世界初! 新型アウディRS 5に採用された「ダイナミックコントロール付クワトロ」って何だ?
アウディはこのほど、2月に発表された新型「RS 5」に採用した世界初の技術「ダイナミックコントロール付クワトロ」の特色を詳しく紹介するとともに、その美点を改めてアピールした。
この記事をシェア
ダイナミックトルクコントロール付クワトロって何だ?
高性能プラグインハイブリッドシステムを搭載して生まれ変わった新型RS 5。パワートレインは、2.9リッターV型6気筒ツインターボエンジン(510ps/600Nm)に、177ps/460Nmを発するモーター、そして8速AT(ティプトロニック)を組み合わせる。
システム総合で最高出力470kW(639ps)、最大トルク825Nm(84.1kgf-m)を発揮し、0-100km/h加速を3.6秒でこなす加速性能が与えられた。最高速度は標準で250km/h、オプションで285km/hをマーク。EVモード走行距離は84kmで、その際の最高速は140km/hに達する。
そんな魅力的なパフォーマンススペックを持つ新型RS 5には、アウディが世界初を主張する技術を採用している。それが「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」だ。同社は、電気機械式トルクベクタリングを備えたまったく新しいリヤトランスアクスルにより、卓越したドライビングダイナミクスを実現すると説明する。
この技術は横方向のトルク配分を指揮する見えないマエストロで、ミリ秒単位でホイール間のトルク配分を行い、限界域にいたっても俊敏かつコントロールされた走行を可能にする。ブレーキング、ターンイン、そしてコーナーの頂点直後での再加速。新型RS 5に搭載された電気機械式トルクベクタリングは、スポーティなドライビングでその性能を最大限に発揮する。まったく新しいこのシステムは、あらゆる走行状況に対してわずか15ミリ秒、すなわち目の瞬きの約10分の1という速さで正確に応答するのである。
アウディRS 5セダン|Audi RS 5 Sedan
アウディはこの新技術について、一問一答形式で解説している。
電気機械式トルクベクタリングとは?
「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」は、新型RS 5の新しいリヤアクスルに備わる史上初の技術で、電気機械式トルクベクタリングを可能にしている。このシステムは、加わる駆動力にかかわらず、リヤホイール間にトルク差を発生させることができる。スロットルのオン/オフやブレーキングの有無にかかわらず、正確かつ確実に作動し、俊敏性、安定性、トラクションを最大化することで新たなレベルのハンドリング性能を実現する。
電気機械式トルクベクタリングはどのように機能するか?
アウディは、新型RS 5のハイブリッドドライブのためにまったく新しいリヤアクスルを設計した。リヤトランスアクスルに搭載された電気機械式トルクベクタリングは、出力8kW(11ps)、トルク40Nm(4.1kgf-m)の高電圧アクチュエーターとして機能する水冷式永久磁石電動モーター(400V)で構成。オーバードライブギヤおよびロック率の低い従来型のディファレンシャルも主要コンポーネントに含まれる。
オーバードライブギヤは、アクチュエーターのトルクを利用して左右リヤホイール間のトルク差を伝達。この組み合わせにより、リヤホイール間のトルクは迅速かつ正確に配分され、例えばコーナリング時のハンドリングを大幅に向上させる。
機械式システムとは異なり、「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」は、スロットルオフ時やブレーキング時を含むあらゆる走行状況で機能する。これはドライブトレインのトルクや力の方向に影響されない。
アウディRS 5|ダイナミックトルクコントロール付クワトロ
「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」は、ハンドリングにどのような影響を与えるか?
電気機械式トルクベクタリングは、リヤホイール間でトルク配分を行い、わずか15ミリ秒の間に最大2000Nm(204kgf-m)のトルク差を左右のドライブシャフトに柔軟に伝達する。
高電圧アクチュエーターは、スパーギヤとプラネタリーギヤを介して、左側のドライブシャフトおよびディファレンシャルキャリアに常時接続されている。この設計によって調整精度が格段に上がる。右側のドライブシャフトにトルクを伝達する必要がある場合、高電圧アクチュエーターは車両左側に配置されているため、ディファレンシャルキャリアに追加のトルクを伝達する必要があり、その場合には迂回経路を取る。
新型RS 5が左コーナーに進入しオーバーステア傾向を示した場合、「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」は内側ホイールのトルクを増加させて車両を安定させる。逆に、トラクションを向上させアンダーステアを防ぐために、外側のホイールにより多くの駆動力が必要な場合、リヤトランスアクスルに搭載された電気機械式トルクベクタリングは、左ドライブシャフトのトルクを低減し、そのトルクはディファレンシャルキャリアへ再配分されて、右ドライブシャフトへと伝達される。
電気機械式トルクベクタリングの各コンポーネントの役割は?
高電圧アクチュエーターは追加のトルクを生成する。オーバードライブギヤはこのトルクを利用して、リヤトランスアクスル内のパワーフローを変化させて制御。最終的にディファレンシャルギヤは、ディファレンシャルキャリアに加えられたトルクを、必要に応じて左右のドライブシャフトに分配する。
「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」はドライビングダイナミクスにどのような影響を与えるか?
