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最終更新日:2023.06.16 公開日:2020.05.08

全国の都道府県道1号はどんな道路? 東日本編(北海道・東北・関東・甲信越)

都道府県道1号は「主要地方道」の1本であり、国道や高速道路などと共に円滑な道路交通を担う重要な道路だ。ここでは東日本編として、北海道から甲信越までの4地区14路線(欠番3路線)を取り上げる。それぞれどのような道路か紹介しよう。

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都道府県道の1号を見ていく前に、日本における道路の種類をおさらいしておこう。日本における道路とは道路法第3条により、高速自動車国道、国道、(都道府)県道、市(区)町村道の4種類に分類される。今回紹介する都道府県道は、道路法第7条において「地方的な幹線道路網を構成し、かつ、次の各号(※1)のいずれかに該当する道路で、都道府県知事が当該都道府県の区域内に存する部分につき、その路線を認定したものをいう」と定義されている。所有と管理は各都道府県もしくは政令指定都市だ。維持コストは各都道府県もしくは政令市都市が担うが、新設・改築については1/2以内で、修繕する際は1/2を国が補助することになっており、国と自治体の折半に近い。

※1 次の各号:6つの条件があり、文章量があるので最終ページ末に掲載した。

 道路法第7条で規定された都道府県道には「主要地方道」と一般都道府県道の2種類があり(※2)、中でも重要なのが主要地方道だ。主要地方道は1952年12月5日に施行された「新道路法」に基づき、1954年の1回目に始まって1993年の6回目まで、これまで複数回にわたって建設大臣(国土交通大臣)によって指定されてきた。

※2 主要地方道:県道だけでなく、市道にも主要地方道として指定を受けた道路がある。

 主要地方道は路線番号が若く、1号から100号まで。一般県道は101号からと基準が定められており、見分けがつきやすくなっている。今回紹介している都道府県道1号も、基本的には主要地方道だ(※3)。主要地方道の本数は都道府県ごとにまちまちで、少ないところでは50本以内(路線番号が40番台まで)。多いところでは、路線番号が90番台まである。さらに例外もあり、北海道は100番台も主要地方道(北海道では「主要道道」と呼ばれる)で、151号まである。東京では環状七号線(318号)や環状八号線(311号)など、300番台の主要地方道も存在する(※4)。そのほか、一部では3桁の主要地方道がある県や、2桁の一般県道がある県もある。

※3 主要地方道は1号から、一般県道は101号からというルールは、1994年6月30日に、建設省道路局長から各都道府県知事宛に、都道府県道の路線番号の付け方として「建設省道政発第33号都道府県の路線認定基準について」の通達が行われ、一部の例外を除いて基本的にはこれに従ってつけられている。
※4 東京の主要地方道:2桁台は道路法第7条で認定され、3桁の300番台は道路法第89条で特例として認定されている。

 都道府県道1号は欠番もあり、それらを除くと全国で38路線。もちろん1号なのですべて主要地方道である。今回、全国を東日本、中日本、西日本編の3回に分け、それら37路線と欠番となっている都県10路線について紹介する。

まずは東日本編として、北海道から長野県までの14路線(欠番3路線)の起点・終点、総延長、そしてその特徴を紹介しよう。総延長と起点・終点に関しては、国土交通省が5年ごとに発表している「道路センサス」2015年版を参照した(※5)。そのほか、各都道府県の道路管理部門などが公表している公式データなども参考にしている。

※5 道路センサス:5年ごとに発表されているが、原稿執筆時点の2020年4月末~5月初旬の時点での最新版は2015年版。

【北海道】
●北海道:小樽定山渓線(おたるじょうざんけいせん)

【東北】
●青森県:八戸階上線(はちのへはしかみせん)
●岩手県:盛岡横手線(※6)
●秋田県:盛岡横手線(※6)
●宮城県:古川佐沼線(ふるかわさぬません)
●山形県:米沢高畠線(よねざわたかはたせん)
●福島県:沼田檜枝岐線(ぬまたひのえまたせん、※7)

※6 盛岡横手線:岩手と秋田の両県にまたがる。
※7 沼田檜枝岐線:群馬と福島の両県にある(つながってはいない)。

【関東】
●茨城県:宇都宮笠間線(うつのみやかさません、※8)
●栃木県:宇都宮笠間線(※8)
●群馬県:沼田檜枝岐線(ぬまたひのえまたせん、※7)
●埼玉県:さいたま川口線
●千葉県:市川松戸線
●東京都:欠番
●神奈川県:欠番

