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クルマ最終更新日:2023.08.04 公開日:2023.08.04

ランドクルーザーは日本の至宝だ! プラド後継モデル、新型250は質実剛健へ原点回帰。

トヨタは2023年8月2日、新型「ランドクルーザー250」を世界初公開した。日本では「ランドクルーザープラド」として展開されてきた「150系」の後継モデルで、2024年前半の発売を予定している。

文=武田公実

写真=トヨタ自動車

新型ランドクルーザー250系を解説

トヨタ ランドクルーザー 250 プロトタイプ|Toyota Land Cruiser 250 Prototype

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この7月下旬、名作60系と一緒に撮影されたティーザー写真で一部をチラ見せして以来、あるいはそれ以前から、日本国内のみならず全世界のSUVファンやクロスカントリーカー愛好家の間で話題となってきた、次世代のミドル級ランドクルーザー。

日本では「150系ランドクルーザー・プラド」の後継となるニューモデルが、8月2日に「ランドクルーザー250」の名とともに、晴れて正式デビューを果たした。

ランドクルーザーは「トヨタ・ジープ」の名のもとに開発された「BJ型」が1951年8月に誕生して以来、シリーズとしては生誕72周年を迎えた。また新型ランドクルーザー250の前身であるプラドも、現在も継続生産中の「70系」の乗用バージョンとして1990年にデビューして以来、すでに33年のキャリアを重ねている。

ランドクルーザーは、60系から現行の300系に至る、フルサイズのフラッグシップモデル。40系から70系へと進化しながら、耐久性と走破性、ユーテリティを追求したヘビーデューティモデル。そして歴代プラドのように、悪路走破性をベースに扱いやすさと快適性を付与し、人々の生活と実用を支えるライトデューティモデルからなる、3つのシリーズで展開。いつしか「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として、辺境の地を含む世界各国のユーザーの安全と安心を提供する使命を負うようになっていた。

そして現在までに約170の国と地域で、累計1130万台のランドクルーザーが人々の命や暮らしを支えてきたことは、まぎれもない事実である。でもそのいっぽうで、特に近年のプラドでは市場の要請から、世代の進化を追うごとに高級SUV路線へとシフトしつつある印象は否めなかった。

そんな状況のもと新生ランドクルーザー250の開発が着手された際、当時の社長だった豊田章男氏は「ランクルは人々の生活、地域社会を支えるためのクルマであるべきで、より多くの人の生活を支えるライトデューティモデルは、お客様が求める本来の姿に戻す必要がある」という原点回帰のコンセプトを提示。それを受けた開発陣は「質実剛健を追求し、お客様の生活と実用を支え、お客様に信頼されるクルマ」という、ランクルの本分を追求するような商品コンセプトを定めたという。

顔は2種類! 丸目と角目のラインナップ

トヨタ ランドクルーザー 250 プロトタイプ|Toyota Land Cruiser 250 Prototype

トヨタ ランドクルーザー 250 プロトタイプ|Toyota Land Cruiser 250 Prototype

伝統とモダンを融合した内外装デザインを取り入れることで、伝統的なランクルらしさを追求するとともに、伝統とモダンを統合しながら、「Reliable(過酷な使用用途にも耐えられる信頼性)」「Timeless(永く愛せる飽きのこないシンプルさ)」「Professional(プロが使う、無駄のない道具に共通する洗練された機能美)」をキーワードに外装・内装をデザイン。

エクステリアは水平基調のデザインによって再現されたランクルらしいシルエットとし、インテリアもリアルオフローダーらしい、機能性を感じさせるデザインへとシフトしたとのことである。

その結果として誕生したランドクルーザー250は、すでにトヨタには多くの持ち駒があるSUVたちとは一線を画し、たとえばメルセデスのGヴァーゲンやランドローバー・ディフェンダーにも勝るとも劣らないような、リアルオフローダーそのもののストイックなスタイリングを獲得したのだ。

先進テクノロジーでランクルの本分を追求

トヨタ ランドクルーザー 250 プロトタイプ|Toyota Land Cruiser 250 Prototype

トヨタ ランドクルーザー 250 プロトタイプ|Toyota Land Cruiser 250 Prototype

新型250シリーズは、ランドクルーザーの最上級モデルとして高い評価を得ている300シリーズと同じ「GA-F」プラットフォームを採用。ホイールベース は先代150系から60mm伸びた2850mm。全長は+100mmの4925mm、全幅は+95mmの1980mm、全高も+20mmの1870mmと大型化したものの、機能性を追求したパッケージングにくわえて、新世代のランクルとしてオフロード・オンロードを問わず、操縦のしやすさと快適性を向上した。

クラストップレベルとなる先進安全性能も目指し、フレーム剛性は50%アップ、車両全体の剛性としては30%アップに成功した。その上でサスペンションの基本性能の向上を図り、先代にあたる150系よりもオフロードでのパフォーマンスを高めたとのことである。

また電動パワーステアリング(EPS)の採用により、悪路走行時の過大なキックバックを低減しながら低速時の取り回し性の向上などにも貢献したいっぽうで、レーントレーシングアシストも実現。オフロード/オンロード双方での安全性向上を図っている。

さらに、車内のスイッチ操作でフロント側スタビライザーの設定を切り替えられる「SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)」を、トヨタブランドでは初採用。オフロードの悪路走破性とオンロードでの操縦安定性を両立したほか、マルチテレインモニター/マルチテレインセレクト機能の拡充による、オフロード走行支援のブラッシュアップも図った。

多種多様なパワートレインを用意。日本での発売時期は?

トヨタ ランドクルーザー 250 プロトタイプ|Toyota Land Cruiser 250 Prototype

ここでもうひとつ注目すべきは、トヨタが「マルチパスウェイ」と呼ぶ多様なアプローチでカーボンニュートラルを目指すとともに、ランドクルーザーに相応しい力強い走りや環境性能を実現するために、ランクル史上初となるハイブリッド・システムを含めた様々なパワートレーンが設定されたことである。

直列4気筒2.4リッターのガソリンターボは、最高出力281psの純ICE(内燃機関)仕様に加えて、システム総出力330psを発生するハイブリッド仕様も設定。いっぽう直列4気筒2.8リッターのディーゼルターボも、純ICEの量販版と48Vマイルドハイブリッド版が用意される。またベーシックモデルとして、4気筒2.7リッターの自然吸気ガソリンエンジンも設定される。

ただし、現時点においてはガソリンターボのフルハイブリッド、ディーゼルの48Vマイルドハイブリッドともに輸出向けのみで、日本国内への導入についてはアナウンスされていないようだ。

トランスミッションは2.7リッターガソリン版のみ6速AT、そのほかはDirect Shift-8ATを組み合わせる。

質実剛健な見た目に留まらず、ランドクルーザーの本分である「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」という資質をさらに高めたランドクルーザー250は、機能を向上させた最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に採用。対応する事故形態を拡大し、あらゆる場面で安心して走行できることを目指しているとのことである。

日本では、特別仕様車First Editionを含めて2024年前半の発売を予定しているという。

左からランドクルーザー 300、ランドクルーザー 70(プロトタイプ)、ランドクルーザー 250(プロトタイプ)

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