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最終更新日:2018.11.20 公開日:2018.11.20

ホーム転落事故を未然に防止!井の頭線渋谷駅にホームドア設置。

京王電鉄株式会社(東京都多摩市)は10月18日、駅ホームにおけるさらなる安全性向上を目的として、京王井の頭線の渋谷駅1・2番線にホームドアを設置すると発表した。1番線は、12月2日(日)始発から2番線は、2018年度内にそれぞれ使用開始するとしている。

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ホームドアの設置イメージ。京王吉祥寺駅の様子。

 京王電鉄株式会社(東京都多摩市)は10月18日、駅のホームにおける安全性向上を目的として、京王井の頭線の渋谷駅1・2番線にホームドアを設置すると発表した。1番線は、12月2日の始発から、2番線は、2018年度内にそれぞれホームドアの使用を開始するとしている。

ホームドア設置と転落事故

 2016年8月15日の東京メトロ銀座線青山一丁目駅での、盲導犬を連れた視覚障害者の転落死亡事故。同年10月16日の近畿日本鉄道大阪線河内国分駅での、視覚障害者の転落死亡事故など痛ましい人身事故の発生により、駅ホームからの転落事故防止への取り組みが注目されている。

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ホームからの転落件数の推移(2017年度現在:国土交通省調べ)。※件数は、プラットホームから転落したが列車等と接触しなかった件数である。自殺等故意にホームから線路に降りたものは含まれない。

 もちろんホームからの転落事故は視覚障害者だけに起こることではない。上グラフは国土交通省の調査による「ホームからの転落件数の推移」である。このグラフをみると、2017年度のホームからの転落件数は2870件であり、視覚障害者の転落件数は全体の約2%にすぎない。ホーム転落事故は、決して対岸の火事ではないのである。

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ホームからの転落件数の要因別件数の推移(2017年度現在:国土交通省調べ)。どの年度でも、酔客と体調不良が転落事故の7割以上を占めている。

 さらに、「ホームからの転落件数と要因別件数の推移」(上グラフ)を見てみよう。酔客の転落件数の多さにまず目を引かれるだろう。体調不良による転落件数と合わせると2119件もあり、全体の7割以上を占めている。ホームからの転落は、誰にでも起こり得る、多くの人々にとって身近な事故であると考えられる。

 国土交通省によると、これまでも非常停止押しボタンまたは転落検知マットの設置、ホーム下の待避スペース、ステップの設置などの対策が施され、その設置率は2015年に100%となった。しかしながら、ホームドアの設置駅数は725駅(2017年3月現在)で、全体(*1)から見ると7.8%しか設置されていない。

*1 公益財団法人国土地理協会の調査によると日本の総駅数は、9229駅(2018年10月現在)。なお同一大字・丁目に属する駅は1駅としてカウント。

利用者数10万人以上の駅で転落事故が起きやすい

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ホームからの転落・接触事故件数と利用者数(2015年度現在:国土交通省調べ)。ホーム転落事故は3518件、接触事故は198件であり、総件数は3716件。

 上図は国土交通省の調査による、2015年度のホーム転落・接触事故件数(*2)と駅の利用者数(*3)の関係を表している。

*2 人身事故に至らないホームからの転落およびホームでの接触事故件数の合算

*3 1日あたりの平均利用者数

 上図をみると、ホーム転落・接触事故3716件のうち、利用者数10万人以上の駅で起きた件数は、1765件となっている。ホーム転落・接触事故件数を駅数で除し、1駅当たりの件数を比較すると、利用者数10万人以上の駅が6.8件、利用者数5万人以上~10万人未満の駅が1.8件、利用者数1万人以上~5万人未満の駅が0.7件となる。このことより、利用者数が10万人以上の駅では、ホーム転落・接触事故が起こりやすいといえる。

 国土交通省は、利用者数10万人以上の駅について、転落防止策を優先して整備するよう努める(*4)としているが、利用者数10万人以上の駅におけるホームドア設置率は約30%(2016年3月現在)であり、さらなる取り組みが必要である。

*4 引用:国土交通省「ホームドアの整備促進等に関する検討会」の中間とりまとめ 平成23年8月。

 今回ホームドアが設置される京王井の頭線渋谷駅の利用者数は、1日あたり36万845人。京王井の頭線では今後、利用者数が数が10万人を超える駅を中心にホームドアを設置する予定を公表している。具体的には、小田急線との乗換駅である下北沢駅(利用者数11万4367人)は駅改良工事完了後の2021年度に設置。京王線との乗換駅である明大前駅(利用者数:4万6262人、京王線乗換は17万9502人)は、京王線・笹塚~仙川間の連続立体交差事業にあわせて整備が検討されるという。(*5)

*5 吉祥寺駅(利用者数:14万7437人)は、2015年にホームドアを導入済み。利用者数は京王電鉄株式会社の公式サイトから引用。

 ホームドアの設置は、1駅につき数億円もかかると言われているコストが足かせとなっているが、乗客の安全を守るため、今後の鉄道事業者の取り組みに期待したい。

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