今年で25周年! 日本EVフェス2019レポート
「CO2ゼロ&アクセル全開!」を合い言葉に、今年で25回目を迎えたEVの祭典「日本EVフェスティバル」。自分たちで改造したコンバートEVによる耐久競技や、マイEVによる1分ピッタシ競争への挑戦、自動運転競技車によるタイムアタックなどが実施されたほか、ハンドメイドのオリジナルEVなどの展示も行われた。
日本EVフェスティバルは、モータージャーナリストの舘内瑞(たてうち・ただし)氏が代表を務める市民団体・日本EVクラブの主催によるサーキットイベントだ。毎年、筑波サーキットのコース1000で行われている。
今年もコンバートEVやEVカートによる耐久競技、メーカー製EVや自動運転車によるタイムアタック、最新のEVやプラグインハイブリッド車の試乗会などが行われ、盛り上がりを見せた。さらに、手作りのEVを展示する「何でもEV展示」や国内外の自動車メーカーによるプレゼン「環境EXPO」なども実施。まさにEVのお祭りである。
エンジン車を電動化したコンバートEVによる耐久競技
数ある競技の中でメインとなるのが、コンバートEVによる「1時間ディスタンスチャレンジ」だ。
コンバートEVとは、エンジン車を改造して製作したEVのことである。エンジン、燃料タンク、マフラーなどを外し、替わりにモーターやバッテリーなどが搭載されているのだ。自分の好きなクルマをEVにして乗りたいという人は世界中にいて、特に米国では1990年代に大流行した。
今年の1時間ディスタンスチャレンジは、7台が出走。ニューマシンは、マツダのロータリー車「RX-8」をベースに、読売自動車大学校の学生が製作した「YCCM RX-8 2号機」。同校は毎年参加しており、もう1台は以前から参加しているダイハツの軽自動車「ミラジーノ」ベースの「Yccm Mira」。
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そのほかの競技などを紹介!
「メーカー製EVオーナーズ・タイムアタック」は1分の”見える化”が勝負に!?
メーカーの市販EV(現行車種以外もOK)のオーナーが参加できる「メーカー製EVオーナーズ・タイムアタック」。サーキットを1周して、基準タイムの1分にどれだけ近いかで順位が決まる競技だ(ただし、速すぎてタイムが1分に満たないと失格)。通常のタイムアタックと異なって速さ勝負ではないことから、商用のワンボックスや軽貨物車などが参加していることも同競技の魅力だ。
1分ジャストに可能な限り近づけるための工夫として、今年は車内にタブレットなどをセットするのが流行。ストップウォッチ(またはタイマー)アプリなどを利用し、時間経過の見える化によって極力1分に近いタイムを目指していた。
「自動運転競技車タイムアタック」は3台が参加して全車完走
「自動運転競技車タイムアタック」は今年で開催が3回目となる、日本EVフェスティバルの中で最も新しい競技だ。レギュレーションは「人が乗れるもの」のみで、今年は3台のうち2台が電動カート「ERK」ベースで、もう1台はシニアカート(ホンダ「モンパル」)ベースだった。
初参加となったdSPACE Japanの82号車「Micro Auto Box号」(シニアカートタイプ)とDENSO-ERKの83号車「DENSO-自動運転ERK」もそれぞれ完走したが、優勝は3年連続で参加しているプロジェクトMの81号車「MM1号 2019」。タイムは3分40秒24だった。
「何でもEV展示」、鹿沼高校物理部の生徒による手製EVが登場
EVの可能性にチャレンジする人たちを応援するコンセプトの「何でもEV展示」。同展示で名物となっているのが、今年で8年連続の出場となる栃木県立鹿沼高校物理部の生徒の展示だ。今年は、手作りの折りたたみ式EVカート「KPCEV-08」を出展した。昨年の「KPCEV-07」を改造した、折り畳みが可能な自動ブレーキ機能付きのEVカートである。
昨年の「KPCEV-07」は立ち乗り型のパーソナルモビリティだったが、「KPCEV-08」はカートなので座って乗れる。そして超音波センサーを使って、3mほどの距離に障害物を検知すると自動で停車する(もしくは発進しない)という仕組みを備えている。その動作の様子は以下の動画の通り。
日本EVフェスティバルの第1回が開催された1995年当時、まだメーカーが量産する市販EVは存在しなかった。ちなみに、世界初の市販量産EVともいわれる三菱の「i-MiEV」は2009年の発売だ。そして初開催から四半世紀が経った現在、EV化は大きな波となり自動車業界を席巻しようとしている。
そして将来は、単にEVが普及するという話には留まらず、CASE(Connected:コネクティッド、Autonomous:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)として、クルマそのものが大きく変革を遂げていく時代となっていきそうだ。次の25年で、EVが、そしてクルマそのものがどのように進展していくのか。日本EVフェスティバルも、新たな四半世紀に目を向ける、節目となるイベントだった。