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最終更新日:2023.07.06 公開日:2017.06.12

【フリフリ人生相談】まわりの人の記憶が編集されている。

毎日、平凡な生活を送っている平男といいます。毎日、スーツを着て、いつもの時間の電車に乗り、働き、帰って、寝る……フツーのどこにでもいるサラリーマンです。
そんな平凡な毎日の一日でしかない先日も、いつもどおり、会社に行きました。
ところが……。
「え? キミ、誰?」
「平男さん、どうしたんですか? スーツなんか着て、いつもと雰囲気が違いますよ」
なんて言われてしまいまして……。
自分でも驚いてしまい「え? いつもと違うって……そのいつもの人って一体誰なんですかねぇ」と戸惑いつつも最大限の抵抗をしてみました。
ヘンな話じゃないですか。私はいつもフツーに出社していました。でも、記憶と現実が違うらしいんです。
もしかして、まわりの人たちの記憶が編集されているとか……。そんな、まさか、SF映画じゃないんですから。まあ、会社にも「X-ファイル」が大好きなヤツがいるんですけどね。
これは一体、どういうことなんでしょうか。


バンジョー

酔っ払ってるんじゃないの

平男さん、酔っ払ってるんじゃないの?
そうじゃないんだとしたら、編集されているのは、周囲の人の記憶ではなく、平男さん自身の精神だね。
「え? キミ、誰?」
「平男さん、どうしたんですか? スーツなんか着て、いつもと雰囲気が違いますよ」
この周囲の反応から察するに、平男さんは、明るくなったんだと思う。いままで地味だったのが、どこかしら輝きはじめたんだね、きっと。

なにか、いいことがあったんだろ。
恋でもした?

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恵子

天空


天空

なんのため?

周囲の人間の記憶が編集されている。
そんなことして、いったいどうするのか? ってことだなぁ。はたまた、なんのためにそんなことするのか? 平男くんは、そんなに重要な人物なの? 周囲の記憶を編集してまでどうにかしなきゃいけないほどの、国家的もしくは人類的な秘密に関わっているの? まさかね。
なので、周囲の記憶が編集されているってことは、ないと思う。
ただ、こういうことはあり得る。
たとえば、いつもの時間にいつもの駅で、いつものホームから電車に乗った瞬間に、べつの世界に行ってしまっているってことだ。パラレルワールドだな。いつもと同じ会社があって、いつもと同じスタッフがいるんだけど、でも、微妙に時空がずれた世界。それはあり得る。
宇宙人たちとさんざんな旅をしてきた私だから、断言できる。パラレルワールドは、ある。
なので。平男くんが「え? キミ、誰?」「平男さん、どうしたんですか? スーツなんか着て、いつもと雰囲気が違いますよ」なんて言われたときには、まわりをもっともっと観察することだな。パラレルワールドに入りこんでいるわけだから、周囲が変わっているはずなんだ。とくによくあるのは、時計の位置。壁にかかっている時計とかデスクの上の時計の位置をチェック。
でも、宇宙人とは違って、地球人たちが体験できるパラレルワールドというのは、ほんとに微妙な時空の違いでしかないので、ほとんど差はない。平男くんは、そういう世界を行ったり来たりできるのかもしれない。もしくは、どんどん住んでいる世界がずれ続けている可能性もある。
そういう世界に生きていることを、おおいに楽しむべきだ。

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バンジョー

恵子


恵子

よくわからないんだけど

うーん。私には、この平男さんが、結局のところ、なにに悩んでいるのか、よくわからないんだけど……。
自分はいつもと同じなのに、まわりに違うって言われた。ということは、もしかすると、周囲の記憶が誰かの手で編集されているかもしれないって? そんなこと、あるわけないじゃん。

でも、こういうことはあるよ。
かれこれ10年以上ずっと髭をはやしていた人がいて、その人がある日、ばっさりと髭を剃って現れた。けど、誰も気がつかなかった。ね。よくある話でしょ。つまり、髭をトリミングしたりして、本人はすごくこだわっているつもりでも、まわりの人にとっては「どうでもいいこと」なのよね。

だから、平男さんも、そんなに周囲に意識されていないのよ。
どんな服装なのか、どんな髪型なのか、そもそも、どんな顔なのかも意識してもらってない。ある日、たまたましていたネクタイが印象的だったとか、光線の具合でスーツが光って見えたとか、そういうことで、ちょっと周囲の注意を引いた。で……。
「あれ、きょうはどうしたの?」
「いつもと雰囲気が違いますね」
みたいに言われた。

「そのいつも人って、誰なんですかね」って平男さんも書いてるけど、実は、周囲の人たちにとって「いつもの平男さん」というのは、どうでもいいの。極端に言うと「いないのといっしょ」なの。
だからって、落ちこむ必要なんてないのよ。人間社会なんてものは、基本的にそういうものなんだから。でも、そういう「いないのといっしょ」がいやなら、毎日毎日、大きな声で周囲に話しかけたり、ギャグを言って笑わせたりして、自分のことを印象づけるしかないと思うんだけど。
でも、平男さんって、そういうタイプでもなさそうじゃない?
だから、結局、周囲の人の記憶が編集されていようがどうしようが、どうでもいいってことになると思うよ。

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バンジョー

天空


ライター・松尾の右往左往

どうなんですかね、よくわからない〈お悩み〉だと思うんですけど、いかにも「フリフリ人生相談」っぽい内容なので、みんなに答えてもらうことにしました。

相変わらず、恵子の答えが辛辣というか、彼女はいつも「あんたのお悩みの意味がわからない」ってスタンスなんです。でも、わりと本人はまじめに答えてるんですけど、悩んでる人には、ちょっときびしすぎるかも。なので、恵子の答えはあまり気にしないでくださいね。

まぁ天空は、いつもの天空節です。ペテンです。なにがパラレルワールドだ、この野郎。だまされてはいけません。って、人生相談の回答に「だまされるな」って言っちゃいけないか。

西麻布のバーまで出かけて、酔っ払う寸前のバンジョーをつかまえて話を聞いてみたんですが、意外にも、バンジョーの答えが、もっともまともな気がします。いやぁ、まじで、そうくるか、と。
まわりが変わったんじゃないよ。きみが輝きはじめたんだよ。
いいこと言うなぁ、バンジョー。ちょいとばかり、見直してしまいました。

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