乳幼児の車内放置防止にも有効! ゼットエフの乗員・車内検知用「3D車内観測システム」
ゼットエフが開発中の「3D車内観測システム」のイメージ。画像提供:ゼットエフジャパン
EVも含めた駆動系や、アクティブ/パッシブ・セーフティ技術に秀でたグローバル・サプライヤーのゼットエフ。10月24日、乗員および車内検知のための「3D車内観測システム」を開発中であることを発表した。
3D車内観測システムはドライバーモニタリング機能も1つとしつつ、さらに広範な、乗員および車内のセンシングを行え、またほかのセンサーからの情報を補完するシステムだという。
3Dカメラにより乗員の体格・姿勢・位置をリアルタイムで検出
現在、乗員検知は一般的にシートに備えられたセンサーが担っている。ただし、乗員なのか荷物なのかを確実に識別するにはシート座面やバックレスト前面に多数のセンサーを配置する必要がある。仮にそれだけ多くのセンサーを配置したとしても、乗員の体格や姿勢、位置などを詳細にセンシングすることは難しい。
一方で「3D車内観測システム」は3Dカメラを用いて認識を行うことから、乗員の体格や姿勢、位置を確認するのが容易だ。それもリアルタイムで検出でき、シートセンサーを補完することで、乗員の状態に関してより正確な情報をシステムが得られるというわけだ。
さらに、乗員がシートベルトを適切に着用しているかどうかも確認しやすい。シートベルトをどう着用しているかが確認できれば、交通事故が発生した際、プリテンショナー機能などでシートベルトを締めつけたり緩めたりといった対応もよりしやすくなるというわけだ(シートベルト非着用の危険性については別記事「危険なシートベルト非着用! 2013~17年の自動車乗用中の死亡事故から、非着用時の危険を考えた。」をご覧いただきたい)。
乳児や幼児の車内置き去りによる事故も防止しやすくなる!
そして、重要なのが乗員検出能力の高さ。それもチャイルドシートを利用する乳児や幼児であっても、荷物なのか子どもなのか、既存のシートセンサーと比較して遥かに識別しやすいことが大きな特徴である。
きちんと子どもであることを確認できれば、夏期の子どもの車内放置による死亡事故も防止しやすくなる。車内温度が高い状態でドアの開けられないような年齢の子どもが車内に残っていたら、ウインドーを開けて車内温度を下げたり、クラクションを鳴らしたりハザードランプを点灯させたりして付近の人々に知らせるなど、緊急対応機能を作動させるような機構と連動させれば、最悪の事態を防ぎやすくなるというわけだ。
自動運転が一般化してきたときにも有効となる
3D車内観測システムなら、将来の自動運転車でも乗員の姿勢を確認しやいことから有効だという。乗員がどのような姿勢でどのようなことをしつつ乗車しているのかを確認できれば、緊急時にシステムがそれに合わせた対応を取りやすくなるからである。
例えば、同じ自動運転走行中であっても、乗員が前を向いてクルマの流れなどに注意を払っているのと、スマートフォンなどの操作に夢中になっているのとでは、取るべき対応が異なってくる。シートやシートベルトバックルなどのセンサーだけではその違いを検知するのは難しいが、3D車内観測システムならより適切な対応をしやすくなるというわけである。
3D車内観測システムは2021年末までの生産開始を予定している。ゼットエフジャパン広報によれば、搭載を検討している自動車メーカーに関しては未公表ということだった。