憧れのスクーター「ベスパ」80周年モデルを現地取材! ベトナム・ホーチミンで見たバイク社会の実態とは? | KURU KURA(くるくら)

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公開日:2026.07.06

憧れのスクーター「ベスパ」80周年モデルを現地取材! ベトナム・ホーチミンで見たバイク社会の実態とは?

ベスパオーナーによるパレードには約400台が参加した。

1946年にイタリアで誕生したベスパは、スタイリッシュなデザインと高い質感で世界中のライダーから愛され続けるスクーターブランドだ。2026年に80周年を迎え、アジア向け生産拠点を持つベトナムで開催されたイベントを現地取材した。

ベスパオーナーによるパレードには約400台が参加した。

文と写真=安室淳一

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ベトナム・ホーチミンのバイク事情が面白い!

イタリアを代表し、世界で最も有名なスクーターブランドとして知られている「ベスパ」 。スタイリッシュなデザインと高い質感で世界中のライダーから支持を集め、スクーターを選ぶならベスパと考えるファンも少なくない。

ベスパは1946年、イタリアのトスカーナ州のポンデデーラで誕生した。ブランド名は、試作車を見た創業者のエンリコ・ピアッジオが、くびれた車体と羽音のようなエンジン音から「まるでスズメバチ(イタリア語でVespa)のようだ」と話したことが由来とされる。また、映画やテレビで使用される機会も多く、映画『ローマの休日』に登場したことで、バイク好きだけでなく、幅広い層にも知られる存在になった。

そんなベスパは、2026年で誕生80年周年という節目を迎え、6月下旬にはイタリアのローマで記念イベントを開催。それに先立ち、ベスパのアジア・パシフィック地域の拠点であり、生産工場を構えるベトナムでも同様の記念イベントが開催されたので、現地で筆者が取材した。

ベトナム・ホーチミン市の日常を映す通勤風景

ベトナム・ホーチミン市の日常を映す通勤風景

イベントが開催されたのは5月14日。会場はベスパのアジア工場がある首都ハノイではなく、ベトナム最大の商業都市ホーチミンだった。

同時期の日本(東京都内)の気温は25度前後で、多少暑さを感じるものの、まだ心地良く過ごせる時期だった。一方、ホーチミン到着時の気温は、深夜0時過ぎにも関わらず31度。まさに熱帯夜で、到着早々に東南アジアらしい暑さの洗礼を受けた。

翌日も朝から気温30度を超え、一足早い真夏を体感。この日はメーカーの計らいで、ホーチミン市内で観光と、現地ディーラーを訪問する機会が設けられた。街の雰囲気や交通事情、そしてホーチミンならではのバイク文化を知るには好都合だった。

ホーチミンの道路は広く、しっかりと整備されていた。また街自体も綺麗で、随所に残るフランス統治時代のコロニアル建築が目を楽しませてくれた。しかし交通量は昼夜問わず非常に多く、体感では行き交うモビリティの約7割をバイク(ほぼスクーター)が占めていた。

しかし、過去にも現地を訪れたことがある現地ディーラーの担当者によると、2~3年前と比べてクルマの数はかなり増えたという。その様子からも、ベトナムは徐々にクルマ社会へと移行しつつあることがうかがえた。

また、3車線道路では「クルマ専用」「クルマ・バス・2輪」「2輪・3輪専用」と車種ごとに走行レーンが指定されており、日本とは異なる交通ルールがユニークだった。ただし、交通ルールは遵守されている感じではなかったが……。

3車線道路では車種別に走行レーンが指定されるなど、日本にはない交通ルールが採用されていた。

3車線道路では車種別に走行レーンが指定されるなど、日本にはない交通ルールが採用されていた。

世界第2位のバイク保有率を誇るベトナムらしく、街中はスクーターで溢れていたが、その交通の流れは意外なほどスムーズ。理由のひとつは、多くのライダーが比較的ゆったりとした速度で走行しているため、咄嗟に回避しやすい状態にあることだろう。

さらに、道路利用者同士が交通の流れを熟知していることに加え、クラクションがコミュニケーション手段として効果的に機能していることも、その要因だと感じた。

ほかにも印象的だったのは、ホーチミンの広い歩道だ。多くのスクーター乗りは歩道に車両を停めているが、そこには係員らしき人がおり、置き場所を指示したり、車両を移動させたりすることで、歩行者の通行スペースがしっかり確保されていた。

この混沌した交通状況、まさにベトナム・ホーチミンのイメージ通り!