※8 宇都宮笠間線:栃木と茨城の両県にまたがる。

【甲信越】
●新潟県:新潟小須戸三条線(にいがたこすどさんじょうせん)
●山梨県:
欠番
●長野県:飯田富山佐久間線(いいだとみやまさくません、※9)

※9 飯田富山佐久間線:長野、愛知、静岡の3県にまたがる。愛知、静岡については中日本編で紹介。

→ 次ページ:
まずは北海道・東北の7路線を紹介

北海道の道道1号

【北海道】小樽定山渓線
さっぽろ湖周辺などが風光明媚

読み方:おたるじょうざんけいせん
起点所在地:
小樽市新光(おたるししんこう)
起点交差点名:
朝里川温泉入口(あさりがわおんせんいりぐち)
終点所在地:札幌市南区
終点交差点名:定山渓温泉東3(じょうざんけいおんせんひがし3)
総延長:37.9km

石狩湾に面した小樽市から、札幌市南区の温泉地である定山渓までをつなぐ、山間部を抜ける道道だ。道中には朝里川温泉、札幌国際スキー場、ダム湖のさっぽろ湖などがある。街中を離れると自然の中を走れ、さっぽろ湖の周辺などでは特に見晴らしがよく、風光明媚という言葉が似合う。その景観のよさから、小樽定山渓線は「定山渓レイクライン」などの愛称もつけられている。道中の朝里峠で冬期の夜間通行止めが実施される。2020年は4月20日に解除された。

東北地方の県道1号6路線

【青森県】八戸階上線
太平洋岸を走る眺めのよさが魅力

読み方:はちのへはしかみせん
起点所在地:
八戸市柏崎
起点交差点名:塩町
終点所在地
 本線:三戸郡階上町大字道仏字鹿糠(さんのへぐんはしかみちょうおおあざどうぶつあざしかぬか)
支線(北側):八戸市大字鮫町字鮫(さめまちあざさめ)
支線(南側):三戸郡階上町大字道仏字榊山(さかきやま)
終点交差点名
 本線:なし(国道45号との交差点)
支線(北側):なし(蕪島海浜公園前)
支線(南側):なし(JR八戸線階上駅前)
総延長:25.3km

八戸市で最も太平洋側を走る県道で、本線には「うみねこライン」の愛称がつけられている。砂浜や海に手が届きそうなほど沿岸を通る区間もあり、眺望の素晴らしい点が特徴だ。支線が2本ほどあり、総延長25.3kmはそれらも含めた距離である。支線のひとつは北側にあり、八戸港の近辺で分岐し、海水浴場の蕪島海浜公園へ向かうルート。もうひとつは南側で、海沿いから離れて国道45号に向かう途中で分岐し、JR八戸線・階上駅方面へ向かっている。

【岩手県】盛岡横手線
岩手と秋田の両県にまたがる県道

読み方:もりおかよこてせん
起点所在地:盛岡市内丸(うちまる)
起点交差点名:裁判所前
終点所在地:和賀郡西和賀町(わがぐんにしわがまち)
終点交差点名:なし(秋田県との県境)
延長(岩手県内):80.3km
総延長(岩手・秋田):97.5km

盛岡横手線はふたつの県にまたがる県道で、岩手県盛岡市から秋田県横手市までをつなぐ。盛岡横手線のように県をまたがる場合は、路線番号・路線名を統一する決まりとなっており、どちらの県でも1号盛岡横手線だ。岩手県内の区間では、ふたつの国道と重複し、標識などは国道が優先されるため、その間は形式上の存在となる。その区間のひとつが、国道46号と重複する盛岡市内の西バイパス北口交差点から岩手県雫石町の雫石バイパス東口まで。そしてもうひとつの区間が、岩手県和賀郡西和賀町の川尻橋交差点から秋田県との県境までだ。総延長は、両県合計すると97.5kmとなり、東日本で最も長い都道府県道1号である。

