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最終更新日:2024.03.27 公開日:2024.03.27

北海道と青森を結ぶ「海上国道」はつながるか? 津軽海峡大橋の壮大な夢。

国道280号の青森-函館間と国道279・338号の大間-函館間は、車両の通行できる道路のない「海上国道」に指定されている。青函トンネル開通後も、車両の往来は航路に依存したまま。現代の土木技術を注ぎ込み、津軽海峡に世界最大規模の橋を築いたら……?

文=宮本 奈々(KURU KURA編集部)

海上国道の国道280号と国道279・338号

青函トンネルと北海道と青森を結ぶ航路。

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北海道と青森は経済的・文化的な交流も深く、青函トンネルの貫通と在来線の開通に対する期待度も高かった。

所用時間を比較してみると、青函航路(津軽海峡フェリー・青函フェリー)で4時間程。大間-函館間を結ぶ航路だと1時間半程。これに対し、青函トンネルの在来線(青森駅-函館駅間)は2時間程、新幹線(新青森駅-新函館北斗駅間)は1時間程。

青函トンネルの開通で、大幅な所要時間の短縮を実現した。しかし、青函トンネルは鉄道路のため、いまだにフェリーへの依存は続いている。

津軽半島側の国道280号の海上区間と下北半島側の国道279号と338号の海上区間。

海上国道とは、そこに海峡を横断する道路はない。船を使って渡ることさえできない場合もある。
なお、海上国道については「海上国道ってなんだ!? 海の上を走る超特殊な国道の実態に迫る」を読んでもらいたい。

青函トンネルの構想は1954年(昭和29年)の青函連絡船「洞爺丸」(国鉄の青森駅と函館駅を結んでいた)の海難事故をきっかけに機運が高まった。この洞爺丸事故は、死者・行方不明者1155人にのぼる、日本海難史上最悪のものとなった。1988年(昭和63年)、青函トンネルの開通と同時に、鉄道の利用者は連絡船に乗り替えることはなくなった。残すは、道路網のみである。

青森と函館を結ぶ「津軽海峡大橋」の夢

津軽海峡大橋の想定する経路。(画像:(c) UMI - stock.adobe.comをもとに作成)

大間町史には「本州北海道連絡橋構想」の記録もあり、実際に、津軽海峡を横断する道路の構想は自治体レベルで存在していた。この構想では長大橋を想定しているため、ここでは「津軽海峡大橋」としよう。

津軽海峡大橋の想定するのは、主に以下の3路線だ。

津軽半島を経由するか下北半島を経由するか。函館との距離も変わってくる。

①津軽ルート 三厩-福島間(約23km)
②津軽ルート 三厩(竜飛崎)-松前(白神岬)間(約18.5km)
③下北ルート 大間(大間崎)-戸井(汐首岬)間(約17.5km)

①と②の津軽ルートは津軽半島と松前半島を、③下北ルートは亀田半島と下北半島を結ぶ。津軽ルートの三厩-福島間の距離は約23km、三厩-松前間の距離は約18.5km、対して、下北ルートの距離は約17.5km。津軽ルートだと青森→三厩の距離は短くできるが、福島・松前→函館の距離は長くなる。一方、下北ルートだと、青森→大間の距離は長くなるが、戸井→函館の距離は近くなる。

現在の国道との関係はどうなるか。津軽ルートと国道280号の路線は、三厩-福島間は一致、三厩-松前間もおおむね一致するので、津軽海峡大橋で海上区間の解消となりそうだ。一方、国道279号と下北ルートの路線は大きくずれていることから、津軽海峡大橋は国道279号の一部区間にはならないかもしれない。

関門海峡(約6.5km) や明石海峡(約4km) に対して、津軽ルートも下北ルートも、比較にならないほど、距離が長い。日本の土木技術はすでに青函トンネルを貫通させているものの、津軽海峡大橋は、高度な土木技術を要すること、巨額の建設費を投じること、それに見合った交通量を見込めるかなど、課題は山積みだ。加えて、国際海峡という面もある。

一方で、「津軽海峡トンネル構想」や「第二青函多用途トンネル構想」の議論も活発化している。既存の青函トンネルと並行して、新たに自動車専用のトンネルをつくるというものだ。

第二青函多用途トンネル構想。(画像:第二青函多用途トンネル構想研究会報告書)

シールド工法で筒状のトンネルを掘り進め、上部を自動車専用に、下部を緊急車両や単線の鉄道貨物専用とすることを想定している。この構想だと、国道280号の路線とほぼ一致するはずだ。

いずれも、津軽半島側を整備するのか、それとも下北半島側を整備するのかでも、大きく違ってくるだろう。実現するにしても、相当の年月を要するだろうが、今後の展開には期待したい。

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