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クルマ最終更新日:2020.09.14 公開日:2020.09.14

スバルと群馬大学がコラボを強化。「次世代自動車技術研究講座」を設置

スバルと国立群馬大学は8月27日、同大学大学院理工学府内に共同研究講座「次世代自動車技術研究講座」を設置したことを発表。両者のコラボレーションをより強化し、2030年以降の時代に求められる自動車技術創出のためのイノベーション拠点とするという。

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8月27日、スバルと群馬大学が2020年4月1日から3年間にわたり、共同研究講座を設置したことが発表された。左は群馬大学の平塚浩士学長、右はスバル執行役員CTO(最高技術責任者)技術統括本部長兼技術研究所長の藤貴哲郎氏。

左は群馬大学の平塚浩士学長、右はスバル執行役員CTO技術統括本部長兼技術研究所長の藤貴哲郎氏。

 スバルと群馬大学のコラボレーションは、2005年にまで遡る。当時の富士重工群馬製作所と群馬大学が包括協定を締結し、大学院での講座や共同研究などで連携体制を進めてきた。その中で得られた知見は、現在のスバルのクルマづくりに活かされているという。

 そして、これまでの連携を発展させる形で、今回「次世代自動車技術研究講座」(以下、共同研究講座)が設置されることとなった。連携を一歩進めるその理由は、社会の変化や技術の進展に合わせ、より速くより柔軟な包括的対応ができる共同研究体制とすることがひとつ。そして、社会ニーズに基づく教育プログラムを開発することである。

次世代自動車技術研究講座は体制の幅の広さが特徴

 共同研究講座は、群馬大学の大学院理工学府内に設置されるが、一見するともの作りとは関係ない大学院医学系研究科、大学院保健学研究科、社会情報学部なども参加し、全学的な教育研究開発への関与を可能とする取り組み体制を構築するという。

 このような学際的体制が組まれた理由は、ハード面だけを研究していたのでは、魅力的なクルマを作れないからだ。そこに搭乗するドライバーを扱う人間工学や、ドライバーとクルマを橋渡しするヒューマン・マシン・インターフェースなども重要な分野であり、それが大学院医学系研究科、大学院保健学研究科、社会情報学部なども関わる理由である。

スバルはインターフェースの開発に力を入れている自動車メーカーのひとつ。

スバルはインターフェースの開発に力を入れている自動車メーカーのひとつ。

 また、これまでもスバルと群馬大学の複数の研究室との間で共同研究が個々に行われてきたが、共同研究講座の設置を機にそれらをすべて統括して横のつながりを持たせるという。そして群馬大学の理工系、医学系、保健学系、情報系のリソースを結集し、スバルの研究課題を解決するための取り組みとして、同講座が両者間で戦略的、包括的、組織的に進めるためのフレームワークも担うとしている。なお活動拠点は、太田キャンパスに設置される予定だ。

スバルのベテランエンジニアが特任教授として派遣

 講座教員の特任教授として、エンジニア1名がすでにスバルから群馬大学に派遣済みだ。スバルに話を聞いたところ、クルマづくりにおいて複数の分野に携わってきた、経験豊富な管理職経験もあるベテランエンジニアだという。

 ちなみに、共同研究”講座”という言葉のイメージから、その特任教授が学生たちを相手に授業を行うイメージを持ちやすいかもしれないが、そうではない。共同研究講座では複数の研究室においてスバルの自動車開発におけるニーズや課題を取り上げ、特任教授は群馬大学の教員と連携して共に研究していくというものである。特任教授は、各研究においていわばスーパーバイザー的な役割を務める。なお学生は、研究室に所属する3年生以降になれば、研究に参加できることになる。

 そして共同研究講座で追求されるのが、「もっと笑顔でもっと安心な、愉しい生活を人々にもたらすクルマ」というテーマ。クルマの新たな価値を創出する研究開発を行っていくという。

 将来的には、同講座を核として、スタートアップ企業や地域企業などの参画、他研究機関との連携も進めていく計画だ。学生・研究者・社会人の人材育成や社会貢献も含めた、スバル-群馬大学型の独自の産学連携プラットフォームを構築していくという。群馬大学によれば、現時点での予定はないものの、一般市民が参加できるような市民講座もニーズがあれば検討していくとしている。

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共同研究講座の第一期の詳細について

2023年3月末までの第一期の活動の3つの柱

 共同研究講座の活動期間は、2020年4月から2023年3月までの3年間で、「第一期・活動基盤整備フェーズ」と位置付けられている。スバルは自社のクルマでの「交通死亡事故ゼロ」を2030年に実現するという目標を掲げており、共同研究講座はその先の2030年以降も見据え、第二期、第三期と、続けていくとしている。そして「交通死亡事故ゼロ」を実現するための研究開発の一環として、スバルでは今回の講座を活用する計画だ。

スバルのEyeSightが歩行者を認識しているイメージ。

スバルといえば、安全運転支援システム「EyeSight」。同システムが歩行者を認識しているイメージ。

 そして第一期では、「安全領域」、「感性領域」、「設計プロセス改革領域」という3つの取り組みから開始する計画だ。3つの取り組みそれぞれの詳細は、以下の通り。

 「安全領域」は、交通死亡事故ゼロから、さらには究極の交通事故ゼロを目指す。人とクルマのインタラクション、クルマと周辺交通環境のありたい姿を追求し、さまざまなセンシング機能と人工知能を搭載する次世代高度運転支援車両や自動走行機能搭載車両などへの適用研究と社会実装を通して、もっと「ぶつからない安全なクルマ」を実現するとしている。

 そして「感性領域」は、クルマに対して人が感じる「安心」と「愉(たの)しさ」が題材だ。それらを医学・人体科学にかかわるアプローチからひも解き、設計可能な工学に結びつけていくとする。乗員や交通参加者の脳が判断するメカニズムを、視覚、三半規管が持つ聴覚や平衡感覚、振動や圧力などを感じる人体感覚器に着目して解明していく。そして、それをクルマが持つ人間拡張感覚の増幅や最適化、車両制御技術への応用研究を進めて、次世代技術として確立していくという。

 最後の「設計プロセス領域」は、仮想空間を取り扱う。新型車の開発初期段階から仮想空間でクルマのすべての機能・性能・品質について、設計-評価と造り込みを効率的に行うためのプロセスや手法を開発していく。その中で、メカニズムの解明が必要な現象や、解析や評価、予測手法などの開発に要するテーマを選出し、研究を行っていくとした。

将来的には、スバルにおけるクルマの設計は仮想空間内で行われるようになる?

将来的には、スバルにおけるクルマの設計は、すべて仮想空間内で行われるようになる?


 今回の講座は、スバルにとっては新たな研究開発部門ともいうべき位置づけになると同時に、群馬大学にとっては研究に参画する教員や学生たちが企業での考え方や現場を知る実践的な機会を得られる場となる。両者にとって大きなメリットとなるとともに、ユーザーへの魅力的なフィードバックを期待したい。

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