【秋田県】盛岡横手線
国道107号に隠れた幻の路線

読み方:もりおかよこてせん
起点所在地:
横手市山内黒沢(さんないくろさわ)
起点交差点名:なし(岩手県との県境)
終点所在地:横手市安田
終点交差点名:横手市安田
延長(秋田県内):17.2km
総延長(岩手・秋田):97.5km

岩手県盛岡市から秋田県横手市まで2県にまたがる盛岡横手線。その秋田県内の区間17.2kmは、実は姿の見えない”幻の県道1号”ともいうべき道路となっている。その理由は、全線が国道107号と重複しているからだ。途中で盛岡横手線が国道107号と重複しない区間はなく、道路標識も存在しないが、形式上は存在するのが秋田県道1号盛岡横手線である。

【宮城県】古川佐沼線
途中で南北2ルートに分岐して再合流

読み方:ふるかわさぬません
起点所在地:
大崎市古川稲葉(ふるかわいなば)
起点交差点名:城西(しろにし)
終点所在地:登米市迫町(とめしはさまちょう)
終点交差点名:なし(国道346号との交差点)
総延長:45.7km

宮城県内の北西部に位置し、秋田県や山形県と接する大崎市と、その東に位置する登米市の間をつなぐ県道が古川佐沼線だ。同路線は、国道4号と接続する米沢市古川稲葉の城西交差点が起点となる。途中、大崎市古川荒谷(ふるかわあらや)から栗原市高清水豊田(くりはらしたかしみずとよた)までは国道4号との重複区間だ。国道4号と分かれた後、東北本線・瀬峰駅(せみねえき)近辺で南北の2ルートに分かれ、北側は天然湖である長沼(ながぬま)の脇をかすめていく。南側は、田園地帯が広がる開けた景観のコースだ。南北のルートは登米市迫町の佐沼(さぬま)地区で合流し、迫川を佐沼大橋で渡ったところで終点となる。

【山形県】米沢高畠線
蔵王連峰の雄大な景色が特徴

読み方:よねざわたかはたせん
起点所在地
北側ルート:
米沢市金池(よねざわしかないけ)
 南側ルート:米沢市駅前
起点交差点名
北側ルート:
なし(県道152号との交差点)
 南側ルート:なし(JR米沢駅東口ロータリー前の交差点)
終点所在地:東置賜郡高畠町(ひがしおきたまぐんたかはたちょう)
終点交差点名:なし(国道113号との交差点)
総延長:16.9km

起点は2か所あり、北側ルートは米沢市営体育館や北村公園のある一角からで、南側ルートはJR米沢駅の東口ロータリー前の交差点からだ。南側ルートは国道13号と重複したあと、新羽黒川橋の西側にある交差点で北側ルートと合流する。米沢高畠線から見て東側に位置するのが、奥羽山脈の一部である蔵王連峰(ざおうれんぽう)。雄大な景観は一見の価値がある。東置賜郡高畠町に入ると、国道399号と500mほど重複。そこから分かれた500m弱の区間はまほろば通りと名付けられた商店街だ。同商店街を抜け、屋代川を渡った先で国道113号と接続して米沢高畠線は終点となる。

【福島県】沼田檜枝岐線
尾瀬沼へ北側から向かえる県道

読み方:ぬまたひのえまたせん
起点所在地:
南会津郡檜枝岐村燧ケ岳(みなみあいづぐんひのえまたむらひうちがたけ)
起点交差点名:なし(行き止まり)
終点所在地:南会津郡檜枝岐村燧ケ岳
終点交差点名:なし(国道352号との交差点)
延長(福島県内):13.1km
総延長(群馬・福島):22.2km

観光地である尾瀬国立公園のうち、尾瀬沼に近い沼山峠休憩所までアクセスできる道路が沼田檜枝岐線だ。渋滞や違法駐車の防止、自然保護の観点から、来訪者の増える時期はマイカー規制が実施されるため、いつでも通れる道路ではない点が大きな特徴だ。なお沼田檜枝岐線は、群馬県にも存在する。どちらも尾瀬沼へ向かうための道路だが、つながっていない。それは、1970年代初頭に尾瀬保全のための観点から建設計画が中止となったからだ。建設計画では、沼田檜枝岐線は尾瀬沼の東を抜けて群馬県沼田市と福島県檜枝岐村をつなぐ県道だったことから、その名残として同じ路線番号・路線名の県道が両県にあるのである。

