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クルマ最終更新日:2024.02.07 公開日:2024.02.07

EVの正解は「超小型車」だ! そう思わせてくれるKGモーターズのEV試作機が完成。

環境性能が高く維持コストが低い次世代モビリティを開発している「KGモーターズ」が、1人乗り短距離に特化した超小型EV「ミニマムモビリティ」の試作一号機を完成させたことを発表。「移動の最適化」を体現するこのモビリティについて紹介しよう。

文=岩井リョースケ(KURU KURA)

画像=KGモーターズ

試作一台目となる「ミニマムモビリティ」。画像=KGモーターズ

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EVの正解は小型コミューター? その理由とは

車両価格、遠距離移動への不安、充電施設等のインフラ整備の遅れ、車種の選択肢の少なさなど、日本ではEV普及になかなか拍車がかからないが、単純にガソリン車の代わりとして、EVはまだ魅力が足りていないのだろう。

東広島市に拠点を構える「KGモーターズ」は、“小型モビリティで世界をワクワクさせる”ことをビジョンとし、2025年に自社で開発した超小型EVを量産、さらに自動運転によるMaaSの展開を目指すスタートアップ企業だ。この同社の超小型EV「ミニマムモビリティ」は既存のEVが抱える問題を解消し、さらに私たちの「移動の最適化」を実現するという、壮大な計画を持つモビリティとなっているので、紹介させていただく。

■Youtuber「くっすんガレージ」で培われた人気と実力
KGモーターズを創業した楠一成氏と横山文洋氏は、YouTuberとして自動車メーカーを設立したという異色の経歴を持っている(チャンネル登録者数は2024年2月時点で約19.4万人)。番組ではラジコンをハイパワー化したり、中国製EVを分解する企画など、豊富な知識のもと人気動画をいくつも配信し、自作EVを試行錯誤しながら「ミニマムモビリティ」として完成させていく様子も配信している。

動画=【KG Motors】くっすんガレージ モーターズ

写真左端の人物がKGモーターズ共同創業者 取締役 横山文洋氏で、右端の人物が“くっすん”こと楠一成氏。楠氏は2018年の脱炭素の流れを受け、小型モビリティ事業参入を決意。YouTubeチャンネル開設後、Google Japanによる“世界に影響を与えるクリエイター101人”に選出されている。

■移動の最適化とは?
国土交通省が発表している国内での自動車利用の実態によると、日本人の約7割が“移動距離は10km未満”で、同じく約7割の人が“1人で移動”、そして、約5割の人が“高速道路をほとんど利用しない”という。この結果を受け、同社では現在の軽自動車でさえオーバースペックであると捉え、そのようなモビリティで移動することは、ユーザーのコスト負担や、環境負荷の面を鑑みても移動が最適化されていないと感じたそうだ。その結果、ならば自分たちで移動を最適化できるソリューションを提案しようという結論に至ったという。

資料=KGモーターズ

この上なくコスパに優れたミニマムモビリティ

■ミニマムモビリティの特長
こうして開発が進み、2024年1月31日に試作1台目が完成したのがミニマムモビリティだ。

ミニマムモビリティは、1人乗りのセンターポジションで走る楽しさを追求した小型EVだ。モチーフは80年代のポラロイドカメラだが、前後対称のデザインと相まって、レトロ感と近未来感を両立している愛らしい雰囲気を纏っている。サイズは全長2450×全幅1090×全高1500mmと驚くほど小型で、車重も400kgと軽量であるため、環境性能に優れている。充電はAC100Vの家庭用コンセントに対応し、5時間で満充電となる。これで航続距離が100kmあるので、チョイ乗りに最適な仕様と言えるだろう。

■コスパに優れた原付ミニカーという規格
ミニマムモビリティは原付ミニカー規格という、第1種原動機付自転車と同じ車両区分扱いとなるため、車検不要・税金も安く、コストパフォーマンスに非常に優れている。また、原付ミニカーでは時速60kmまでを上限としているため、一般公道であれば交通の流れに乗ることができるうえ、コンパクトなボディであるため、狭い道でもスイスイ進むことができる。※原付ミニカーを運転するためには普通自動車免許が必要。

■価格は100万円以下を予定?
ミニマムモビリティはドア・エアコン付きで快適な走行を提供しつつ、ソフトウェアによるOTAアップデートが可能で、自動運転用のデータ収集、エンターテイメント、走行サウンド、パワートレイン等が最適化されていく。また、後述するがコネクティッドによる驚くべき進化プランも計画されている。これだけ至れり尽くせりな仕様で、販売価格は100万円以下を予定しているというのだから、量産化を待ち望む声が多いことも納得するしかない。

ミニマムモビリティ量産後のビジョンもスゴイ!

KGモーターズは2023年10月のシードラウンドで、1.5億円の資金調達に成功している。今回発表された試作1号機をはじめ、今年はモニター車を20台製作し、100人に対してモニター実証実験を開始し、2025年には300台を生産して販売を行う予定だ。さらに、2026年には本格量産をスタートさせ、原価ダウンをしながら世界に視野を拡げるという。

しかし、KGモーターズの目標はここで終わりではなく、さらに先に自動運転にも挑戦しようとしている。現在、実証実験等で走行している自動運転の多くは、バスなどに大勢の人を乗せた“公共交通機関型”が多いが、公共交通機関は一般的には乗車率が不安定で、それでいて決まった地点から決まった地点までの移動となるため、乗車する前後の移動に迂回や時間的にも余剰なコストが発生してしまう。だが、これを一人乗りの超小型EVで自動運転が実現できれば、乗車率や移動ルートに無駄が発生しないことが期待できる。

KGモーターズはさらにモビリティの稼動率を向上させるため、ミニマムモビリティのオーナーに対し、同社のプラットフォームを利用し、自動運転機能が追加されたミニマムモビリティを第三者に貸し出すソリューションも計画中だ。これにより、利用者は任意の場所で乗り捨てが可能となり、モビリティは無人でもオーナーの自宅まで勝手に戻る、いわゆる「完全自動運転ロボタクシー」サービスの提供まで思い描いているというから恐れ入る。

だが、後半の壮大なスケールの物語以前に、ミニマムモビリティ単体が持つ魅力はかなりのものではないだろうか? 短距離に特化したことで、EVの運用として無理がなく、経済的にも環境への配慮も申し分がないように思える。モニター実験への応募数も大幅に枠を超えるものだったことからも、それだけこのモビリティに対してワクワクしている人が多いということだろう。同社の活動はYouTubeチャンネルで確認できるので、気になる人は追ってみるといいだろう。

■ミニマムモビリティ 諸元
サイズ:全長2450×全幅1090×全高1500mm
定格出力:0.59kW
ピーク出力:5kW
最高速度:時速60km
航続距離:100km
充電規格:AC100V
満充電時間:5時間
重量:400kg
ソフトウェア:OTA・コネクティッド
車両規格:原付ミニカー
乗車定員:1名
価格:100万円以下を予定

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