クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

クルマ最終更新日:2018.07.02 公開日:2018.07.02

外環・千葉区間の開通で交通はどう変わった!?

np180627-01-00.jpg

 2018年6月2日に開通した、東京外かく環状道路・千葉区間(埼玉県三郷市・三郷南IC~千葉県市川市・高谷JCT)。国土交通省とNEXCO東日本、首都高の3者が共同で開通1週間後の利用状況についての速報を発表したので、開通によってどれだけ便利になったのか、どれだけ松戸市および市川市内の交通状況に変化があったのかを見てみる。

 これまで外環・千葉区間に関しては、概要編、景観編(前編後編)、導入された技術の解説編、そしてJCTなどを空撮した航空写真編も公開してきたので、併せてご覧いただきたい。 

外環・千葉区間(高速)の利用とその効果

 外環といえば一般的には高速道がイメージされるが、厳密には高速道に加え、同時に開通した国道298号の両方を合わせて「東京外かく環状道路」という。国道298号開通による松戸市~市川市の交通量の変化に関しては後ほど述べるとして、まずは高速道による効果についてだ。

 高速道の交通量は、事前に1日に3万2500~4万6100台と予測されていた。開通後の実測では、市川中央ICから京葉JCT間(1)が予測上限に近い4万4500台。市川南IC~高谷JCT間(2)は大きく減って1万9300台だ。

 これは、埼玉方面から外環を通ってきて千葉へ向かう場合、高谷JCTでE51東関道に乗り換えるよりも、京葉JCTでE14京葉道路に乗り換える方が合理的だからだ(京葉道路と東関道は千葉市の宮野木JCTで合流するため、その先へ向かう場合は高谷JCTから東関道を利用するメリットはあまりない)。その逆の、千葉から外環で埼玉方面へ向かいたい場合も同様である。

 外環で高谷JCTまで行くケースは、その多くが首都高のB湾岸線に乗り換え、江東区有明方面、さらには横浜方面へ向かうクルマではないかと考えられる。

np180627-01-01c.png

外環・千葉区間(三郷南IC~高谷JCT)の概略マップ。この区間のICはすべてハーフインターで、松戸と市川中央は外回りに入口で、内回りに出口。市川北と市川南はその逆で、外回りに出口で、内回りに入口。青文字の(1)の市川中央IC~京葉JCT間の1日の交通量が、4万4500台。(2)の区間の市川南ICから高谷JCTは1万9300台で、半分以下と一気に交通量が減っている。

→ 次ページ:
どれだけ早く移動できるようになった?

短縮できた所要時間

 次に、移動に要する時間を開通前と比較してどれだけ短縮できたのかを見てみる。湾岸線と東関道と接続する高谷JCTを起点として、常磐道と接続する三郷JCT、東北道と接続する川口JCT、関越道と接続する大泉JCTまでだ。3か所とも事前予測よりも2分短縮した。

三郷JCT(19km):15分(28分短縮)
川口JCT(31km):28分(28分短縮)
大泉JCT(40km):40分(20分短縮)

np180627-01-03c.png

首都高と外環、そして放射状に広がる各高速道のネットワーク概略図。今回の外環・千葉区間と直接関連しない高速道のナンバーは省略している。外環は赤線の区間が今回開通した区間で、紫は既存の区間。点線部分は現在工事中の区間で、○の区間は計画中の区間。そしてピンクの矢印付きラインが高谷JCTを起点に、三郷JCT、川口JCT、大泉JCTまでの従来の一般的なルート。今回の開通で、高谷JCTから大泉JCTまでは従来ルートよりも20分、三郷JCTおよび川口JCTまでは30分近く短縮できるようになった。

外環・千葉区間の開通でC2中央環状線にどんな影響が?

 続いて、外環・千葉区間の開通がほかの高速道路の交通にどのように影響を与えたかを見てみる。中でもすぐ内側の環状高速である首都高のC2中央環状線は、交通量が減るものと予想されていた。外環・千葉区間が開通する以前は、千葉方面から常磐道や東北道に向かう場合、中央環状線を利用する必要があったからだ。

 そして、実際に今回の開通が中央環状線に大きな影響を及ぼしたことが判明した。中央環状線の東から北にかけての区間は、交通量が平均して1割強が減ったことが判明したのである。中央環状線の区間別に見た、1日の交通量の変化は以下の通りだ。

(3)葛西JCT~清新町出入口:
 7万1700台→5万9200台(17.4%減)
(4)堀切JCT~小菅JCT:
 14万5100台→13万2200台(8.9%減)
(5)扇大橋出入口~江北JCT:
 8万9600台→7万9900台(10.8%減)
(6)新板橋出口・滝野川入口~王子南出入口:
 7万3500台→7万600台(3.9%減)

np180627-01-02g.png

(3)~(6)まで記された黄色の矢印が、C2中央環状線の交通量が計測されたポイントで、4か所ともすべて交通量が減少した。開通前の交通量の計測は、2018年5月26日から6月1日まで実施された。開通後の計測は、6月3日から6月9日まで。

→ 次ページ:
都内を通る交通量に変化はあったのか!?