→ 次ページ:
続いて関東の6路線を紹介

関東地方の都県道1号5路線(欠番2路線)

【茨城県】宇都宮笠間線
東日本で2番目に短い県道1号

読み方:うつのみやかさません
起点所在地:
笠間市片庭(かさましかたにわ)
起点交差点名:なし(栃木県との県境)
終点所在地:笠間市笠間
終点交差点名:荒町角(あらまちかど)
延長(茨城県内):6.4km
総延長(栃木・茨城):44.0km

栃木県宇都宮市から茨城県笠間市までを結ぶ宇都宮笠間線の茨城県内区間。今回紹介した都道府県道1号の中では、千葉県の市川松戸線に次いで総延長の短い6.4kmとなっている。茨城県内では、石井交差点から石井神社前交差点までの300mほどが国道355号との重複区間となる。そのあと、笠間市の住宅街を抜けると田畑が広がるようになり、遠くには山々も見え、眺望のよさがポイント。栃木県との県境の辺りまで来ると道路の両脇を背の高い木々に囲まれ、山間部を切り開いた道路であることがうかがえる。

【栃木県】宇都宮笠間線
宇都宮を横断して茨城県笠間市へ

読み方:うつのみやかさません
起点所在地:
宇都宮市大通り
起点交差点名:大通り1丁目
終点所在地:芳賀郡茂木町(はがぐんもてぎまち)
終点交差点名:なし(茨城県との県境)
延長(栃木県内):37.6km
総延長(栃木・茨城):44.0km

栃木県と茨城県にまたがる宇都宮笠間線。栃木県内区間は、総延長44.0kmのうちの37.6kmを占める。JR宇都宮駅から西へ向かう「大通り」の大通り1丁目交差点を起点とし、宇都宮駅の南側で「水戸街道」(※10)となり、東へ向かいJR線をアンダーパス。さらに1kmほど進んだ平松町交差点から国道123号との重複区間がスタートし、20km弱先の芳賀郡益子町(はがぐんましこまち)にある七井駅西交差点(※11)まで続く。重複区間が終わる頃には周囲には田畑が広がり、さらに茨城県との県境に向かうにつれて徐々に山間部の道路へ。山間部を抜ける道路とはいってもつづら折りというほどではなく、走りやすい道路といえるだろう。

※10 栃木県内の水戸街道について:東京都墨田区から茨城県土浦市荒川沖までの区間につけられている国道6号の通称「水戸街道」とは異なる。
※11 七井駅は、SLを走らせていることで知られる真岡鐵道の駅のひとつ。

【群馬県】沼田檜枝岐線
通常はクルマで走ることのできない特別な県道

読み方:ぬまたひのえまたせん
起点所在地:
利根郡片品村戸倉(とねぐんかたしなむらとくら)
起点交差点名:なし(国道401号との接点)
終点所在地:利根郡片品村戸倉
終点交差点名:なし(行き止まり)
延長(群馬県内):9.1km(うち3.3kmはハイキングコース)
総延長(群馬・福島):22.2km

群馬県と福島県に存在する沼田檜枝岐線の群馬県内区間。福島県道1号でも触れたが、路線名は尾瀬沼の東側を抜けて福島県檜枝岐村までの開通が計画されていた県道の名残である。通常、群馬県側の沼田檜枝岐線はクルマで走ることはできないが、下肢障害などがある人のため、環境車に限っては走ることができ、尾瀬沼により近いところからハイキングコースに入れる。ちなみに徒歩でなら、沼田檜枝岐線の行き止まりまで行くことが可能だ。

【埼玉県】さいたま川口線
新旧2本で構成される県道1号

読み方:さいたまかわぐちせん
起点所在地
旧1号
:さいたま市浦和区
 第二産業道路:さいたま市見沼区
起点交差点名
 旧1号:上木崎四丁目(かみきざきよんちょうめ)
 第二産業道路:大和田
終点所在地:川口市大字道合(みちあい)
終点交差点名:道合西(みちあいにし)
総延長:16.9km

