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クルマ最終更新日:2022.11.16 公開日:2022.11.16

イタ車はSUVも楽しいぞ! マセラティの新型「グレカーレ」に試乗した。

クルマ好きの間でいま人気急上昇中なのがイタリア製SUVだ。マセラティは「レバンテ」に続く、2代目のSUV「グレカーレ」を投入。運転を楽しくさせる秘訣はどこにある? モータージャーナリストの小川フミオがモデナで試乗した。

文=小川フミオ

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SUVどれにする?

マセラティ グレカーレ|Maserati Grecale

 SUVの多様化が止まらない。納車まで4〜5年待ちといわれる「トヨタ・ランドクルーザー」や「レクサスLX」をはじめ、三菱自動車のひさびさのヒット「アウトランダーPHEV」など、デザイン、コンセプト、エンジニアリングなど、多方面において個性的なモデルの人気が高い。

 さらに、レクサスでは今年発売の新型「RX」をさきごろ発表。MAZDAは次世代「ラージ商品群」に位置づけられる「CX-60」も販売を開始したし、日産もロングセラーのSUV「エクストレイル」を7月にフルモデルチェンジした。

日産 エクストレイル|Nissan X-TRAIL

レクサス RX|Lexus RX

 海外メーカーに視線を移すと、2021年12月に日本導入されたピックアップタイプの「ジープ・グラディエーター」(SUVというより本格的なクロスカントリー型4WDかな)にやはり注文殺到とか。

 加えて、先日こちらでご紹介した、アストンマーティンの707馬力の高性能SUV「DBX707」や、群を抜いて上質さを追求した新型「レンジローバー」も人気が高い。あのフェラーリだって初4ドアモデル「プロサングエ」をついに発表した。クルマ好きには楽しい時であることは間違いない。

フェラーリ プロサングエ|Ferrari Purosangue

 もう1台、私が最近気に入っているのが、イタリア製SUVの「マセラティ・グレカーレ」だ。「レバンテ」(2016年発表)に続く、同社にとって2代目のSUV。レバンテより約160mm短い4846mmの全長と、20mmほど低い1670mmの全高を持つ。

 日本でも導入の発表はされたものの、実車が入ってくるのは2023年初頭の予定。部品不足のなか、必死に世界中の市場からの注文をこなそうと、マセラティの工場はフル稼働とか。それでもぜんぜん追いつかない。冒頭のトヨタやレクサスではないけれど、自動車メーカー、大変だ。

なぜSUVでなくGTなのか

 グレカーレは、「SUVでなくGT」とマセラティが謳うモデル。パワフルなエンジンを、スポーティなハンドリングを可能にするシャシーに載せている。最近のマセラティ車の走りっぷりの向上は、ドライブするたび”いいなあ”と思わせられていただけに、レバンテに続くSUVであるグレカーレにも、どうしたって興味がわく。

 私がそう思っていたところ、イタリアで試乗するチャンスがめぐってきた。やったー。ということで、中部というか北東部というか、エミリアロマーニャ州の州都ボローニャから30kmほどの距離にあるモデナなる街の周辺(山岳路とか高速道路とか)を、グレカーレで走りまわったのだった。

 グレードは大きく3つに分かれていて、頂点はF1マシンのエンジンと同様の燃焼技術を備えた3リッターV6エンジン(390kW)搭載の「トロフェオ」。その下に2リッター4気筒マイルドハイブリッドエンジンの「モデナ」(242kW)。そしてチューンが異なる「GT」(221kW)がある。

グレカーレの運転が楽しい理由

 私が乗ったのは「GT」。ラインナップではいちばん下だけれど、充分スポーティだった。しっかりした足まわりの設定と、発進時にはモーターのトルクも合わさって、めざましい加速性を発揮する。ステアリングもしっかりしていて、真っ直ぐだろうが曲がっている道だろうが、スポーツカーのように楽しめるクルマなのだ。

 レバンテのよさは(グレードにもよるけれど)ややソフトな方向に振った足まわりの設定にある。いっぽう、グレカーレはより明確に足まわりを固めるとともに、エンジンはパワフルでかつよく回り、ステアリングフィールは繊細と、運転を楽しむ仕立てになっているのだ。

「スタイリングも、(最新のスポーツモデルである)MC20と共通するマセラティのデザインを採用し、大きなグリル、できるだけ外側に配置したヘッドランプ、盛りあがった前後のフェンダーと、SUVでなくGTであると意識しました」

 ヘッドオブデザインといってマセラティのデザインを統括するクラウス・ブッセ氏は、現地でそう解説してくれた。

 インテリアも「ドライバーの視界を遮らないことを念頭にデザインしました」というブッセ氏の言葉どおり、視界がよい。それでいて、運転席まわりはタイト。視界のよさとドライバーをしっかりホールドしてくれるような空間の作り方も、まさにスポーツカーデザインの定石であるなあと、私はそこも感心。

 ユニークなのは、オートマチック変速機のギアセレクターが、モニター内のアイコンをタッチするタイプだったこと。私にとって、初めての体験だ。レクサスがNXで採用した電動ドアオープナーの「E(イー)ラッチ」も、グレカーレに搭載されている。ドア内側のボタンを軽く押すとドアロックが解除される。外側からドアを開けるときもドアハンドルを握ればロック解除。いろいろ電子的にも進んでいるのだ。

 グレカーレ「GT」は862万円、同「モデナ」が1046万円、同「 トロフェオ」が1395万円。BEV(ピュアEV)の「フォルゴーレ」は追って発表される。

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