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最終更新日:2022.09.30 公開日:2022.09.30

規格外の「1分1円パーキング」が誕生!利用者にも経営者にも優しいAIパーキングとは?

「1分=1円パーキング」のサービスが、埼玉県のSD上尾上町駐車場で9月28日から始まった。この超低価格な料金設定を支える、革新的な駐車場のシステム「AIパーキング」とは、どのような構造をしているのか、その正体と可能性を探ってみる。

文=原田磨由子
資料・動画=剛力建設

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1分1円を成立させるAIパーキングシステム

 コインパーキングの常識を打ち破る、業界最安の24時間いつでも1分1円の時間貸し駐車場……。明瞭な料金体系が魅力のこのパーキングは、928日から埼玉県上尾市の”SD上尾上町駐車場”でサービスを開始している。このサービスを手掛け、運営するのは機械式駐車場の平面化工事を主な事業としている、東京都江戸川区の剛力建設だ。

 そして、この特殊な料金設定を成立させているのが「AIパーキングシステム」だ。このシステムは、各車室の検知・課金をIPカメラとPC上に集約し、その情報は即座にサーバーを通してリアルタイムで可視化されるというもの。これにより、車両をロックするフラップ板やセンサー、精算機など、これまでコインパーキング運営で必要とされてきた設備を削減することができる。支払いは現金やカード、駐車券などの物理的な精算手段は廃止し、現地にあるQRコードをスマートフォンなどで読み込み、オンライン決済をする形式だ。

 キャッシュレス化によって集金業務も不要となり、イニシャルコストの抑制はもちろん、ランニングコストも大幅に削減し、利用率の高さも見込めることから、駐車場運営の効率を飛躍的に高められるという算段だ。

一枠ごとに設置していたフラップ板がなくなり、動作トラブルや、設置・管理コストも大幅に削減。※写真はSD上尾上町駐車場のものとは異なります。

IPカメラ一台につき、28台の管理を想定。入庫から出庫までの時間と車両情報も同時に管理している。

決済用のQRコードは看板に表示。精算手順は2次元コードをスキャンし、4桁のナンバープレートを入力するだけ。専用アプリも不要。

新サービス誕生の背景

 コインパーキングはローリスクな土地活用として候補に挙がりやすいが、利用者のニーズと合わない、トラブルが予想以上に多い、運用コストが割に合わないなどの理由で、経営が失敗するケースも多い。

 コロナ禍によるステイホームでコインパーキング業界も大きな影響を受ける中、剛力建設は運営者と利用者、両者にとって付加価値の高いサービスやDX(デジタルトランスフォーメーション)を模索してきたという。そして、2022年3月に正式にAIパーキングをスタートしてから、停めやすいロックレスの駐車場や、登録手続き不要のQRコード決済という特長に加え、今回の1分1円という明瞭な価格設定が加わることで、利用者にも経営者にも魅力的なパーキングが誕生している。

次のページでは
AIパーキングの正体」を紹介

AIパーキングの正体

AIパーキングに必要な立体設備は、IPカメラと、コントロールボックス(PC)と、QRコードを表示した看板があれば成立する。

 AIパーキングの正体は、剛力建設が東京工業大学と産学連携して共同開発し、AIカメラによる可視化管理と、ディープラーニングによる画像認識技術の統合と、キャッシュレス決済システムをソフトウェアで組み合わせた「ナンバー認証式駐車場」だ。

 ナンバー認証式駐車場では、ゲートや精算機、フラップ板などを廃し、駐車場にはカメラとPCボックスに、決済用の看板が立つだけのシンプルな駐車場になる。最小の設備で初期投資も管理費もトラブルも抑えられるのであれば、これは経営者にとって大きなメリットだ。

 経営者を悩ませるトラブルの例として精算機を挙げると、利用者が番号を間違えて精算してしまった場合や、駐車券などの磁気の読み込みエラー、領収証の発行ミス、新硬貨・新紙幣に非対応、釣銭不足、そして精算機そのものの故障など、場合によっては緊急出動を迫られる可能性がある。精算機ひとつでもこれだけ不安の種があるのだから、設備は最小限に済ませるに越したことはない。

AIパーキング利用の流れ

まとめ

  “1分1円”というキャッチーで優れたコストパフォーマンスで、1円パーキングは積極的に利用者を呼び込むことが見込めるだろう。これにより、これまでコインパーキングには適さないとされてきた交通量の少ない立地であっても、時間貸し駐車場運営が可能となる。なかなか活用方法がなかった土地でも、1円パーキングを運営することで収益化を実現できるのだ。遊休地に新しい価値が生まれそうだ。

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