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クルマ最終更新日:2022.12.06 公開日:2022.12.06

衝突事故が激減する!? 危険を知らせる事故防止ソリューションを実体験!

交通安全や自動運転の分野で注目が集まるV2X。クルマと歩行者や二輪車間などを通信でつなぐ技術だが、その未来の交通技術を使い、リアルタイムで道路利用者同士の衝突を事前に防ぐ、最新のソリューションをJARIつくばで実体験することができた。世界中のパートナーと連携するコーンズテクノロジーが取り扱いを始める「Eye-Net™」の正体に迫る。

文=くるくら編集部
画像・動画=Eye-Net Mobile

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次世代の事故防止ソリューションが日本にも!

 次世代の交通制御システムとして注目されるV2X(Vehicle to Everything)は、道路や車、歩行者などを通信ネットワークで結び、道路利用者の安全を確保させようという試みだ。これは自動運転や通信技術とも関係性が深く、世界中で次々と新しい試みが始まっている。

 通信技術、自動運転技術や防衛・セキュリティ関連のテクノロジー事業を展開している「コーンズテクノロジー」では、自動運転における問題解決の一環として、Eye-Net Mobile(アイネットモバイル)社が開発した事故防止ソリューションに注目し、取り扱いを開始。今回は、そのリアルタイムで衝突前に警告するソリューションアプリ「Eye-Net™ Protect」のデモ走行を、自動車や道路交通に関する研究を行う日本自動車研究所(JARIつくば)で体験する機会に恵まれたので紹介しよう。

Eye-Net™とは?

「Eye-Net™ Protect」はAndroid、iOS、Linuxに対応。無償で利用することができる。

 アイネットモバイル社はイスラエルに本社を構え、洗練されたアルゴリズムと高度なシステムアーキテクチャ(システムの設計方法や工程を記述したもの)の扱いに長けたテクノロジー企業だ。社名の通り、このEye-Netの設計・開発も同社が行っている。

 Eye-Netは、3G以上のセルラー回線とGPS搭載を条件として使用できるソフトウェアで、「Eye-Net Protect」は、Android、iOS、Linuxに対応したアプリケーションだ。主なサービスとしてEye-Netは、歩行者や自転車、車などのあらゆる道路利用者の移動をリアルタイムで分析・予測し、アプリ利用者の危険が迫ると事前に警告をしてくれるという機能を備えている。Eye-Netの挙動については、ぜひ次の動画を参考にしてもらいたい。

 すべての道路利用者に共通する危険、それは「衝突」だ。この衝突を道路利用者同士が事前に察知することができれば、衝突事故数は大幅に減少させられる可能性がある。しかし、問題は相手もEye-Netをインストールしている必要があるため、最大の課題は如何にこのアプリを普及させるか、その一言に尽きる。Eye-Netの利用には特別な機材を必要とせず、既存のセルラー回線で利用でき、費用も無料と、このハードルの低さはアプリを普及させるためにはとても重要な要素になりそうだ。

道路利用者が移動する際、アプリが自動で座標データを収集し、移動速度から歩行者、自転車、車のいずれかに分類する。それと同時に、道路利用者が移動している方向も追従、そのまま進行した場合、衝突するか否かを予測・分析する。

移動している道路利用者同士がこのまま進むと衝突すると判断された場合、双方のスマートフォンに通知が届き、画面表示、光、振動、音などによって警告される仕組みだ。

Eye-Netの特性を知る

 ここで、Eye-Netの特徴と利便性を確認してみよう。

■特徴
・利用には3G回線以上と、GPSの搭載が必要。
・AndroidiOSのスマートフォン、及びLinuxベースのカーナビ、ドライブレコーダー等の機器に対応。
・アプリ利用者を移動速度で認識する。歩行者は時速5km、自転車は時速10km、自動車は時速40kmから認識する。最高速度に制限はない。
・アラートは画面表示、光、振動、音などで通知される。
・側面衝突の危険を検知すると、アプリ利用者の双方にアラートが通知される。

■利便性
・サービスの利用に特別な機材を必要としない。
GPSにより道路利用者を追従するため、天候や昼夜の影響を受けない。
・アルゴリズムにより遅延がなく、移動速度に対して最適なタイミングでアラートが鳴る。
・せまい交差点や路駐車の死角など、見通しが悪い環境下で威力を発揮する。
・個人情報の登録や抜き取りなどは一切ない。
・アプリの利用に特別な認証を必要としない。
・バックグランドで稼働しているため、アプリの起動を必要としない。
・「Eye-Net Protect」は無償で利用できる。

 GPS通信による位置情報の取得はカメラやレーダーによる検知とは異なるため、情報を補完し合える技術として相性が良く、自動運転技術の安全性向上にも貢献してくれるだろう。

次のページでは、
JARIつくばでの実体験を紹介

まずはシミュレーターで走行体験!

