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最終更新日:2024.03.06 公開日:2024.03.06

夢の「豊予海峡道路」で大分と愛媛を道路で結べ! 国道197号は海を越えてつながるか?

国道197号 大分-愛媛の区間は「海上国道」に指定されている。もし、この区間に橋梁や海底トンネルができたら? 壮大な構想の「豊予海峡道路」を語ろう。

文=宮本 奈々(KURU KURA編集部) 

瀬戸内海の海上を走る国道197号

長大橋がいくつもかかる瀬戸内海。(画像:(c) beeboys - stock.adobe.com)

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本州、四国、九州に取り囲まれた「瀬戸内海」。瀬戸内海には、本州、四国、九州を結ぶ長大な橋やトンネルが複数あり、西日本の生活や経済を支える交通網の一部として重要な役割を果たしている。

瀬戸内海の道路整備状況。本州と九州、本州と四国はつながっているが、四国と九州はつながっていない。

瀬戸内海を渡る橋やトンネルのうち、道路に関わるものを時系列にすると、関門トンネルは1958年、関門橋は1973年、本州四国連絡橋の瀬戸大橋は1988年に開通に至っている。瀬戸内海の海峡横断道路は、半世紀をかけ、着実に整備されてきたわけだ。

その中で、道路整備に取り残されている区間がある。四国-九州間だ。大分県(旧国名豊後国)と愛媛県(旧国名伊予国)の間に位置する「豊予(ほうよ)海峡」には、海峡を横断できる道路がなく、往来はフェリーに頼らざるを得ない。

国道197号。海上国道に指定されており、四国-九州間は渡船する他ない。

この豊予海峡の航路は国道197号(起点 高知市-終点 大分市)の海上区間に指定されているのも大きな特徴だ。道路の類はないが、「一般国道の路線を指定する政令」上は国道である。海上国道の詳細については、『海上国道ってなんだ!? 海の上を走る超特殊な国道の実態に迫る』を読んでもらいたい。

もし、四国-九州間の道路網をつなげば、瀬戸内海を取り囲む環状の道路網ができあがる。四国-九州間はもちろん、瀬戸内海を取り囲む、本州、四国、九州の全体的なアクセスの向上を期待できるだろう。

「豊予海峡道路」とは、まさしく、国道197号の海上区間に橋梁を架けたり海底トンネルを掘削したりする海峡横断道路の構想である。

夢の豊予海峡道路で環状の道路網を整備

豊予海峡道路。瀬戸内海と取り囲む道路網に接続して環状の道路網を形成する。

国道197号の区間となる「豊予海峡道路」は、大分県佐賀関半島と愛媛県佐田岬半島を結び、四国縦貫道と東九州道に接続する構想となっている。道路は四国側の大洲・八幡浜道 保内ICと九州側の東九州道 大分宮河内IC、鉄道は四国側(至松山駅)と九州側(至大分駅)を結ぶことを想定している。

豊予海峡道路は四国新幹線の構想にも絡んでおり、将来的に事業化に漕ぎ着ければ、豊予海峡道路に新幹線の路線を設けることもあり得るだろう。

豊予海峡道路の実現に向けた大分市の調査をまとめた資料(2022年3月)によると、橋梁案は橋梁区間14.9km、トンネル案はトンネル区間20.7km(海底部13.3km)を想定している。

主要都市である松山-大分間の所要時間は、現況で265分(高速道路+フェリー)だが、豊予海峡道路ができれば167分(高速道路)となる見込みだ。1時間半の時間短縮は、大きな効果といえそうだ。

しかし、豊予海峡道路は現時点では事業化にいたっていない。瀬戸内海の道路整備を進めてきたなかで、国道197号の海上区間の解消を阻むものはいったい何なのだろうか。道路の建設では「あるある」だが、巨額の建設費に見合った交通量を見込めないから……とある程度は推察できる。同時に、豊予海峡道路と競合することになる国道九四フェリーとの兼ね合いもあるかもしれない。

豊予海峡道路の事業化は、積極的な姿勢を見せる大分県に対して、愛媛県の機運も高まると同時に、四国新幹線の構想に進展もみられれば、いよいよ……か。今後に注目していきたい。

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