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最終更新日:2017.05.02 公開日:2017.05.02

山手線の最新車両E235系のスタイリッシュデザインの秘密は新開発の透明フィルムにあった!

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通勤型車両の最新モデルで、山手線に最初に導入されるJR東日本のE235系。従来の横方向のカラーラインだとホームドアの設置が進んでいて見えにくくなってきたため、ドア部分に縦方向にカラーリングが施されている。製造は、JR東日本の100%子会社である総合車両製作所(J-TREC)。J-TRECの次世代ステンレス車両「sustina」シリーズのひとつ。写真提供JR東日本。

 現在、JR山手線に最新車両のE235系通勤型車両の量産先行車1編成11両が走っているのをご存じの方も多いだろう。ニューヨークの地下鉄用車両としても走れそうな、ちょっとソース顔の雰囲気をしたフロントフェイスが特徴である。

 「乗客と社会とコミュニケーションする車両」をコンセプトに、サービスの向上、安全性・安定性の向上、環境性能の向上を掲げるE235系は、2015年から量産先行車の1編成が現行のE231系500代に混じって走ってきた。

 そして、この5月22日からはいよいよE235系の量産車の導入が始まる。量産車は、量産先行車で得られた要望などをもとに、荷棚が5cm低くなっているなど、利便性が改善されている。

 今後のE231系からE235系へのリプレースのスケジュールだが、まず17年度中に15編成が入れ替わる。そして、20年までに残りの34編成が交代する計画だ。最終的にE235系は、量産先行車も含めて全50編成550両がE231系500代と入れ替わるのである(E231系500代はホームドアにも対応できる保安装置の追加といった改造工事を経て、中央・総武緩行線へ順次転用される計画)。

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現行のE231系500代。E231系も省エネ性が特徴(電力消費量は、JR発足1987年当時に通勤型の主力だった103系の47%)だが、E235系は電力ロスの低減と、ブレーキ時の回生エネルギーの増加を目的として次世代半導体素子と呼ばれる「SiC」を採用しており、E231系よりもさらに消費電力が抑えられているという。なお数字の前につく「E」がつく車両は、JR東日本の車両であることを示す。

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ステンレスボディのメリット・デメリットは?

JR東日本の通勤・近郊型はステンレス車両

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京浜東北線などで使用されている、E233系。現在のJR東日本の通勤・近郊型の車両は、山手線を初め、このようにステンレス製となっている。E233系は、E231系の主要機器を二重系化して信頼性を高めたタイプ。

 近年の日本国内の鉄道車両は、軽量化(省エネ化)やリサイクル性のアップを目的として、ステンレス製やアルミ製が増えている。JR東日本の場合も、首都圏で利用されている通勤・近郊型車両はステンレス製だ(同社が使用しているすべての車両がステンレス製というわけではなく、新幹線がアルミ製で、特急用車両には鉄鋼製のものもある)。

 ステンレス製の車両に共通する外見的な特徴は、錆びる心配があまりないことから塗装せず、ステンレス地のままの面積が多いというところだろう(鉄道会社によっては、ステンレス製の車両でも全面塗装している場合もある)。

 ステンレスならではの、髪の毛が流れているかのような細かい直線的な研磨跡を施す表面処理を「ヘアライン」というが、その美しさを見せる狙いもあるようだが、同時に塗装作業にかかる時間や塗料自体を減らせる・なくせるといった狙いもある(車両側面のカラーラインは塗装ではなく、フィルムが貼られている)。

デザイン面でのステンレス車両の問題点とは?

 しかしステンレス車両の外見にデザイン性を求める場合、実は克服すべき課題がある。近年はデザインを施すような場合、車体に直接塗装するのではなく、フィルムを貼り付ける手法が採られているのだが、ステンレスならではのヘアライン処理を隠してしまうのはもったいないことから、貼るのはイラストや文字などを印刷した透明なフィルムが理想的である。

 だが、従来の透明フィルムとステンレスは相性が悪かった。ステンレスに貼った状態で風雨や直射日光にさらされると、短期間でフィルムが劣化してしまうのだ。要は、これまではステンレス製の車体には透明フィルムでデザインを施すことは困難とされてきたのである。

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ステンレスにも使える新型透明フィルムが登場!

弱点を克服した透明フィルムが登場!

 そんな中、米国に本社を構えるスリーエムが、ステンレスに対する弱点を克服した透明フィルム「3M スコッチカル グラフィックフィルム ステンレス用透明タイプ」を開発。

 同フィルムは表面にフッ素系の特殊コーティングが施されており、風雨や直射日光、ホコリなどに対する耐候性や耐汚染性、洗車時の耐久性を確保。さらに、粘着剤の表面に微少なガラスビーズをコーティングした「3M コントロール タッグ」という技術により、位置決め時の貼りつきを防ぐ施行性の高さを有する。また、はがす際もきれいにはがすことができる再剥離性も従来製品より優れているのが特徴だ。

 これらの特徴により、これまでは困難とされてきたステンレスの車体に加飾しても長期間にわたって初期の美しい外観を保てることから、E235系では同フィルムが採用された。ステンレス車両ながら、デザイン性もより求めた車両となったのである。

 ちなみに、「3M スコッチカル グラフィックフィルム」シリーズは、17年1月に運行を開始した、東京メトロ・銀座線の開通時の旧1000系により似せたデザインの新1000系特別仕様車両にも採用されている(銀座線新1000系特別仕様についての記事はこちら)。

 下の画像はステンレスに貼られた同フィルム。透明なので、ヘアライン処理が見えることを見て取ってもらえるだろう。

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E235系に使用されている新型透明フィルム。矢印は、フィルムの端。

 今後、少しずつE235系は編成が増えていくので、山手線を利用する方や、並行して走る京浜東北線などを利用する方は見かける機会が増えるはず。もし次にE235系を見かけたときは、フィルムがどのように貼られているのか、あなたもその目で確かめてみてほしい。

2017年5月2日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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