電気機械式トルクベクタリングは走行安全性とパフォーマンスの双方を向上させる。まず、「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」は、トルクを最もグリップの高いホイールへ配分し、車両のポテンシャルを最大限活用。それは特にコーナリング時において顕著だ。
バランス制御においては、電気機械式トルクベクタリングがトルク差を利用して、コーナリング中の車両の挙動とコントロール性に直接作用し、アンダーステアやオーバーステアが発生しないように制御。選択されたアウディドライブセレクトのモードが、走行時のキャラクターおよびドライビングフィールを決定する。
ダイナミックトルクコントロールはトルク差を利用して車両を安定化し、コーナー進入時などのヨーイングを制御して、俊敏かつ正確な走行を実現。車両が不安定になった場合、システムはコーナー進入時の回頭速度を抑制させる。その間にドライバーは、適切なステアリング、ブレーキ、またはスロットル操作で、車両を再び安定させる。
電気機械式トルクベクタリングが作動すると、ドライバーは何を感じるか?
新型RS 5はドライバーの操作に対してほぼ瞬時に、かつ極めて高い精度で反応する。ドライバーは常に車両の動きを最大限にコントロールでき、ダイナミックな走行の限界域においても、よりダイレクトで予測可能なハンドリングを実現する。
アウディドライブセレクトのモードは、ニュートラルでバランスの取れた設定から、リヤに重心を移した非常に俊敏な設定まで、非常に広い範囲をカバーしている。ドライバーは車両の挙動に対して充分な反応時間を確保できる。つまり、電気機械式トルクベクタリングはコントロール性と扱いやすさを向上させ、ドライビングの楽しさをさらに高めるのである。
計測および制御技術はどのような役割を果たすのか?
新型RS 5に搭載されるHCP1(ハイパフォーマンス・コンピューティング・プラットフォーム)は、ドライブトレインおよびサスペンションの中央制御ユニットで、リヤトランスアクスルに搭載された電気機械式トルクベクタリングを含む、すべての機能がここに集約される。
このシステムは、車両状態を周囲環境データと比較し、そのデータをステアリング操作などのドライバーからの入力とを整合。さらに「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」は、ステアリング入力を解析し、ドライバーの意図を予測する。例えば、オーバーステアを抑えるための素早いステアリング操作と、コーナー進入時の素早い操作では意図が異なる。ステアリング入力からホイールへの伝達は、瞬時にかつダイレクトに行われる。
電気機械式トルクベクタリングはトルクスプリッター以上のものなのか?
クラッチ式のトルクスプリッターは、負荷がかかっている場合にのみ完全なトルク配分が可能であるのに対し、固定結合された電気機械式トルクベクタリングは、ドライバーがスロットルをオフにした場合でもトルク配分を行うことができる。つまり、トルクスプリッターとは異なり、トルク配分、ひいてはドライブ体験がエンジンの駆動トルクに依存しないということだ。
電気機械式トルクベクタリング、電子制御ディファレンシャルロック、ブレーキトルクベクタリング、アダプティブショックアブソーバーはどのように連携するのか?
電気機械式トルクベクタリングは、リヤアクスルに配置されトルク配分を管理する一方で、電子制御ディファレンシャルロック、およびブレーキトルクベクタリングは、主にフロントアクスルをサポート。電子制御ディファレンシャルロックはブレーキを介して作動し、トラクションを向上させる。新型RS 5に搭載されたリヤトランスアクスルの電気機械式トルクベクタリングとツインバルブショックアブソーバーは、相互に精密に調整して、例えば高速直進後のコーナー進入時などにも、極めて早いスロットルレスポンスを実現する。
アウディは新しい「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」の何を特に誇りとしているか?
リヤアクスルで電気機械式トルクベクタリングを可能にする、新しい「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」によって、ドライバーは新型RS 5のダイナミック性能と、エモーショナルなドライブ体験を余すことなく楽しむことができる。
アウディ自慢のクワトロは今後どう進化する?
アウディRS 5アバント|Audi RS 5 Avant
アウディドライブセレクトモードでカスタマイズできるドライビングダイナミクスは、ドライビングプレジャーをさらに高め、すべてのドライバーが理想的なセットアップを見つけることができるだろう。つまり「ダイナミックトルクコントロール付クワトロ」によって、新型RS 5はユーザーにより身近で、より高揚感のある1台になったのだ。アウディは「このモデルのどのドライビングモードでも、挙動は予測しやすく直感的で、軽快なドライブを楽しめます」とアピールしている。
SPECIFICATIONS
アウディRS 5セダン|Audi RS 5 Sedan
ボディサイズ:全長4896×全幅1952×全高1428[1446]mm
ホイールベース:2903mm
乗車定員:5人
車両重量:2355[2370]kg
総排気量:2894cc
エンジン:V型6気筒ツインターボ
最高出力:375kW(510ps)/6300-6800rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgf-m)/2000-5000rpm
モーター最高出力:130kW(177ps)
モーター最大トルク:460Nm(46.9kgf-m)
システム最高出力:470kW(639ps)
システム最大トルク:825Nm(84.1kgf-m)
トランスミッション:8速AT
駆動方式:4WD
バッテリー容量:25.9kWh(正味22kWh)
EVモード走行距離:84km
0-100km/h加速:3.6秒
最高速度:250km/h(EVモード時140km/h)
欧州販売価格:10万6200ユーロ(邦貨換算約1950万円)[10万7850ユーロ(同約1980万円)]
※諸元は欧州仕様値。[ ]内はRS 5アバント




