室蘭の白鳥大橋を延伸する「白鳥新道 第2期」の期待高まる。 事業化の見通しは?【いま気になる道路計画】
室蘭港の湾岸部を縦断する長大な吊り橋の「白鳥大橋」は、港湾都市・室蘭の移動や物流を支えている。しかし、白鳥大橋の祝津側から室蘭市街地までのアクセスルートは、片側1車線の道道に限られている。そこで、白鳥大橋を延伸し室蘭市街地まで自動車専用道路を通す「白鳥新道 第2期」に対する期待が高まっている。果たして、事業化の見通しは立っているのか?
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鉄の街のレインボーブリッジ「白鳥大橋」
製鉄産業の盛んな室蘭のシンボル「白鳥大橋」は、室蘭港の湾口部を縦断する東日本最大の長大橋(吊り橋)で、全長は1380m。北側の陣屋町(伊達方面)と南側の祝津町(室蘭市街地方面)を結び、北側は国道37号、南側は室蘭港線(道道699号)と接続。白鳥新道の第1期として整備され、国道37号のバイパスと位置付けられている。

白鳥大橋(白鳥新道 第1期)は湾口部を横断するルートとなっている。画像は編集部が作成。
白鳥大橋の開通により、室蘭市北部の白鳥台地区から中央部の祝津・絵鞆地区までの所要時間はこれまでと比べ約25分短縮。また、白鳥台地区から室蘭市街地(中央地区)までの所要時間も約10分短縮し、道央自動車道の室蘭ICと室蘭市街地のアクセス性も大幅に向上した。

白鳥大橋(白鳥新道 第1期)整備後の時間短縮効果。
ところが、白鳥大橋を越えた先にある祝津・絵鞆地区から室蘭市街地までを結ぶ室蘭港線は、片側1車線のうえ交差点も多いことから渋滞が頻発。地元の居住者にとって室蘭港線は生活道路のため、白鳥大橋の祝津ランプから室蘭市街地まで自動車専用道路を延伸する「白鳥新道 第2期」の早期整備に対する期待は大きい。
室蘭港線の祝津付近の様子。
白鳥大橋を延伸する「白鳥新道 第2期」の計画
だが、白鳥新道 第2期は1982年に都市計画決定されたものの、現在も着手の見通しは立っていない。西胆振地域(※)の自治体や居住者は四半世紀にわたって延伸を待ち望んでいる。
※西胆振…室蘭市、登別市、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の6市町。
この計画は白鳥大橋を延伸するかたちで、祝津から室蘭市街地(中央地区)までを自動車専用道路にするというもの。室蘭駅以北は室蘭港線の東側、室蘭駅以南は国道36号に沿うルートとなっている。

白鳥新道 第2期の想定ルート。室蘭駅の東側に自動車専用道路を通すことになる。画像は自治体の資料を元に編集部が作成。
白鳥大橋 第2期の整備効果は、白鳥大橋から室蘭市街地までの速達性向上や室蘭港線の渋滞緩和だけではない。有珠山噴火時をはじめとした災害時のリダンダンシー(代替路)確保と、西井胆振地域の各市町から室蘭駅の南側に位置する市立室蘭総合病院と日鉱記念病院へのアクセス性向上なども期待されている。

白鳥新道 第2期の整備によって災害拠点病院の市立室蘭総合病院と日鉱記念病院へのアクセス性も向上する。
白鳥大橋の祝津ランプは本線がブツ切れの状態となっている。これは、他の路線と接続するためにあらかじめ準備したものとみられる。
祝津ランプのループ橋の下で見上げると本線が途切れていることがわかる。
白鳥大橋の建設当時(1998年)は、室蘭市街地に向けての延伸を見越していたはずだが、今も事業化に至っていないが現状だ。近年、室蘭周辺の日高自動車道(苫小牧市~浦河町間の高規格道路で日高厚賀ICまで開通済)が順調に延伸しているのとは対称的である。
室蘭市中心部の活性化、製鉄業や水産業などの産業支援の他、地域の防災・減災対策で安全・安心に暮らせる社会基盤確立の観点からも白鳥新道 第2期の早期事業化に期待したい。
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