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最終更新日:2023.06.16 公開日:2020.07.06

福島県北部の交通を変える「相馬福島道路」、伊達桑折IC~桑折JCT間が8月2日に開通

復興支援道路の国道115号・相馬福島道路は、E13東北中央自動車道を構成する道路のひとつで、E6常磐道~E4東北道間の約45.7kmを結ぶ無料の自動車専用道路だ。工事中の区間12.2kmのうち、約2kmが8月2日に開通することが発表された。これにより、E4東北道と国道4号が直結することになる。

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E13東北中央自動車道・福島相馬道路(国道115号)が国道4号と接続する伊達桑折ICの空撮画像。画像提供:福島河川国道事務所。

画像1。福島相馬道路が国道4号と接続する伊達桑折ICの空撮画像。画像提供:福島河川国道事務所。

 E13東北中央道は、E6常磐道の相馬IC・JCT(福島県相馬市)からE46秋田道と接続する横手IC・JCT(秋田県横手市)までをつなぐ高規格自動車専用道路だ。総延長は約268kmあり、現在も複数の区間で完成を目指して建設が進められている。

E13東北中央道は複数の区間で構成されており、現状は、有料の高速道路区間と、無料の国道区間(自動車専用道路)がある。今回の対象となるのは無料区間のひとつである国道115号・相馬福島道路だ。相馬IC・JCTからE4東北道に新設される桑折JCT(こおり:福島県伊達郡桑折町)までの約45.7kmを結ぶ自動車専用道路である。

相馬福島道路は、東日本大震災からの早期復興を目的として建設されている復興支援道路のひとつ。相馬地区と福島地区を結ぶ幹線道路のひとつとして利用されている国道115号のバイパス的な位置付けだ。従来の国道115号は複数箇所にカーブが連続する山岳区間がある。また2015年には、大雨による道路崩落で約1週間の全面通行止めが発生するなど、信頼性や速達性の改善が求められてきた国道だ。それを実現するのが、相馬福島道路なのである。

伊達桑折IC~桑折JCTの開通でE4東北道と国道4号が直結

画像1。E13東北中央自動車道を構成する国道115号・福島相馬道路の位置図。伊達桑折IC~桑折JCT間の約2kmが開通。

画像2。E13東北中央自動車道(国道115号・福島相馬道路)の位置図。NEXCO東日本などが共同で発表したプレスリリースより。

 相馬福島道路は現在、約45.7kmのうちの33.5kmが開通済みだ。残すは、霊山IC(りょうぜん:福島県伊達市霊山町)~桑折JCT間の約12.2kmとなっている(画像2)。そして8月2日(日)15時に開通することが発表されたのが、そのうちの伊達桑折IC(伊達市岡沼・画像1)~桑折JCT間の約2kmだ。なお伊達桑折ICは、これまで「国道4号IC」の仮称で呼ばれてきたIC。国道4号に接続するICであり、今回の開通でE4東北道と国道4号が自動車専用道路で結ばれることになる。

また、残す10.2kmの工事区間である霊山IC~伊達桑折ICも2020年度末に開通が予定されている。なお、この霊山IC~伊達桑折IC間にはもうひとつICがあり、これまでは「福島保原線IC」(伊達市保原町)の仮称で呼ばれていたが、今回「伊達中央IC」の正式名称に決定したことも併せて発表された。

伊達桑折IC~桑折JCT間の開通で恩恵を受けるもののひとつが「桃」

今回の開通によるメリットは、伊達桑折ICの周辺地域からE4東北道へのアクセス時間が短縮されることだ。これまでは、伊達市や桑折町などからE4東北道にアクセスする場合、福島飯坂IC(福島市飯坂町)が利用されてきた(特に関東以西に向かう場合)。しかし、国道4号は相馬福島道路の伊達桑折ICより南側の区間で渋滞が発生しやすいという課題を抱えている。そのため、伊達桑折IC~桑折JCT間が開通することで渋滞区間を避けられるようになり、同じ福島飯坂ICまで向かうにしても、これまでの所要時間と比較すると約11分の短縮が可能になるという(※1)。また、E4東北道を利用したいドライバーの多くが伊達桑折ICを利用すると考えられることから、国道4号の渋滞自体も緩和することだろう。

※1 国土交通省の2015年度道路センサスの昼間12時間平均速度を用いて算出された値で、東北中央道は時速80kmで計算されている。

 渋滞の影響を受けにくくなることで、恩恵を受けるのが福島県の名産である桃だ。福島県は、年間の取扱量が全国2位を誇る桃の一大産地。その約9割を生産するのが、伊達市や桑折町を含む県北地域だ。そのうちの5割強が、E4東北道を利用して関東圏に出荷されている。痛みやすい桃にとって、輸送にかかる時間を短縮できることはそのリスクを低減できるということであり、大きなメリットとなるのだ。

福島相馬道路の全線開通で工業や観光業にもメリット

そして2021年春頃に福島相馬道路が全線開通する予定だが、それにより利便性が大きく向上するのが、同道路の沿線にある複数の工業団地だ。全線開通すれば、E4東北道とE6常磐道のどちらにもアクセスが大きく向上することから、物流面で大きなメリットが得られることは間違いない。

また、観光業にとっても追い風になると見られている。相馬地区や福島地区は、東日本大震災により観光客が減ってしまったが、その後、順調に回復。2017年時点で1160万人と、震災前の2010年時点の1097万人を超える来訪者数となっていた。ここに来て新型コロナの影響があり、2020年は来訪者が大きく減ってしまうことが懸念されているが、そうした中でも2021年春に相馬福島道路が全線開通することで、アクセス性の向上により再び来訪者が増加するものと期待されている。


なお、E13東北中央道の相馬福島道路以外の区間に関しては、東根北IC(ひがしねきた:山形県東根市)~雄勝こまちIC(おがちこまち:秋田県湯沢市)間の開通を残すのみとなっている。この区間は、複数の開通区間と事業中の未開通区間が連なっている状態で、一部には事業未着手区間もある。全線開通までは今しばらく時間がかかる模様だが、着実に開通区間は増えているところだ。

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