2019年12月25日 12:50 掲載

次世代技術 池袋サンシャインシティで自動運転バスに試乗


くるくら編集部 小林 祐史

いざ、自動運転バスに試乗

 実証実験に使われた自動運転バスは、条件を満たせばハンドルから手を放すハンズフリーも可能だが、今回の実験においては、運転操作の主体はあくまでドライバーとなる。自動運転中でも、ドライバーはハンドルをいつでも握れるような体勢をとらねばならず、普段運転するのと同じ体勢で着座していた。

自動運転を開始するドライバー

GPSを受信して、豊島郵便局の交差点から自動運転を開始しようとしているドライバー。運転席には自動運転を操作するタッチパネルモニターが置かれている。モニターの右上には、GPS受信状況や3D地図の有無などといった各種ステータスを示すアイコンが、2列に並んでいる。上段のいちばん左がGPS受信状況を示す。緑は受信中、赤は受信していないことを表す。

 自動運転プログラムには、走行する車線まで指定してあった。循環バスを想定した実証実験なので、片側23車線でも常に左車線を走行する。しかし豊島郵便局の交差点を過ぎたあたりや、サンシャイン前の交差点では、中央車線を走るようプログラムされていた。その2か所の左車線は首都高速や地下駐車場の入口への専用レーンになっているからだ。

 また東池袋中央公園付近で、バス停に停まるというプログラムも盛り込まれていた。実際にバス停の看板が立てられていたわけではなく、3D地図内に書き込まれたバーチャルのバス停だったが、停車するたびに、停車位置の誤差を計測するなどの実験も行われた。

 自動運転区間では交差点の左折は、自動運転でハンドル操作し、ドライバーが安全確認するという協業体制だった。豊島郵便局と東池袋中央の交差点では、横断歩道の前でバスが停止するようにプログラムが組まれていた。バスが停止するとドライバーは周囲の安全を確認して、タッチパネルモニターで自動運転の再開を指示。するとバスはゆっくりと左折を再開した。

 サンシャイン前の交差点は歩車分離式信号のため、横断歩道の前で一時停止しないプログラムだった。

自動運転で左折中のバス

サンシャイン前の交差点を左折するバス。ルーフのレーザーセンサーで建物との距離を測り、3D地図に沿って、ハンドルが自動で切られていく。写真ではドライバーがハンドル操作をするように見えるが、不測の事態に備えてハンドルがすぐに握れるようにするため。自動運転は、モニター左上の赤の丸いアイコンをタッチするか、ブレーキを踏むと解除される。

臨機応変な車線変更が課題

 コース内の左車線は、バンやトラックなどの貨物車が荷下ろしのために停まっていることもあった。今回は、そんな車両に対しては、自動運転バスは停まっているクルマの直後まで来て停車するようにプログラムされていたという。実際の交通シーンで臨機応変な車線変更を可能とするプログラムの開発も、今後の課題となっているそうだ。

障害物を検知して停止する自動運転バス

路上に停まっているクルマがあると、自動運転バスは数メートルまで近づき停まる。ここで自動運転を解除して、ドライバーが車線変更を行う。

 実証実験では体験できなかったが、一定条件下での車線変更を促すシステムの開発はすでに始まっているそうだ。例えば工事などのような、3D地図からの情報とは異なる臨時的な車線規制に対応するために、車線規制を知らせる発信機を施工区間に設置する。自動運転バスは発信機からの電波を受信して、車線変更を行うというものだ。

 このように車体に搭載されているセンサーだけでなく、道路にある機器をIoT化してバスへ情報を送ることで、3D地図の情報にはない臨時的・突発的な道路状況の変更に対応して自動運転を継続する方法の研究も、群馬大学では進められている。

 道路にある機器のIoT化としては、信号機が注目されている。自動運転バスは、カメラで信号機の色を認識してはいるが、その信号が何秒後に青へ変わるのかは認識できていない。さらに、時間帯によっては点滅式信号に変わる信号機であることも、自動運転バスは知らない。信号機からそうした情報を自動運転バスに発信してあげることで、安全性を高めていく研究も行われているという。

自動運転バスを降車して

 混合交通下での実証実験は、十分な社会受容性を感じさせるものだった。今後の課題としては、歩行者が横断歩道を渡っている場合の左折と、臨機応変な車線変更の自動化だろう。

 それらに関しては自動運転の技術進歩だけでなく、歩車分離式信号などといった道路のインフラの整備も大きな推進力となる。このような実証実験を繰り返すことで、自動運転技術だけでなく道路インフラの理想形も見えてくるだろう。