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最終更新日:2020.09.16 公開日:2020.09.16

暴走族が大幅減少。構成員数、グループ数ともにピークから約9割減。

警察庁発表の「2019年の少年の補導および保護の概況」および法務省発表の「犯罪白書」によると、2019年における暴走族の構成員数およびグループ数はピーク時と比較すると約9割減少していることが分かった。また、構成員における少年の比率が半数を下回り、暴走族の多くが高齢化していることも見えてきた。

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暴走族は例年減少傾向 

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 近年、ツッパリやスケバンといったスタイルをファッションとして取り入れたTVドラマが放送されるなど、昭和後期のころ、特にバブル期前後に見られたファッションを再編したスタイルが若者の間で流行している。一方、若者たちが集まってタムロする姿や、暴走族になって走り回るといった姿は見かけることが少なくなったように感じる。その実体はどうなっているのだろうか。

 ※本記事における暴走族とは、共同危険行為などの禁止を定める道路交通法第68条に違反する者、そのほか自動車などの運転に関し、著しく道路における交通の危険を生じさせ、または著しく他人に迷惑を及ぼす行為を集団的に行い、または行う恐れがある者のことをいう。

暴走族の人員およびグループ数の推移(2010~2019年)。 出典:警察庁資料

 警察庁が発表した「2019年の少年の補導および保護の概況」によると、2019年における暴走族の構成員数は6073人で、2018年と比較すると213人減少した。グループ数は150グループで4件増加したものの、ここ10年間でみると減少傾向にある。

 暴走族といえば、グループに所属して集団で暴走行為を行うイメージがある。しかし、2019年におけるグループ未加入者は5057人。全体の約80%がグループに未加入である。

暴走族に加入していた少年の刑法犯検挙件数の推移(2010~2019年)。 出典:警察庁資料

 また、暴走族に加入していた少年の刑法犯検挙件数は163人で、2018年より52人減少。2010年の682件と比較すると77%と大幅に減少している。

暴走族の多くは高齢化

暴走族の年齢状況の推移(2010~2019年)。 出典:警察庁資料

 暴走族の年齢別推移を見てみると、暴走族の構成員のうち19歳以下の少年は2794人で全体の46%。成人は3271人で全体の54%である。ここ2年連続で暴走族における少年の比率は半数を下回っている。特に、15歳以下の少年の構成比率は10年前から66%減少しており、若年層になるほど減少傾向が大きいことも分かる。暴走族は以前よりも高齢化してきているといえよう。

 また、旧車會(きゅうしゃかい)という旧型のバイクを暴走族風に改造し、大きな騒音を発するマフラーを取り付ける、もしくは、消音器を取り外した状態で、エンジンの爆音をとどろかせながら集団走行するグループも登場している。大阪府警は公式WEBサイトにおいて、「その迷惑性は暴走族と変わりません」と表記していることから、暴走族に匹敵するほどの迷惑行為を行っているようだ。しかし、旧車會は暴走族よりも平均年齢が高く、交通違反を堂々と行うこともないため、取り締まりを受けることが少ないという。そのような点から暴走族と旧車會は似て非なるものと考えられているため、2019年の少年の補導および保護の概況ではカウントされていない。

暴走族のピークは1982年の4万2510人

暴走族の構成員およびグループ数の推移(1978~2018年)。 出典:法務省「犯罪白書」

 ここからは法務省の犯罪白書をもとに、暴走族の構成員数とグループ数の推移を見てみよう。暴走族の構成員数が最も多かったのは1982年で、4万2510人。グループ数が最も多かったのは2002年で、1313グループもあった。それら構成員数とグループ数のピーク時と比較すると、2019年はいずれも約9割減少している。

 暴走族への対策として、1978年に道路交通法第68条として、集団暴走そのものを罰する「共同危険行為」の規定が設けられて警察の取り締まりが厳しくなった。さらに1981年に共同危険行為違反に対する基礎点数が引き上げられた。これらの法改正が暴走族の減少に貢献したといわれている。

 近年では、少子化により若者そのものが激減していることも理由の1つだろう。また、SNSの普及などから、集団で行動するよりも個人での活動を優先するなど、組織に対する考え方が変わってきたこととも、大きく関係していそうだ。

 いずれにしても、交通の危険を生じさせる暴走族が減ることは望ましいことである。

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