さいたま川口線は2本からなる。旧1号と、通称「第二産業道路」のさいたま市見沼区から川口市大字道合までの区間だ。旧1号と第二産業道路は絡み合うようなルートである点が特徴だ。まずさいたま市緑区三室(みむろ)で、第二産業道路を旧1号が西から東へ斜めに交差したあと(※12)、南に向かっていくと緑区の三室と中尾の境界にある不動谷交差点(ふどうたにこうさてん)で交差。そのあとしばらくは第二産業道路が東、旧1号が西に位置して並走するが、大谷口陸橋(おおやぐちりっきょう)で3回目の交差となる。ここは、JR武蔵野線をオーバーパスする陸橋同士の交差点という構造だ。そして最終的にさいたま市南区円正寺(えんしょうじ)で合流。旧1号の延長は6.5km、第二産業道路の1号の延長は10.4km。合計16.9kmだ。

※12 さいたま市緑区三室の交差点:ここでは旧1号は第二産業道路を横断していないため、厳密には交差点ではない。上り車線と下り車線それぞれに旧1号が接続している構造。

【千葉県】市川松戸線
短いながらも南北の移動をになった主要道路

読み方:いちかわまつどせん
起点所在地:
市川市市川
起点交差点名:市川広小路
終点所在地:松戸市小山(こやま)
終点交差点名:松戸二中前
総延長:4.6km

千葉県と東京都の間を流れる江戸川沿いに、市川と松戸を結んでいるのが市川松戸線だ。川下の市川が起点ではあるが、通称は川上側の松戸から取られて「松戸街道」と呼ばれている。今回紹介した1号の中では最も総延長が短く、4.6kmだ。2018年6月にC3外環道とその一般道部である国道298号の千葉区間が開通するまでは、千葉県西部の南北を結ぶ主要な一般道のひとつだった。現在も交通量は少なくないものの、その多くが国道298号に転換したため、以前に比べると渋滞も減り、走りやすくなった。ちなみに桜の名勝として知られる里見公園(さとみこうえん)は市川と松戸の中間にあり、松戸街道からアクセスできる。

【東京都】欠番
1994年3月末までは存在した都道1号

現在、東京都道1号は欠番である。東京都に確認したところ、都道1号は1994年3月31日まで存在していたという。しかし、複数の都道府県にまたがる主要地方道は同じ路線番号と路線名を使うというルールに従い、神奈川県道6号に合わせ、同年4月1日に現在の都道6号へと変更。それ以降、1号は欠番となっているということだ。

都道1号から6号へと変更された道路とは通称「産業道路」のことで、路線名は東京大師横浜線。国道131号産業道路と都道311号環八通りとの交差点である大田区・羽田地区の大鳥居交差点から南進し、すぐに多摩川を渡って神奈川県道6号となる。そして川崎を経て、横浜へ至る路線だ。

【神奈川県】欠番
国道1号との混同を避けるために欠番とした模様

続く神奈川県も県道1号が欠番となっている。その理由について神奈川県に話を聴いてみたが、欠番とすることが決定されたのは、新道路法が施行された1952年(昭和27)頃と思われる(※13)。とても古い話であるため、正確なところは不明ということだった。担当者から、「正式な書類での確認はできていないけれども」という前置きの上で、かなり以前に職場の先輩から「国道1号との混同を避けるため」という話を聴いたことがあることを教えてくれた。

国道1号は、かつての五街道のひとつである東海道をベースとしており、現在でも東京の日本橋から大阪市までをつなぐ、総延長約750kmの主要幹線道路である。実は東京から横浜にかけては、新道路法施行直前の1951年に、第二京浜国道が国道1号として新設された経緯がある(建設期間1936~1951年)。京浜国道(国道15号、第一京浜)の渋滞緩和対策として第二京浜が建設されたのだが、建設省(現・国土交通省)がこちらを新たに国道1号とした(※14)。神奈川県への電話取材で得られた欠番の理由も納得できる。このほか神奈川県では、国道15・16・20号と被ることから、県道15・16・20号も欠番としている。

※13 都道府県道の路線番号などの決定時期:1952年の新道路法の施行以降に、長い時間をかけて段階的に定められていったものが全国で多数を占める。ただし都道府県道の中には、旧道路法時代に定められてそれが引き継がれているものもある。
※14 国道の管轄:国の管轄であり、当時は建設省が担当。

→ 次ページ:
最後は甲信越の3路線を紹介

甲信越地方の県道1号

【新潟県】新潟小須戸三条線
信濃川沿いに南北に走る県道

読み方:にいがたこすどさんじょうせん
起点所在地:
新潟市中央区東大通(ひがしおおどおり)
起点交差点名:流作場五差路(りゅうさくばごさろ)
終点所在地:三条市上須頃(さんじょうしかみすごろ)
終点交差点名:上須頃(南)
総延長:43.2km