都内を通過する交通が外環に転換したことが判明!

 次は、外環と接続する首都高の中で、外環と接続するB湾岸線、6号向島線、S1川口線および、外環・既存区間の交通量を見てみる。

 まずは、首都高3路線における、(9)~(11)の3か所の交通量。この3点とも交通量が減っていることが判明した。

 その一方で、外環・既存区間の(12)~(14)の3か所は交通量が増えていた。千葉方面と川口JCTや大泉JCTの行き来において、従来のC2中央環状線を利用するルートから、外環を利用するルートに一部が切り替わり、都心を通る交通量が減ったことが確認されたのである。

 首都高の3か所の開通前と開通後の1日の交通量は以下の通りだ。

(9)B湾岸線・高谷JCT~千鳥町出入口:
 8万7300台→8万3800台(4.0%減)
(10)6号向島線・八潮南出入口~三郷JCT:
 8万800台→7万7700台(3.8%減)
(11)S1川口線・新井宿出入口~川口JCT:
 6万9200台→6万3000台(9.0%減)

 外環・既存区間の3か所の開通前と開通後の1日の交通量は以下の通りだ。

(12)川口東IC~草加IC:
 7万2500台→9万700台(25.1%増)
(13)外環浦和IC~川口西IC:
 7万9500台→8万7900台(10.6%増)
(14)和光IC~和光北IC:
 7万7600台→8万800台(4.1%増)

np180627-01-04b.png

(9)~(11)の交通量の計測から外環とつながる首都高の交通量が減少したことが判明。その一方で(12)~(14)が増えたことで、外環の交通量が増加したことも確認された。ちなみに、今回は首都高5号池袋線やC2中央環状線の西側の交通量は発表されていない。開通前の交通量の計測は、2018年5月26日から6月1日まで実施された。開通後の計測は、6月3日から6月9日まで。

→ 次ページ:
同時に整備された国道298号も大活躍!

国道298号により松戸~市川間の交通状況が改善!

 外環の高速道と同時に整備された国道298号。松戸市から市川市中心部を走る国道14号にかけて南北に走る一般道は、これまで県道1号、県道180号、そして県道180号と途中で交差する県道51号などがあった。

 これらの一般道は大型車の通行も多く、慢性的な渋滞が各所で発生しており、それを避けるために生活道路が通り抜けのために利用されていた。そのため、千葉県内市道の平均的な事故率(対象となる道路の事故件数を道路の距離で割ったもの)に対し、松戸市内および市川市内の市道の平均は約3倍の高さとなっており、中でも最も危険な抜け道に関しては約26倍という高さを記録していた。

 そして、国道298号の開通前と開通後で、松戸市内と市川市内において路線別および車種別の1日の交通量、そして平均速度が計測された。その結果、大きく変化があったことが確かめられたのである。

np180627-01-05.png

国道298号と並行道路の概略図。国道298号の赤い部分が6月2日に開通した区間で、紺色の区間は既存開通区間(千葉区間のうち、一部区間は片側車線だけ先行して開通していた)。今回、交通量が計測された国道298号の並行道路は県道1号、県道51号、県道180号の3路線(国道14号から国道357号方面への既存並行道路に関しては概略図中に掲載していない)。今回の交通量計測は、開通前は2017年6月29日に、開通後は2018年6月5日に実施された。また平均速度の計測には、ETC2.0のプローブデータ(速報値)が利用され、開通前は2018年5月26日から6月1日まで、開通後は2018年6月3日から同月9日まで、日中の7~19時の12時間の平均値だ。

【松戸市内】
●路線別
県道1号(松戸IC北交差点):2万400台→1万3500台(33.8%減)
県道180号(大橋交差点):1万9600台→1万5600台(20.4%減)
国道298号(松戸IC北交差点・開通後):2万3400台
●車種別
並行道路合計
 ・普通:2万9800台→2万4100台(19.1%減)
 ・大型:1万200台→5000台(51.0%減)
国道298号(開通後)
 ・普通:1万6900台
 ・大型:6500台

【市川市内】
●路線別
県道1号(市川広小路交差点):2万6900台→1万8300台(32.0%減)
県道51号(東菅野1丁目(仮)交差点):1万200台→9100台(10.8%減)
県道180号(北方十字路交差点):2万400台→1万8900台(7.4%減)
国道298号(市川総合病院入口交差点・開通後):2万5000台
●車種別
並行道路合計
 ・普通:4万4400台→3万8400台(13.5%減)
 ・大型:1万3100台→7900台(39.7%減)
国道298号(開通後)
 ・普通:1万8800台
 ・大型:6200台

【平均速度】
●県道1号:時速約20km→時速約27km(35%上昇)
●県道180号:時速約23km→時速約28km(21.7%上昇)

この記事をシェア

  

応募する

応募はこちら!(6月2日まで)
応募はこちら!(6月2日まで)