この混沌した交通状況、まさにベトナム・ホーチミンのイメージ通り!

いま、ホーチミンではどんなスクーターが人気?

街で見かけるスクーターは「ホンダ」が圧倒的に多く、次いで存在感を放っていたのがベトナムの自動車・EVメーカーの「ヴィンファスト」の電動スクーターだ。もちろんベスパの姿もホンダやヴィンファストほどではないが、市街地では頻繁に見かけることができた。

ただし、ベスパはいまだにベトナムでは富裕層のステータスシンボルとして認識されており、他メーカーのスクーターと比べて高価で、気軽に購入できる存在ではないらしい。

現地ディーラーで確認した際、ベスパ「スプリントS」(2025年式)の新車価格は125ccが8820万VND(ベトナムドン)、150ccが1億400万VND。日本円で換算※すると、それぞれ約54万900円、約63万7800円となる。
※2026年7月2日時点のレート(1円=163.05VND)

これはベトナムでの一般的な平均年収とほぼ同水準だという。日本人の感覚で例えるなら、ミドルクラスSUVの上級グレードや高級ミニバンを購入するようなもので、ベスパがステータスとなる理由にも納得した。

ホーチミン市内で立ち寄ったベスパのディーラー。非常に清潔感があり、ベトナムでステータスシンボルとして高い人気を誇るベスパらしい印象を受けた。

ホーチミン市内で立ち寄ったベスパのディーラー。非常に清潔感があり、ベトナムでステータスシンボルとして高い人気を誇るベスパらしい印象を受けた。

ベスパ80周年記念イベントはどうだった?

ホーチミンの街並みや交通事情をたっぷり満喫した翌日は、今回の取材のメインイベントとなるベスパの80周年イベント「80 YEARS OF AN ICON」へ参加した。会場はサイゴン川沿いの新都市区にあるトゥーティエム公園だ。

まず、午前中は公園内のホールでセレモニーが行われ、スクリーンにはベスパ80年の歴史を辿る映像が上映された。続いて、ベスパ80周年記念モデルがランウェイに華々しく登場した。

その後はダンスパフォーマンスとファッションショーが披露され、ピアッジオ・ベトナム社のCEOであるジャンルカ・フィウメ氏がスピーチした。さらに、往年のベスパのテレビCMが上映されたほか、開発陣がブランドの歴史や開発コンセプト、デザインへのこだわりを紹介し、80周年記念モデルの詳細説明をもってセレモニーは幕を閉じた。

ベスパは“おしゃれスクーター”の代名詞。その洗練されたデザインは、ファッションショーとの相性の良さを改めて感じさせた。

ベスパは“おしゃれスクーター”の代名詞。その洗練されたデザインは、ファッションショーとの相性の良さを改めて感じさせた。

午後からは会場を屋外へ移し、一般来場客やベスパオーナーも参加できるオープンイベントが開催された。メイン会場には、各モデルを魅力的に演出した5つの展示ブースが会場を囲むように並び、その中央には80周年記念モデルが展示された。

また、隣接するサブ会場には、ベスパのアクセサリーやアパレルを展示するディーラーブースのほか、最新モデルの試乗ができるテストコースも用意され、多くの来場者で賑わっていた。

屋外イベント最大の見どころとなったのは、約400台のベスパが参加したホーチミン市内のパレードだ。ベトナム各地から集まったベスパオーナーや関係者が一斉に街へ繰り出す様子は圧巻で、沿道からも大きな注目を集めていた。

その後、イベントは夜まで続き、参加者全員でベスパ 80周年を祝うバースデーソングを合唱。最後ははライブパフォーマンスで締めくくられ、華やかな舞台の幕が閉じた。

現代版ローマの休日!? こちらの美しい女性、実はカンボジアで有名な女優のメリア・コンスタンティンさんでした。

現代版ローマの休日!? こちらの美しい女性、実はカンボジアで有名な女優のメリア・コンスタンティンさんでした。

イベントは夜まで続き、フィナーレにはライブパフォーマンスが披露された。

イベントは夜まで続き、フィナーレにはライブパフォーマンスが披露された。

ベスパ80周年特別仕様車とは?