新潟市中央区から信濃川に沿う形で、上流に位置する三条市上須頃までをつなぐのが新潟小須戸三条線だ。小須戸(こすど)とは途中で通過する地名である。新潟市中央区内では国道116号との重複区間があり、新潟県庁に近い交差点の新光町(しんこうちょう)から2km強の区間は一度姿を消すが、国道8号新潟バイパスの手前で国道116号と分かれ、再び単独路線となる。市街を抜けて信濃川のすぐ脇を通る頃には、周囲は水田も増える。1号は大半の区間が信濃川の右岸(※15)にあるが、最後に瑞雲橋(ずいうんばし)で左岸に渡り、国道8号三条バイパスとの上須頃(南)交差点で終点だ。

※15 河川の左岸と右岸の区別:上流側に背を向けて下流を見たときの右手が右岸。

【山梨県】欠番
かつては存在したが1965年に廃止に

山梨県道1号は欠番だ。山梨県では「県道の路線認定」というサイトを公開しており、1955年(昭和30)から始まる県道の路線認定の時期をたどることができる。それによると、1965年(昭和40)9月に1号が廃止とある(理由は未記載)。そのあとに山梨県内の県道は路線番号と路線名の大幅な変更があったようで、現在の県道とは路線番号と路線名が大きく変わっているのだが、なぜか1号は廃止のままである。山梨県にも確認を取ってみたが、やはり非常に古い話のため、確認ができないということだった。

【長野県】飯田富山佐久間線
唯一3県にまたがる都道府県道1号

読み方:いいだとみやまさくません
起点所在地:
飯田市下久堅知久平(いいだししもひさかたちくだいら
起点交差点名:なし(国道256号との交差点)
終点所在地:下伊那郡天龍村神原(しもいなぐんてんりゅうむらかみはら)
終点交差点名:なし(愛知県との県境)
延長(長野県内):47.5km
総延長(長野・愛知・静岡):91.7km

今回紹介した都道府県道1号の中で、唯一3県にまたがるのが飯田富山佐久間線だ。長野県飯田市から愛知県北設楽郡豊根村(きたしたらぐんとよねむら)を経由し、静岡県浜松市天竜区へと至る。路線名の富山(とみやま)とは、2005年に豊根村と合併した愛知県の富山村を指す(現在のJR大嵐駅の近くに地域名として残っている)。佐久間とは浜松市北西部の天竜川沿いの町名・地域名だ。飯田富山佐久間線は、木曽山脈(中央アルプス)と赤石山脈(南アルプス)の間を流れる、日本屈指の急流として知られる天竜川に沿うようにして走る山岳道路だ。そのため、区間によっては右に左にカーブが連続し、勾配もある。延長は長野県内だけでも47.5kmあり、3県を合計すると91.7kmだ。


まずは東日本編として、14路線と欠番の3路線を紹介した。同じ県道1号の主要地方道でも、道路としての特徴は多岐にわたる。もし都道県道1号を走ることがあったら、今回の話を思い出してもらうことで、ドライブの楽しさが広がるかもしれない。

【道路法第7条の6つの条件】
1.市または人口5000人以上の町(以下、これらを「主要地」という)と、これらと密接な関係にある主要地、港湾法第2条第2項に規定する国際戦略港湾、国際拠点港湾、重要港湾、もしくは地方港湾、漁港漁場整備法第5条に規定する第2種漁港、第3種漁港もしくは飛行場(以下、これらを「主要港」という)、鉄道もしくは軌道の主要な停車場もしくは停留場(以下、これらを「主要停車場」という)または主要な観光地とを連絡する道路
2.主要港とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
3.主要停車場とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
4.ふたつ以上の市町村を経由する幹線で、これらの市町村とその沿線地方に密接な関係がある主要地、主要港または主要停車場とを連絡する道路
5.主要地、主要港、主要停車場または主要な観光地とこれらと密接な関係にある高速自動車国道、国道または前各号のいずれかに該当する都道府県道とを連絡する道路
6.前各号に掲げるもののほか、地方開発のため特に必要な道路

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