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最終更新日:2018.05.23 公開日:2018.05.23

外環・千葉県区間全通レポート:6/2(土)、ついに三郷南IC~高谷JCTが開通

すでに開通している埼玉県内の三郷南ICを南に下り、江戸川を渡る葛飾大橋の手前で撮影。三郷南IC方面に向いて撮影した。外環・千葉区間というと、埼玉県三郷市からからすぐに千葉県松戸市に入るようなイメージがあるが、実はわずかな距離だが東京都葛飾区を通過する。撮影した現場は、その葛飾区に入った辺り。

 C3東京外かく環状道路(外環)自動車道はNEXCO東日本が管轄する高速道で、首都圏道路網の動脈のひとつとして活躍中だ。

 外環はまだ全線が開通しておらず、現在、東西で工事や用地取得などが進められている。その内、東側の千葉区間約15.5kmが2018年6月2日(土)16時にいよいよ開通する。同時に共に整備された国道298号の千葉区間約12.1kmも開通する(すでに一部が開通済み)。

 千葉区間とは、すでに開通している埼玉県・三郷南ICから南へ向かい、首都高・B湾岸線とE51東関東自動車道(東関道)に接続する高谷(こうや)JCTまでを指す。国道298号は松戸IC北交差点から、湾岸線と東関道に沿って走る国道357号までがつながる(一部は開通済み)。これにより、東側区間はほぼ完成となる(今後、京葉道路と連絡する京葉JCTでふたつのランプが建設される計画)。

 千葉区間は片側2車線ずつの4車線道路(道路規格:第1種第3級)で、設計速度は時速80km。1日の交通量は3万2500台から4万6100台が見込まれている。事業費は約9100億円だ。

 6月2日の開通に先立ち、プレス向けに現場公開が5月15日に行われた。レポート第1弾は、外環およびその千葉区間とはどのような高速道なのかを中心にお伝えしよう。

今回開通する区間。埼玉県三郷市内の三郷南ICから湾岸線および東関道と接続する高谷JCTまでが開通となる。そして一般道の国道298号の外環・千葉区間に沿って整備された区間は一部がすでに開通しているが、その大部分も同じく6月2日に開通となる。

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まずは外環とは、千葉区間とは?

外環とはどんな高速道? そして千葉区間開通のメリットは?

 首都圏の幹線道路網の骨格として、3環状9放射の高速道路ネットワークが計画されたのは約50年前。放射状の高速道の完成は比較的早かったが、環状線は時間がかかり、現在は23区内のC1都心環状線とC2中央環状線は全線開通済みだが、その外側の外環は今もって全線開通時期は未定だ。なお外環の外側には、4番目の環状道路であるC4圏央道がある。

 外環が全線開通すれば、これまで都心部を通り抜けていただけだったクルマが減ることが予想されており、渋滞解消のためには非常に重要だ。今回の千葉区間の完成で、外環で残るのは西側の大泉JCTから湾岸線までの区間となる。その内、大泉JCTから中央を挟んで東名までの区間は用地取得と工事が進められている。

 外環はすでに開通している北側の区間では、E17関越道からE4東北道、E6常磐道、そして首都高(5号池袋線、S1川口線、6号向島線)と接続しており、すでに首都圏道路網の動脈のひとつとして重責を果たしている。今回の千葉区間が開通することで、これらすでに接続している各高速道と、E14京葉道路、湾岸線、東関道が直接つながる形となる。

外環の全体図。今回開通するのは、東側(画像右側)の赤い区間。首都高の慢性渋滞の大きな要因のひとつである、都心を通過するだけのクルマをさらに減らすためには、西側の大泉JCTから中央と東名の両高速へと接続する区間を完成させる必要がある。ここは用地買収が進められ(2018年2月現在、約9割の用地買収済み)、工事も一部で始まっているが、現状では完成時期は未定だ。また、東名から湾岸方面へのルートはまだ計画レベルで、用地買収なども進んでいない。

高谷JCTから常磐・東北・関越へはどのぐらい早くなる?

