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クルマ2024.01.31

なぜスズキは豪州メーカーと“電動台車”を共同開発するのか? 物流界での活躍に期待が集まる理由。

スズキと豪州Applied EV社が共同開発を行い、自動運転レベル4~5に対応した“電動台車”が「第16回 オートモーティブワールド」に出展された。物流業界の人材不足を手助けするという、電動台車を紹介する。

文と写真=岩井リョースケ(KURU KURA)

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オートモーティブワールド会場に展示された電動台車のデモ車両。台車には移動販売をイメージしたカスタムポッドが搭載されている。

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スズキが期待するApplied EV社のソリューションとは?

スズキは次世代モビリティ用ソフトウェア開発の強化にむけて、電動化や自動運転のソフトウェア技術に強みを持つオーストラリアのスタートアップ企業「Applied EV(アプライド イーブイ)」社に2022年から出資を開始した。その後、2023年にはApplied EV社の自動運転車両プラットフォーム(以下、PF)と、同社の統合制御システムを搭載した電動台車を開発すると発表。そして、2024年1月24~26日に東京ビッグサイトで開催された、BtoB向けのクルマの技術展「第16回 オートモーティブワールド」では、この電動台車のデモ車両をApplied EV社が展示した。

今回は、Applied EV社の電動台車と、このPFに搭載されている統合システムについて紹介する。

デジタルバックボーンのハードウェア部

■統合制御システム「Digital Backbone(デジタルバックボーン)」
「デジタルバックボーン」とは、Applied EV社が開発した、車載電装部品の点数や車両コストを低減しながらソフトウェアによって車両の機能を向上させる統合制御システムの名称。ソフトウェアとハードウェアを組み合わせたこのシステムでは、搭載可能なモデルであれば、乗用車やトラックなどの機能を制御し、自動運転レベル4~5での走行を可能にするという。

イメージするのが難しいかもしれないが、このデジタルバックボーンを搭載すれば、これまで車両を制御するために搭載されていた複雑なシステムをこれ一台で管理でき、大幅なコスト削減に貢献してくれるというものだ。

デジタルバックボーンを搭載すれば、車両の構造を簡素化し、大幅なコスト削減を実現できる。画像左が従来の複雑なハードウェア配置のイメージで、画像右がデジタルバックボーンにより簡素化されたイメージ。

2023年に発表されたブランクロボットの試作車に、カスタムポッドを搭載した状態。画像=Applied EV

■自動運転車両PF「Blanc Robot(ブランクロボット)」
Applied EV社がスズキ「ジムニー」のラダーフレームをベースに開発し、前述のデジタルバックボーンを搭載した無人の電動台車。4輪すべてが駆動する“AWD式”を採用したことで運搬能力も高く、車体の上にポッドを載せることで、食料品や荷物などの配送から産業まで多目的に使用できる。路上走行車の機能安全に関する世界標準「ASIL」はA~Dまで規定されているが、ブランクロボットは最高水準の「D」認定されている。

ブランクロボット本体はこのようにシンプルな形状。無人運転のため、当然キャビンもない。

ブランクロボットにロールケージを追加し、ホイールタイヤも変更したオフロード仕様。未舗装路でも力強い走行が可能だ。

ブランクロボットは、まずはロジスティクス分野で活躍か

デジタルバックボーンは自動車OEMメーカーによる自在なプログラミングが可能なため、システム単体でも自動運転サービスに対応できる。そのため、同社ではデジタルバックボーンとブランクロボットを、ユーザーの希望に沿って販売していくつもりだという。

ブランクロボットも、今回展示されていたのは小型設計で、ホイールベースを広げた中型設計や、コンテナを複数のブランクロボットで運搬する仕様にも変更可能で、クライアントのニーズに柔軟に応えることができるそうだ。

会場に来ていたApplied EV CEOのジュリアン・ブロードベント氏は、日本の深刻な人手不足が間近に迫っている中、このソリューションはきっと課題解決に役立つとコメントしてくれた。移動販売や宅配もこなせるブランクロボットだが、日本の公道で無人の電動台車が走り回るにはまだ時間がかかりそうなので、まずは敷地面積が広い倉庫内などで実績を積み上げることになりそうだ。

Applied EV CEOのJulian Broadbent(ジュリアン・ブロードベント)氏。今回の展示車両では、ガルウイングのように開閉するドアがお気に入りだそう。

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