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道路・交通2024.01.31

かつて注目された「東京湾口道路」に動きが。もうひとつのアクアラインで国道16号は完成するのか?

2023年(令和5年)12月25日、事実上、凍結されていた「ある道路事業計画」に動きがみられた。東京湾口部の海峡を横断する「東京湾口道路」である。国道16号の取り残された未開通区間であり、もうひとつのアクアラインともいえる東京湾口道路計画とはなんなのか?

文=宮本 菜々(KURU KURA編集部)

資料=富津市

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もうひとつのアクアライン「東京湾口道路」とは?

国道16号の途切れる富津岬。このあたりから高架橋や海底トンネルをつなげるか。(画像:(c) show-m - stock.adobe.com)

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2023年(令和5年)12月25日、房総地域東京湾口道路建設促進協議会は国土交通省と国会議員に対して「東京湾口道路」の事業化を訴える要望書を提出した。この道路事業計画は、2008年(平成20年)に、事実上、凍結・消滅したものだ。しかし、房総地域の経済界や自治体の事業化を望む声は根強く、同協議会は9年ぶりに総会を開催し、今回の要望書の提出に至った。

東京湾の湾口部に高架橋を架ける、あるいは海底トンネルを掘削し、神奈川の三浦半島と千葉県の房総半島を接続する東京湾口道路は、東京湾アクアラインの交通量を分散し、慢性的な渋滞の解消につながるのではないかと、首都圏のドライバーからも期待の声があがっている。さて、どのような道路事業計画なのだろうか。

神奈川の横須賀と千葉の富津を結ぶ「東京湾口道路」のおおよその予定路線。

東京湾口道路は、東京湾口部分の浦賀水道を横断し、富津市から神奈川県横須賀市に至る、延長約17kmの海峡横断道路として構想されたものである。東京湾アクアライン同様、東京湾の湾口部に高架橋を架ける、もしくは海底トンネルを掘削するため、「第二のアクアライン」ともいわれている。

東京湾口道路によって国道16号は完全な環状になる。

この東京湾口道路は国道16号の「未開通区間」であることは、あまり知られていないかもしれない。国道16号は、起点の神奈川県横浜市から、東京都の八王子市、埼玉県のさいたま市、春日部市、千葉県の柏市、千葉市、そして東京湾の湾口部の千葉県富津市と神奈川県横須賀市を経て、終点の横浜市に至る「環状国道」である。

そう、千葉県富津市から神奈川県横須賀市までは、東京湾の海上にあって、道路が途切れているため、国道16号の環状は不完全なまま。東京湾口道路の開通をもって、完全な環状となるわけだ。

なお、神奈川の久里浜-千葉県の富津金谷間は、東京湾フェリーの航路で結ばれているが、この区間は、国道350号の新潟港-両津港(佐渡)間と小木港(佐渡)-直江津港間のような「海上国道」には指定されていない。海上国道については「海上国道ってなんだ!? 海の上を走る超特殊な国道の実態に迫る」を読んでもらいたい。

アクアラインをはさんで東京湾を取り囲むように8の字になる予定。

さらに、首都圏では、すでに供用されている首都高湾岸線、横浜横須賀道路、館山自動車道、さらに整備を進めている第二東京湾岸道路、ここに東京湾口道路ができあがれば、東京湾アクアラインを含めて、都心を中心に8の字の道路網となる見込みだ。

しかし、1962年(昭和37年)に調査をはじめてから、事業化にすら至っていない。

東京湾口道路はなぜ事業化しない?

昭和38年の都市間高速道路整備構想。東京湾口に道路整備の構想がある。(画像:国土交通省関東地方整備局)

東京湾口道路は、1962年(昭和37年)に調査を開始し、1994年(平成6年)に地域高規格道路の候補となる路線に指定された……が、2008年(平成20年)に国交省は国土形成計画で長期的な視点から取り組むとして、実質的な凍結ないし消滅した状態となった。

東京湾口道路のベネフィットに対してコストは見合わないのか。高架橋を採択しても海底トンネルを採択しても、土木のアポロン計画といわしめた東京湾アクアラインに近い規模の大事業となり、莫大な建設費や維持費となることも考えられる。

その他、東京湾口道路と東京湾フェリーの航路の競合も懸念するところだろうか。2014年(平成26年)以降、会議を開催していなかった協議会の再始動で、東京湾口道路の事業化に向けて前進となるのか。国道16号の「全線開通」を含めて、今後に注目したい。

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