 それでは、高谷JCTから常磐道、東北道、関越道まで、それぞれどの程度時間がかかるのか、また従来の首都高を利用する場合と比べてどれだけ短縮できるのかを見てみよう。

高谷JCT
 →常磐道(三郷JCT):開通前43分→開通後17分(26分短縮)
 →東北道(川口JCT):開通前54分→開通後28分(26分短縮)
 →関越道(大泉JCT):開通前60分→開通後42分(18分短縮)

ピンクのラインは、高谷JCTを起点に、三郷JCT、川口JCT、大泉JCTまでの開通前のルート。今回の開通により、東北や常磐、関越と、東京・千葉の湾岸地区を走る湾岸線・東関道が直接つながることになり、従来のように首都高の環状線を使う必要がなくなった。移動時間を大きく短縮できるのと同時に、ただ通過するだけのクルマを減らせるというわけだ。首都高など都心を通行するクルマの約6割がただ通り抜けるだけで、それが慢性的な渋滞の原因とされ、都心を通らないルートがやっと整ってきた。

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外環・千葉区間の構造的な特徴は?

千葉区間は半地下式を採用!

 外環・千葉区間は50年前の当初の計画では一般的な高架構造だったが、1996年の都市計画の変更に伴い、その多くの部分を半地下式とすることとなり、沿線住宅への日照や騒音の問題を解消した。半地下式は日光が入る構造になっており、完全な地下式やトンネルのような暗く・圧迫感のある構造になっていない点がメリット。

日光が入るので明るい。幕(布地)やガラス越しにして直接差し込まないようにしてある理由は、明暗差を少なくすることでドライバーの目の疲れを抑えるため。眩光防止対策ということで、目がチカチカしないよう、和らげた光を通すようにしている。上を一般道が交差する場合は開口部を設けられないため、画像の奥のようにトンネル区間として暗くなる。

 この半地下式の外環・千葉区間の上を国道298号が通るようになっており、またその両脇は環境施設帯として防音壁や植樹帯、副道(生活道)、自転車道、歩道となっている。そして国道298号の上下線の間にあるのが、地下の外環に光を取り込むための開口部だ。

開口部を上方から。松戸ICのすぐ近くにある矢切っ子歩道橋から撮影した。膜性遮光板が続いていく。開口部が設けてある狙いは、日光が差し込むことで明るくできることのほかに、万が一の事故で火災が発生するような事態に至った場合に煙を逃がせるのもある。

開口部を中から見上げたところ。東京ドームの屋根と同じ、光触媒によって汚れを自動的に分解する機能性布地が使われている。雨が直接吹き込むことはほとんどないということだが、雨水が伝って流れてくるので、雨樋が多数設けられており、外環の路面が水浸しになるような事態にならないよう考慮されている。

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外環と合わせて一般道も整備!

外環の上を走る一般道も同時に整備されて利便性がアップ!

今回開通する千葉区間のICとしては最も北に位置する松戸IC。ハーフICで、南側へ向かう側の入口か、北側へ向かう側の出口のみ。その右側が、国道298号。横断歩道が少ないため、歩道橋がところどころ設けられている。歩道橋はお年寄りや足の不自由な人でも利用しやすいようエレベーターが設けられている。

 松戸~市川~湾岸地区という、千葉県西部の南北の道路交通は、県道1号市川松戸線や県道180号松戸原木線などが細いため、渋滞が多い。しかも、松戸市道(市道8-143号)や市川市道(市道0122号)といった生活道路へ迂回してしまうクルマも多く、地域住民にとって問題となっていた。こうした状況もあってか、市川・松戸の両市内の事故率は、千葉県内の平均よりも約3倍も高いという。

 しかし、今回の外環・千葉区間の開通に合わせて、国道298号も全線が開通することになる(国道298号線は外環と並走しており、大泉JCT~三郷南ICはすでに開通している)。松戸~市川~湾岸地区を通る一般道としては初めての4車線道路であり、外環・千葉区間と合わせて生活道へ迂回していたクルマが大きく減ることが予想されている。

千葉県松戸市~同市川市の一般道概略図。国道298号は赤い区間が今回開通する区間。青い部分は既存区間、および先行して開通した区間。松戸~市川間を移動するには、これまでは県道1号や県道180号などが利用されていた。しかし、狭くて慢性的に渋滞が起きるため、生活路に迂回するクルマも多く、事故の増加にもつながっていた。それらの多くが国道298号に転換すると予想されている。国道298号は外環(高速道)の上を通るので、そのまま湾岸地区(国道357号線)まで行くことも可能だ。

 なお、景観に関しては三郷南ICの南側・東京葛飾区内の橋梁部分から千葉県市川市の市街中心部に近い市川中央ICまでは前編、京葉道路と連絡する京葉JCTから湾岸線および東関道と連絡する高谷JCTまでは後編で紹介中だ。また各JCTなどを空撮した記事はこちらで、外環・千葉区間に導入された新技術についてはこちら

 そして、開通して1週間、その効果についての報告はこちらから!

2018年5月23日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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