踏切事故は2日に1件起きている! それでも対策が進まない理由とは?
日本では、踏切による事故が2日に1件の頻度で起きている。開かずの踏切などへの抜本的な対策は、なぜ進まないのか?
全国で踏切事故が多発
鉄道も自動車も交通に欠かせないインフラのひとつだが、線路と道路が交差する「踏切」での事故は、いまも後をたたない。
2021年に起きた踏切事故は、217件で死者は96人。約2日に1件事故が発生し、4日に1人が死亡している。そのうち、事故にあった約4割が65歳以上の高齢者だった。
踏切はいま、何か所ある?
今から60年以上前の1961年、国は踏切周辺の交通の円滑化を目的として「踏切道改良促進法」を制定した(※法律では踏切のことを「踏切道」と記す)。これをきっかけに、立体交差化や統廃合が進められた。
その結果、1961年以前には全国に7万か所以上存在した踏切は、2022年には半数以下の約3.3万か所にまで減少した。その一方で、第3種踏切と呼ばれる遮断機の無い踏切は、いまだ約3000か所が残存しているという。
対策が進まないワケ
踏切の改良は、「踏切道改良促進法」に決められた通り、国土交通大臣が「改良すべき踏切道」の基準に該当する踏切の中から、交通量や事故の発生状況などを考慮して順次指定される。指定された踏切は、立体交差化や拡幅等の対策に加え、周辺迂回路の整備など踏切への対策が検討され、実施される。
これまで「踏切道改良促進法」は、改良すべき踏切道に対して5年という期間を定め集中的に対策を進めていた。しかし、残る踏切には開かずの踏切など対策の長期化が見込まれる踏切道が多く、従来の5年という期間では対応が難しくなってきていることから、2021年3月に指定年限を撤廃・恒久化している。そのため、問題がある踏切への対策は、今後も飛躍的に加速することはないだろう。
災害時にも、つきまとう不安
2018年に発生した大阪北部地震では、震度6弱の地震により踏切道が長時間遮断した。その影響で、救急活動等への支障が出る事態も発生している。地震などの災害が多い日本では、今後もこうした事態が発生する可能性がある。
国土交通大臣は、災害時の円滑な避難や緊急輸送を確保するため、「災害時の管理の方法を定めるべき踏切道」を指定している。これは、緊急輸送道路等にあり、近隣に立体交差がない踏切道について、災害時に優先的に開放する措置を実施する制度だ。これにより、災害が発生した際に、道路管理会社・鉄道事業者が災害時に踏切道を開放するまでの手順と関係機関へ連絡体制等をあらかじめ決定するよう義務づけている。2022年7月末までに、全国で372か所が指定されている。
しかし、あくまでも補助的な措置ではないだろうか。「改良すべき踏切道」への抜本的な対策が急がれる。