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最終更新日:2018.05.19 公開日:2018.05.19

時速1000キロで荷物を輸送する「ハイパーループ」がドバイで発表。輸送の未来を変えるか?

(c) Hyperloop One

 アラブ首長国連邦のドバイで、チューブの中を超高速で貨物を輸送する『PCワールド・カーゴスピード』のコンセプトが4月29に発表された。SFの中の真空チューブの中を移動する高速列車にアイデアを得たこの輸送システムが実現すれば、世の中社会に革新的な変化を起こすかもしれないとも言われている。

 PCワールド・カーゴスピードは、米企業バージン・ハイパーループ・ワンが2013年から開発してきた『ハイパーループ』といわれる超高速輸送システムに、アラブ首長国連邦の運送会社DPワールドが出資・共同開発する形で実現化が進められている。

空気抵抗を極力抑えた低圧環境チューブ。この中を貨物列車が移動する。(c) Hyperloop One

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新幹線の3倍のスピード

新幹線の3倍の速度を実現

 仕組みは、完全な真空ではなく低圧環境のチューブ内を、リニアモーターで稼動する貨物車両が、磁気浮上し超高速で移動するというもの。従来の高速列車と違う点として、

・オンデマンドによる直行輸送をする:列車には時刻表がなく、準備でき次第出発し、途中で停車することなく貨物を直接目的地まで運ぶ(1分間に数回の出発が可)。
・チューブ内を移動するため、天候の影響を受けることがない。
・約1000km/hでの走行を実現:現存する高速列車よりも3倍早く移動する(新幹線の最高速度は320km/h)。
・環境にやさしく、静かで、省エネ:車輪がなく超低空気抵抗のチューブ内を浮動滑走するため騒音が少なく、エネルギー効率が良い。風力と太陽光熱など再生可能なエネルギー源を利用した場合、CO2排出ゼロの輸送手段になる。

などの利点をバージン・ハイパーループ・ワン社は挙げている。

チューブの上に太陽光発電パネルを張り巡らせることで、再生可能エネルギーを使用するモデル。(c) Hyperloop One

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飛行機の代わりになる?

アブダビ~ドバイ間がたったの12分

 計画されているドバイ~アブダビ間は、現在クルマでおおよそ1時間を要するが、12分に短縮できる。
 世界の輸送の内訳は、35%が空輸であるという。PCワールド・カーゴスピードは高速な上に飛行機の1/5のコストで輸送できるため、飛行機に取って代わる手段として、食品、医療品、電子機器など優先度の高い商品の輸送に活用される。またオンデマンドで輸送できるため、今まで必要としていた倉庫など保管スペースが25%削減可能だという。

 ハイパーループは、貨物の輸送だけでなく、旅客用列車の開発も行っており、ドバイの他にインドやアメリカでも実用化に向けた研究が進められている。

PCワールド・カーゴスピードの紹介動画。(c) Hyperloop One

2018年5月19日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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