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最終更新日:2018.05.13 公開日:2018.05.13

【東京】2018/4/14~7/8 光と色彩が踊る風景画で旅する「プーシキン美術館展」

クロード・モネ《草上の昼食》1866年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

 珠玉のフランス絵画コレクションで知られるプーシキン美術館。あまたの所蔵作品の中から、17~20世紀の風景画65点を公開した「プーシキン美術観展ー旅するフランス風景画」が、東京都美術館にて7月8日まで開催されている。

絵画とともに旅する展覧会

 ロシアの首都モスクワに位置するプーシキン美術館は、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館とならぶ、世界的な西洋絵画コレクションを誇る国立美術館である。古代エジプトから現代美術まで、70万点を超す作品を収蔵し、なかでもプーシキン美術館の名を知らしめているのは、屈指の名品をそろえたフランス近代絵画のコレクションであるといえよう。

 副題に「旅するフランス風景画」とあるように、今回の展覧会ではプーシキン美術館が所蔵する風景画にスポットが当てられている。自然を描いた風景画だけでなく、神話の物語や古代への憧憬、大都市パリの喧騒、想像の世界などフランス近代風景画の流れを紹介する構成となっている。光と色彩が踊る美しい風景を絵画で巡る、そんな麗しい展覧会である。

にぎわいの近代都市パリ

 19世紀半ばから首都パリは、人口急増にともない都市改造が進められた。そんなパリの景観や都市生活を満喫する人々を、印象派をはじめとする画家たちは描き出している。
 ラファエリの《サン=ミシェル大通り》は、サン=ミシェル通りからスフロ通りを臨む景色を描いたもので、中央にはフランスに貢献した偉人の墓所となっているパンテオンの姿が見える。高層の集合住宅(アパルトマン)、街頭、馬車、噴水といった景観の他に、ちょうちん袖にコルセットでウエストをきつく締めた女性の服装など、この時代の様子を生き生きと伝えている。

ジャン=フランソワ・ラファエリ 《サン=ミシェル大通り》 1890年代 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

 市民の憩いの場だったモンマルトルの丘には家賃が安いアパルトマンが多く存在し、若い画家たちが好んで暮らした地区だった。ルノワールはここにアトリエを借り、近所にあった大衆的ダンスホール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」を描いた。
 下の絵画《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》では、ダンスホールの木陰で男女5人が楽しげに語らっている。背景の木々に取り込まれるように、談笑する人々の親密さ、青いストライプのドレスを着た女性の伸びやか様子など、フランス語の会話までも聞こえてきそうな幸せそうな情景描写がみごとだ。
 作品の裏の書き込みによると、後姿のストライプの女性はルノワールのお気に入りのモデルだったニニ、その後ろで顔をのぞかせるのは画家モネだという。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》 1876年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

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日本初公開!モネの名作《草上の昼食》

 中産階級が台頭する19世紀後半、人々は郊外に出かけ余暇を過ごすようになる。それには鉄道網の発達も一役買っていた。印象派の画家は、気軽にパリに戻ってこられる郊外を好み、滞在したり移り住んだりした。ときに訪問し合い、一緒に制作に取り組みながら刺激を受け、移ろう光や色彩を研究していった。

パリ近郊〜身近な自然へのまなざし〜

 今回初来日した縦1.8m x 横1.8mの大作《草上の昼食》は、26歳のモネがルノワールら若い仲間と一緒に画家を目指していた時期に手がけたもので、印象派として花開く前のみずみずしい画風が印象的だ。
 場所はパリの南東60kmほどにある、フォンテーヌブローの森。木漏れ日を映した緑のもと、男女がピクニックに興じるなごやかな情景が描かれている。フォンテーヌブローの森は、鉄道の整備によりパリから乗り換えなしに1時間余りで行くことがでできた人気の場所。流行の衣服に身を包んだ若者や芸術家がこぞって訪れた。ピクニックとはいえ、着飾った人々、広げられたご馳走、飲み物、ペットなど、当時の最新流行の余暇の過ごし方をこの絵は伝える。

クロード・モネ 《草上の昼食》 1866年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

 しかし、この絵は謎めいた要素もはらんでいる。不自然なほどさまざまなポーズをとった人々、画面の右に描かれた木陰で宴をうかがう男の存在、木に彫られたPのイニシャルと射られたハートなどが何を意図するかはモネのみぞ知る。

海を渡り、現実を超えて

 万国博覧会で展示される異国の文化やメディアによる各地の情報は、画家をさらなる旅に導いた。熱帯への想いを募らせたポール・ゴーギャンはタヒチ島へと赴いた。一方、フランスから出たことがなかったアンリ・ルソーは、パリの植物園や動物園に足しげく通い、《馬を襲うジャガー》など夢想のジャングルをカンヴァスに描いた。

 平面のようでもあり、深い奥行きを持つようでもある不思議な層をなすジャングルに、ジャガーに首をつかまれた白馬がなんともいえない表情を浮かべてこちらを見ている。悲惨な場面なのに静寂に支配されたシュールな夢の中の世界。想像の旅へと見るものをルソーは誘いだすようだ。

アンリ・ルソー 《馬を襲うジャガー》 1910年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

 モネ、セザンヌ、ルソー、ルノワール、ゴーギャンらの巨匠の目を通して追体験する光と色彩に溢れた風景、自然の美しさ、パリや異国の地、そして夢想世界。時空を超えたどの風景があなたの心を捉えるだろうか。

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招待券プレゼントのお知らせ

プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画

【会期】
2018年4月14日(土)~7月8日(日)
【開室時間】
9:30~17:30 ※金曜は20:00まで ※入場は閉室の30分前まで
【休室日】
月曜日
【会場】
東京都美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園8-36)
【入館料】
一般1600円 他 ※詳細は以下、展覧会公式サイトでご確認ください
【アクセス】
JR「上野駅」公園口より徒歩7分 他
【展覧会公式サイト】
http://pushkin2018.jp/

「プーシキン美術観展」招待券プレゼント応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年5月29日に発送しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

2018年7月13日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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