 このような説明をアイネットモバイル社から受けた後、シミュレーターによる走行体験時間が設けられた。このシミュレーターでは、決まった市街地のルートを走行し、道路のいたる場所から飛び出してくる歩行者や自転車・車と衝突せずに制限時間内にゴールまで到着する、というものであった。狭い道路の両端には、いたる所に車両が停車されており、車の死角や信号のない交差点から突然飛び出してくる道路利用者に、ほとんどの体験者は幾度も衝突してしまった。

シミュレーター体験では、Eye-Netの有無をそれぞれ体験。多くの体験者が、Eye-Netなしでは急な飛び出しに対してブレーキ制動が間に合わず、衝突事故を起こしてしまった。

 次に、同じルールで今度はEye-Netによるサポートを有効にして、同じように走行してみる。すると、視覚ではまったく察知できなかった道路利用者の接近を、スマートフォンが事前に通知。体験者は衝突することなくゴールに到達できるようになった。

Eye-NetをONにすると、理不尽に飛び出してくる道路利用者のすべてに対し、視界に入る前から警告が鳴り、衝突回数も激減するという結果に。

実際にEye-Net搭載車に同乗!

デモ走行はホンダ ステップワゴンに同乗する形で実施された。Eye-Netを搭載したモニターは、カーナビ上部に設置されている。

 次に、JARIつくばのテストコースにて、車に対して他の道路利用者(歩行者、自転車、車)が接近するとEye-Netがどのように動作するのか、実際に走行車両に同乗させてもらった。この実証実験では、道路利用者同士が衝突しそうな場合や、衝突する可能性がない場合などについてを体験することができた。

アラートまでの挙動を数値化しているデモ走行用のモニター画面。①はこのままだと衝突する確率は71.8%。②は衝突するまでの時間は4.03秒。③は衝突までの距離は42.1mを示している。

 まずは、交差点で「車と歩行者」が接近するケース。写真では両者はかなり接近しているように見えるが、まだ42mほどの距離がある。アイコンやテキストが黄色で表示されているのは「警戒中」を表しており、アラートが鳴動する直前の状態。

 前の写真からおよそ一秒後、Eye-Netが車と歩行者の衝突確率を100%と判断し、双方にアラートが鳴った。画面内の歩行者アイコンや各項目が赤字で表示されている。衝突予測は2.7秒後、衝突距離まで27.8mと見なされ「WATCH OUT(注意して!)」の表示が。車内には警報音が鳴り響いている。

 次に「車と歩行者」がすれ違う場合に、アラートが作動しないことを実証。両者の進行方向を予測・分析した結果、衝突する可能性はないとEye-Netが判断している。アイコンやテキストも白色のままで、何事もなくすれ違うことができた。

 「車と自転車」の場合。これは両者が無事に減速・停止できた場面。アラートが解除され、衝突する心配がなくなったため、アイコンが赤色から白色に変化している。

 こちらは「車と車」の場面。互いに速度が出ているため、早めにアラートが鳴らされている。このように、両者の移動速度に応じて、最適なタイミングで警告が出ることを確認することができた。

まとめ 課題は普及率と通信技術の向上

 未来の交通安全技術として期待される「セルラー回線で利用できるV2X事故防止ソリューション」はとても興味深い可能性を見せてくれた。しかし、前半でも触れた通り、相手もアプリをインストールしていることが条件なので、どうしても普及率が大きな課題となっている。大手キャリアが名乗りを挙げたり、プリインストールされた端末が市場に出回れば面白そうだが、日本人としては、何より信頼性が重視されるだろう。

 しかし、イスラエル本国では既に3万人規模で社会実装がされており、さらに、300万人以上が利用しているイスラエルのスマホ決済アプリ「Pango」にこのEye-Netのソフトが統合することが発表されている。いよいよ大きな実績を築き上げるステージに進んだということだろう。実績と信頼性が担保できれば、日本でも普及する可能性が高まるかもしれない。ちなみに日本国内においては、東京エリアをカバーできるだけのサーバーが既に設置されており、今後はユーザーへの普及に応じてサーバーを増設する構えのようだ。コーンズテクノロジーでは、まずは開発者向けに対応を始めているので、有志はぜひ名乗りを上げて欲しいところだ。
・コーンズお問い合わせサイト https://cornestech.co.jp/contact?type=01

 しかし、たとえEye-Netが順調に普及したとしても、道路を利用する際、アプリに頼って周辺確認を怠るようになってしまっては本末転倒だ。あくまでお守り代わりとして、正しく交通ルールは守り続けよう。

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