クラシックカーラリー「RALLY KARUIZAWA 2019」
5月25日、26日の2日間に開催された「RALLY KARUIZAWA 2019」。1928年(昭和3年)から1974年(昭和49年)に生産された61台のクラシックカーが、長野県有数の観光地である軽井沢を起点に周辺地域約400kmを走行した。たくさんの魅力的な旧車の写真とともに、2日間にわたるこのイベントの様子を自動車カメラマン・高橋学がレポートする。
新緑の軽井沢に工芸品のようなクラシックカーが集結!
クラシックカーラリー「RALLY KARUIZAWA 2019」は、スタート地点が軽井沢駅前のアウトレットモール「軽井沢プリンスショッピングプラザ」の駐車場ということもあり、ショッピングの合間に楽しむことができる気軽さも魅力。ショッピングがてら、スタート地点の様子を眺めているだけで十分に楽しめるものだった。
晴天に恵まれた新緑の軽井沢に集結したのは、最近の量産モデルとはちょっと趣の違う、まるで工芸品のようなクラシックカーの数々。中でも気になったモデルを紹介していこう。
写真は奥から「ブガッティT43」(1928年)、「ラリーN.C.P」(1931年)、「ベントレー3.5L」(1935年)。
写真上はいずれも第二次世界大戦前の貴重なモデル。「これぞ戦前のクラシックカー」という趣だが、そのフォルムだけではなく、ボンネットフード先端に据えられたマスコットやメーターパネルをはじめとするインテリアもとても魅力的だ。この時代の車は、当時の家具などにも通じる良質の素材を丁寧に加工したパーツも多く、細部を眺めているだけでも楽しいものが多い。
時代や国によって個性の異なるインテリアを眺めるのも楽しい。
3台並んだBMWのクーペは、いずれも今回参加した中では最も新しい1974年のモデル。
上の写真のBMWのクーペは、メッキパーツを上品に配したボディが実に美しく、細いピラーがとてもエレガントだ。衝突時の安全性など、車に対する要求が当時よりはるかに高い現代では再現が難しそうな、当時ならではのデザインだ。
参加しているクラシックカーは生産国もいろいろ。左からフェラーリ(イタリア)、MG(イギリス)、ポルシェ(ドイツ)。
1970年製のロータリーエンジン車もエントリー
写真右が「マツダ ファミリアプレスト ロータリークーペ」(1970年)。
もちろん日本車も参加! ボンネットをグリーンに塗られた「マツダ ファミリアプレスト ロータリークーペ」は70年代の車両。本イベントにおいて70年代の車は新しい部類になる。人によっては、新鮮さよりも懐かしさを感じるという人も多いかもしれない。当時のマツダのエンブレムは、ロータリーエンジンという世界的に見ても稀有なパワーユニットを搭載している証。ちょっぴり誇らしく見える。
通称「めがね橋」碓氷第三橋梁を背景に激写!
明治26年(1893年)に竣工された碓氷第三橋梁をバックに走る「ベントレーDERBY」(1936年)。
まずは初日。軽井沢を出発した車は碓氷峠を下っていく。碓氷峠といえば、通称「めがね橋」と呼ばれているこの橋が有名だ。現在は使われていないが、現存するレンガ造りの橋としては日本最大のもの。このエリアの観光名所となっている。
メルセデスベンツ300SL ガルウイング(1957年)。
フェラーリ275GTB/4(1967年)
トヨタスポーツ800(1965)
1933年に開通した「浅間白根火山ルート」
浅間白根崋山ルート(通称・鬼押ハイウェー)を走る「ラゴンダ LG45」(1936年)。
北軽井沢エリアの浅間白根火山ルート(通称・鬼押ハイウェー)を走る「ラゴンダ LG45」。このクルマが誕生した1930年代は軽井沢が観光地として開拓が始まった頃で、浅間山麓のドライブが楽めるこのルートが開通されたのは1933年。ほぼ同時期の1936年に誕生した「ラゴンダ LG45」が走る様子をカメラに納めてみた。
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続いて2日目の様子、さらに超レアなJAFのグリルバッジも!
清里の清泉寮でポルシェのデザインを改めて堪能
清泉寮の駐車場に佇む2台のポルシェ。左は「912」(1966年)。右は「356A」(1958年)。
2日目は早朝から軽井沢を出発。松本方面へ抜け、そのまま白樺湖を経由し清里が昼食会場となった。この2台のポルシェは、清里のランドマークでもある清泉寮の駐車場で撮影したもの。モデルチェンジの度に形が変わっても、いつのモデルも一目でポルシェとわかるデザインだ。今なお継承されているデザインの連続性には、つくづく感心させられる。このような「時代の流れ」を楽しめるのもクラシックカーラリー観戦の楽しさだ。
なお今回のラリーには、1953年から1973年までのポルシェが17台も参加。その人気の高さが伺える。
同じく清泉寮付近で撮影したポルシェ356スピードスター ザガート(1958年)
スーパーカーブームに人気を誇ったフェラーリ ディーノ246GTS(1974年) ※車名はエントリーリストより。
「フェラーリ ディーノ」は、1970年代後半に我が国で巻き起こったスーパーカーブームの頃に、少年時代を過ごした世代には特別な存在。クラシックカーイベントでも常に人気の高いモデルだ。ちなみに、今大会の参加車両資格は1974年までに生産されたモデルなので、写真の「246GTS」は参加車両の中では最も新しいモデルとなる。
1964年の東京五輪を記念したJAFのグリルバッチ
1964年の東京オリンピックを記念して製作されたJAFのグリルバッチを発見!
参加車両を眺めていると細部に色々な歴史を見つけることも多い。1964年に開催された東京オリンピックを記念して製作されたJAFの限定グリルバッチをつけていたのは「ポルシェ356A」(1958年)。
夫婦で参加されている方が多いのも印象的
クラシックカーラリーは夫婦で参加されている方がとても多いのも特徴だ。クラフトマンシップにあふれた貴重なクラシックカーがたっぷり眺められる醍醐味はもちろん、会場の雰囲気を作っているのはやはり人の輪。天候に恵まれた新緑の中、高原ドライブを夫婦や友人で楽しむその雰囲気も「RALLY KARUIZAWA 2019」の大きな魅力だ。今回もクルマの歩んできた歴史と、爽やかかつダイナミックなロケーションを2日間たっぷりと堪能することができた。
クルマに興味のある人はもちろん、そうでない人も、出かけた先でこんなイベンントを目にしたら、ちょっと足を止めて覗いてはいかがだろうか。きっと何か新しい発見があることだろう。
2019年6月25日(自動車カメラマン・高橋学)