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クルマ2016.10.10

【CEATEC2016特集】ホンダ、3Dプリントで「MC-β」をカスタマイズ

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ホンダの「MC-β」をベースにした、マイクロコミューター「豊島屋モデル」。

 10月4日から7日まで、幕張メッセで開催された日本最大級の総合家電展示会「CEATEC2016」。

 ホンダはそこで、超小型モビリティ(マイクロEV)「MC-β」を用いたオープンイノベーションモデルと、業務用テレマティックサービス「Honda Biz LINC」の展示を行った。

 中でも、目を引いたのが、MC-βを活用したオープンイノベーションモデルとして、多様なユーザーニーズに対応すべく、他社が3Dプリンターを活用して作成した外装を架装した超小型モビリティ(マイクロEV)の「MC-β」の実機を展示したことだろう。

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バイクを製造しているホンダならではの技術も活かされているマイクロEV「MC-β」。

外装をカスタマイズしやすいマイクロEV

 MC-βには、「バリアブル デザイン プラットフォーム」という発想が採り入れられている。スペースの限られた超小型モビリティだからこそ、パワートレインやバッテリー、シャシー、コックピット周りなどの共通のプラットフォームの上に、オリジナルの外装パーツなど組み合わせることで、ユーザーニーズに合わせた使い方を提供できるという考え方だ。

 この考え方を実現できるのも、EVが従来のクルマなどと比べてレイアウトの自由度が高いからこそである。

 また、搭乗者を守るキャビンが、ホンダらしい構造となっているのも特徴。従来のクルマに採用されているモノコック構造ではなく、同社がバイク部門で培ってきたノウハウが活かされており、パイプフレームを採用しているのだ。それにより、小さなボディでも安全性能が確保されているという。

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3Dプリンターでの製造が採用された理由とは!?

3Dプリンターでコストの削減と多品種少生産が可能に

 そして3Dプリント技術を採用した理由だが、ローコストおよびハイスピードで自由なデザインを提供できる点である。またオープンイノベーションとして、他社が参加しやすくするという狙いもある。

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フロント部分のパーツ。もちろん、3Dプリンターで作成された。

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上のパーツが実際に試用されている部分のアップ。

 なぜ、3Dプリンターを用いるとコストを削減できるかというと、ご存じの方も多いかとは思うが、パーツの作成において金型が不要になることが大きい。それにより、イニシャルコストを低減できるというわけだ。

 もちろん、大量生産をする場合は金型を作った方が安くなるわけだが、企業や自治体によっては、数台、もしかしたら1台のみマイクロEVを輸送用途に使いたい、というような場合もあり得る。

 そうした場合、多品種少生産に向いているのが3Dプリンターであり、金型を作らなくていいのでそれだけイニシャルコストを低減させられるというわけだ。

 共通パーツとなるプラットフォーム部分をホンダが供給し、外装デザインや荷室などの構造などは企業や自治体など、それぞれの用途に応じた形で3Dプリントなどを行っている企業が行い、数台ずつ、場合によっては1台からといった生産できるというわけだ。

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左がオリジナルのMC-βで、右が今回の「豊島屋モデル」。コックピットが同じなのがわかる。

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3Dプリンターを使うさらなるメリット

3Dプリンターにより「アジャイル型」開発が可能に

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3Dプリンターで製造された豊島屋の3Dロゴ。MC-β「高島屋モデル」の荷室左右にある。

 また、3Dプリンターによって1/1モデルの確認を行える点も大きい。これにより、デザインからモデル製造までのコストに加え、時間も圧縮可能となる。

 従来の開発プロセスは「ウォーターフォール型」といわれ、設計→試作→評価と、滝が落ちるように段階を追って進めていき、もし評価で大きな問題が発覚して上流の設計にまで戻るとなると、かなりの手間とコストが発生してしまう。

 それに対し、IT業界で一般的気になった「アジャイル型」開発が、可能になるという。アジャイル型は、設計→試作→評価を並行し、小サイクルを短期間で反復させることで、現場により即したプロダクトの提供が可能になるという手法だ。

 3Dプリンターを活用することで俊敏に試作を行えることから、開発期間の短縮が可能となり、結果としてコストも削減できるようになるというわけだ。

MC-βベースのマイクロコミューター「豊島屋モデル」

 なお今回の展示では、「鳩サブレー」で知られる、鎌倉豊島屋のためのデザインおよび配送用の機能が施された、MC-βのプラットフォームを用いたマイクロコミューター「豊島屋モデル」が3Dプリンターで製造された。

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マイクロコミューター「豊島屋モデル」を後方から。黄色のマークは豊島屋のロゴ。背部の唐草模様的なハッチを開けると、配送時や出し入れする際の利便性などを考慮した設計になった荷室となっている。

 豊島屋モデルが製造された理由は、MC-βの活用事例を探していたホンダと、地元・鎌倉で配送業務に使える、環境に対応した小型で取り回しのいい車両を探していた豊島屋との希望が合致したというところにある。

 鎌倉はご存じの通り観光都市であり、環境対応が求められていることがひとつ。それなら軽トラックでも十分では? と思うかもしれないが、同市は坂が多いことも特徴的だが、古都らしく入り組んだ細い道が多い。

 よって、環境対応のEVであり、なおかつ取り回しのいい超小型モビリティであるMC-βが最適だったというわけだ。

 エクステリアデザインや荷室を豊島屋オリジナルにしたのは、MC-βはバリアブル デザイン プラットフォームとオープンイノベーションを発表時点から掲げているからであり、今回が第一号、というわけだ。

 なお、エクステリアデザインは、豊島屋のロゴや、鎌倉という古都にマッチするようなやさしさを考慮したものとなっており、デザインから設計、3Dプリント製造までをすべてカブクが行った。

 豊島屋モデルが実際に鎌倉の街中を走り出すのは、2017年の前半になるそうで、1台が導入される予定だ。

 今後、こうした自社オリジナルデザインと、そして業務に合致させた機構を持った、MC-βをベースとした超小型モビリティが配送業務で活躍するようになっていくかも知れない。

2016年10月11日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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