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最終更新日:2024.05.29 公開日:2024.05.29

「下関北九州道路」事業化なるか。関門海峡3本目となる道路のルート定まる。

関門海峡を横断する道路は関門トンネルと関門橋の2路線がある。しかし、インフラの老朽化と中心部のアクセスに課題を抱えている。そこで期待されているのが「下関北九州道路」構想の実現である。事業化に向けて着実に進む現段階の計画をまとめる。

文=宮本 奈々(KURU KURA編集部)

資料=山口県、下関市、福岡県、北九州市、国土交通省

本州と九州の大動脈 関門海峡の横断道路

関門海峡には現在、関門(国道)トンネル、関門橋の道路の他、鉄道トンネルと新幹線トンネルの鉄路が設けられている。

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関門海峡は山口県下関市と福岡県北九州市の間に位置している。海峡に隔てられた二都市は関門トンネル(国道・鉄道)と関門橋で結ばれており、本州と九州の大動脈として人流と物流を支えている。

このうち関門海峡を横断する道路は、国道2号の関門トンネル(開通:1958年)と関門橋(開通:1973)である。関門トンネルは片側1車線で速度制限は時速40km、関門橋は片側3車線で速度制限は時速80km。その他、「関門海峡フェリー」で下関市の彦島荒田港と北九州市の日明港間を渡船できていたが、2011年11月に運休している。

関門トンネルと関門橋の主な課題は、以下の2点である。

■中心部と離れている
関門トンネルと関門橋は、下関の中心部と北九州の中心部と離れており迂回を余儀なくされている。その結果、中心部のアクセスルートである国道2号、国道3号、国道199号などの幹線道路では慢性的に渋滞が発生する問題を抱えている。

■通行止めの頻発
関門トンネルと関門橋は、自然災害、交通事故、さらにインフラの老朽化に伴う長期の補修工事などによる通行止めが頻発している。その度に周辺の国道や県道は大渋滞となり、市民生活や企業活動にも大きく影響している。

そこで下関市や北九州市をはじめとした自治体は、既存の道路ネットワークの課題を解消し、関門トンネルと関門橋の代替路となる、新たな海峡横断道路の必要性を訴えてきた。それが「下関北九州道路」構想である。

関門海峡3本目の道路「下関北九州道路」とは?

下関北九州道路の路線図。関門トンネルと関門橋とは離れた中心部と中心部を結ぶ位置につくる。(画像:山口県、下関市、福岡県、北九州市、国土交通省の資料を元に作成)

下関北九州道路は、下関市の彦島と北九州市の小倉を橋梁で結び、下関市の中心部と北九州市の中心部を往来できるようにする。道路の延長は約8km。規格は片側2車線、設計速度は時速80kmを想定している。

下関北九州道路には、以下の3点の整備効果が期待される。

■下関市と北九州市の中心部の所要時間短縮
現在、下関市の中心部と北九州市の中心部の所要時間は、関門トンネルで約50分、関門橋で約40分を要している。一方、両市の中心部を最短で結ぶ下関北九州道路は、所要時間が約25分と大幅に短縮できる見込みだ。

■交通量を分散して幹線道路の渋滞を緩和
関門トンネルと関門橋の交通量を分散することで、幹線道路の慢性的な渋滞の緩和が期待される。

■関門トンネルと関門橋の代替路としての役割
老朽化している関門トンネルと関門橋の代替路として、いずれかの道路が通行止めとなっても、本州と九州を車両で往来できるだろう。

夢ではない! 「下関北九州道路」は事業化まであと一歩!

下関から小倉を望む。下関北九州道路はこのあたりにできる。(画像:(c) area1964 - stock.adobe.comを元に作成)

2024年5月10日、山口県、福岡県、下関市、北九州市、および国土交通省は、下関北九州道路に関する都市計画の参考となる図面を都市計画決定権者(山口県と北九州市)に送付した。これで下関北九州道路はただの構想ではなくなった。海峡横断道路の実現に期待したい。

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