火技術を投入した新開発ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を搭載したモデルを、近々米国で発表する予定とした。つまり今回の発表は、巷間言われる”EVシフト”ではなく、あくまで「長期ビジョンに基づいた戦略」としての位置づけというわけだ。
CO2排出規制やディーゼルエンジン規制などでエンジンを取り巻く環境が年々厳しくなっている。そんな中、業界トップクラスとも言われるマツダのエンジン開発技術の動向に注目することで、今後の内燃機関の命脈を探ることができるかもしれない。