最後に、今回の主役となるベスパ誕生80周年記念の特別仕様車2モデルを紹介しよう。

1台目は、ベスパの「GTS SUPERTECH 300」をベースとした「GTS 80th」(税込93万5000円)だ。GTSは排気量・車格ともに大きい上級モデルで、クラシカルかつ上質なデザインに加え、快適装備も充実。余裕ある走りが魅力で、300ccモデルでは高速道路でのツーリングも視野に入れられる。

もう1台は、スポーティなスタイルと軽快な走りで人気のSprintシリーズをベースとした「スプリント80th 180」(税込63万2500円)。軽量・コンパクトなスモールボディにシャープなデザインを採用し、市街地でも扱いやすい俊敏な走りが特徴だ。

ベスパ GTS 80th(左)とスプリント 80th 180(右)。GTSは全体的に丸みを帯びたボディと、ベスパらしいクラシカルな雰囲気が特徴。ボディサイズも大きく、存在感がある。一方、スプリントは多角形のヘッドライトやボディに面構成を採用し、スポーティでシャープなスタイリングに仕上げられている。

ベスパ GTS 80th(左)とスプリント 80th 180(右)。GTSは全体的に丸みを帯びたボディと、ベスパらしいクラシカルな雰囲気が特徴。ボディサイズも大きく、存在感がある。一方、スプリントは多角形のヘッドライトやボディに面構成を採用し、スポーティでシャープなスタイリングに仕上げられている。

80周年記念モデルの特徴として、まずカラーリングが挙げられる。1946年の初代ベスパから着想を得た、落ち着きのあるパステルグリーンを採用。そのこだわりのカラーは、ミラーやボディシールドエッジ、そしてリアハンドルバーなど、様々なパーツでも使用されている。

さらにシートレザーやハンドルグリップのラバー、そしてフットレスト、バックパネルカバーには、同系色のダークトーン素材が用いられ、全体の統一感を追求した仕上がりとなっている。

そのほか、ホイールは1946年に登場した量産第1車「ベスパ 98」から着想を得たデザインとし、表面には“EST.1946”の文字を刻印。フロントシールドには80周年記念エンブレム、レッグシールド内側のグローブボックスリッドにはハニカムヘキサゴンデザインの記念ロゴバッジが輝く。

また「スプリント80th 180」には、走行パフォーマンスと燃焼効率の向上を両立させた新型エンジンが搭載され、より快適な乗り心地を味わえる仕様となっている。

ベトナムでは国際運転免許証が無効ということで、残念ながら現地での試乗は叶わなかったものの、帰国後に従来のスプリント150ccモデルと新型180ccモデルを乗り比べる機会を得た。

発進から中速域までの加速性能は体感的に大きな違いは感じられなかった。しかし、高速域では違いが明確に表れ、150ccモデルは速度の伸びがやや穏やかになる一方、180ccモデルは余裕を残したままスムーズに加速していく印象だった。

さらに新型180ccモデルでは、走りに余裕が生まれただけでなく、現行150ccモデルと比べて燃費も約12%向上している。既存オーナーにとっても乗り換えを検討する価値のある進化と言えるだろう。

GTSとスプリントの80周年記念モデルは、ベスパらしいエレガントなデザインと快適な走りを高い次元で両立した特別な一台だ。単なる記念モデルにとどまらず、所有する歓びをより強く感じさせてくれる仕上がりとなっていた。

ベスパ80周年記念モデルには、特別感を演出する専用ディテールが随所に盛り込まれている。

ベスパ80周年記念モデルには、特別感を演出する専用ディテールが随所に盛り込まれている。

SPECIFICATIONS
ベスパ スプリント80th 180|Vespa Sprint 80th 180
ボディサイズ:全長1870×全幅735mm
シート高:790mm
ホイールベース:1340mm
車両重量:132kg
総排気量:174.1cc
エンジン:空冷単気筒SOHC3バルブ
最高出力:11kW(14.8HP)/8000rpm
最大トルク:13.7Nm/6000rpm
燃料タンク容量:7.5L
ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク(ABS)/機械式ドラム
タイヤサイズ(前/後):110/70-12/120/70-12
トランスミッション:CVT
価格:63万円2500円(税込)

ベスパ GTS 80th|Vespa GTS 80th
ボディサイズ:全長1980×全幅795mm
シート高:790mm
ホイールベース:1385mm
車両重量:163kg
総排気量:278cc
エンジン:水冷単気筒SOHC4バルブ
最高出力:17.5kW(23.8HP)/8250rpm
最大トルク:26Nm/5250rpm
燃料タンク容量:8.5L
ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク(ABS)/油圧式ディスク(ABS)
タイヤサイズ(前/後):120/70-12/130/70-12
トランスミッション:CVT
価格:93万円5000円(税込)

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