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道路・交通2021.08.12

道路の地下利用を進める工事方法を大林組とトヨタが発表!

大林組、トヨタ自動車未来創生センター、豊田中央研究所が共同で発表した次世代道路構想「ダイバーストリート」。これは既存一般道の地下に、物流システム用トンネルを建設する2階建て構造の道路のことで、無電柱化のための共同溝の設置や、さらには豪雨時の雨水貯留用のタンクとしての利用も考慮されている。この道路構想と新たに開発された施工法について紹介しよう。

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次世代道路構想「ダイバーストリート」とは

ダイバーストリートのイメージ。画像出典:大林組公式サイトダイバーストリートのイメージ。 出典=大林組公式サイト

 「ダイバーストリート」は、豊田中央研究所が2017年度に研究開発をスタートさせ、2019年度から大林組とトヨタ自動車未来創生センターが開発に加わった次世代道路構想だ。一般道の地下に無人搬送車(AGV)による物流システム用の専用トンネルを通すと同時に、電線などを埋設するための共同溝を設けることで地上の無電柱化も促進するというコンセプトを持った道路だ。

仮に首都圏の外郭に、荷捌き用の物流ターミナルを東西南北に設け、それぞれをつなぐ幹線道路の地下にこのような物流専用トンネルを建設したとしよう。すると、これまで首都圏を通過するだけだったトラックなどの通行をなくすことができる。そうすれば、一般道にしろ高速道路にしろ、首都圏の交通量が大幅に減少することになるだろう。

また同研究チームによると、ダイバーストリートは自動運転のための路車間通信用インフラや、EVの走行中給電などのシステムを設置できるという。さらに、近年問題となっている台風の大型化や、ゲリラ豪雨による大雨災害などの発生時には、ダイバーストリートの地下トンネルを雨水貯留用の巨大タンクとして利用することも考慮されているそうだ。

従来施工法で地下トンネルを建設する際の課題とは?

(左)従来施工法による垂直断面の模式図。(右)新施工法による同模式図。画像出典:大林組公式サイト

(左)従来施工法による垂直断面の模式図。(右)新施工法による同模式図。 出典=大林組公式サイト

 ダイバーストリートの現実化のためには、既存の一般道の地下に長距離のトンネルを通す必要があり、従来の施工法では、長い工期と多大なコストがかかってしまうことがネックであった。ところが今回、従来の施工法と比べて、工期短縮、コストの削減、さらには掘削エリアの縮小まで実現できるという新たな施工法も発表された。

従来の施工法では、まず道路の両脇に、地下空間で作業するための土留めとなる仮設の「鋼矢板(こうやいた)」が打設される。そして鋼矢板の間が地下まで掘られ、そこに工場で製作されたプレキャストボックスカルバート(トンネルの躯体)の部材がトレーラーで現地に運搬され、箱型に組み立てられた上で大型クレーンを使って地下まで下ろされて設置される。その後、分割して設置した複数のプレキャストボックスカルバートが接続され、側部の作業スペースなどを埋め戻し、最後に仮設鋼矢板が引き抜かれて作業完了となる。

ここでポイントとなるのが、鋼矢板を打設する位置だ。プレキャストボックスカルバートをギリギリ下ろせるだけというわけにはいかず、その両脇に作業スペースを設ける必要がある。つまり、地上の一般道の幅員によっては、用地買収の問題が生じる可能性もあるということだ。そうなると、交渉がまとまるまで長い時間を要することもあり、当然ながらコストが増加してしまう。

従来の短所を取り除くことに成功した新施行法

新施行法の3次元構造の模式図。画像出典:大林組公式サイト

新施行法の3次元構造の模式図。 出典=大林組公式サイト

 それに対してダイバーストリート用に考案された新しい施工法では、鋼矢板を従来の土留めの役割を担わせるだけでなく、支持構造物(=トンネルの側壁)として使用するという特徴がある。そうすることで、掘削エリアを縮小でき、建物と近接しているような条件下であっても、敷地の境界に鋼矢板を打設することで多くの場合、用地買収の問題がなくなるのだという。なお、地上の一般道の床版にはプレキャストを利用することで軽量化が図られ、路面から伝わる鉛直および水平荷重は鋼矢板の側壁摩擦力などで支持される仕組みだ。

また、鋼矢板をトンネルの側壁としてそのまま利用することで、側壁の構築と工事最後の鋼矢板の引き抜きという大きな工程がなくなる。それに加え、プレキャストボックスカルバートの組み立て、設置、接続という工程もなくなり、工期を従来施工法よりも約2か月短縮できるという。同時に、施工に必要な部材も大きく減るので、製作費や運送費もそれだけ削減できる。これらを合わせると、従来の施工法と比較してコストを約4割も削減できるそうだ。

大林組は今後も、ダイバーストリートの実現に向け、街や道路の進化に合わせてアップデートできる、さまざまな機能を有する路面の研究開発を進め、モビリティとインフラとを融合させた道路のあり方についての研究を進めていくとしている。また、短工期、コスト低減など、経済性に配慮した新たな道路施工法を開発して提供することで、将来のスマートシティにおけるインフラ基盤の構築に貢献していくとした。

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