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最終更新日:2016.08.09 公開日:2016.08.09

【動画あり】MEGA WEB同乗試乗レポ第3弾「i-ROAD」

i-ROADの前2輪は、コーナリングで独立して上下動して車体を制御するので、まるで動物の足のように見える。

 トヨタがお台場で運営する無料のクルマ・テーマパーク「MEGA WEB」での同乗試乗レポート・シリーズ第3弾は、実際に公道での試験も始まっている同社の最新パーソナルモビリティ「i-ROAD」だ。

 MEGA WEBでは、7月に期間限定でi-ROADの同乗試乗会を実施。その参加体験と、今回、自分で運転しての試乗もできたので、その感想も踏まえながらドライブフィールをお伝えする。

 また、今回の記事で使用した画像や、未掲載の画像を含めたフォトアルバムも用意。サイズは一回り大きい900×600で、全16点。こちらからご覧いただきたい。

 さて、これまで2つのMEGA WEB同乗試乗レポートシリーズをお伝えしてきたが(「なめていてごめんなさい! フォーミュラ・トヨタのあり得なく凄い、同乗試乗レポ その1」、「記者、MEGA WEBでまたもや仰天。同乗試乗レポ、今度はVitz!」)、どちらもモータースポーツ系の車両だった。しかし、今回のi-ROADはまったく異なる。

トヨタは2003年からパーソナルモビリティを開発してきた

 トヨタは2003年に発表した「PM」に始まり、「i-unit(アイ・ユニット)」(05年3月)、「i-swing(アイ・スウィング)」(05年11月)、「i-REAL(アイ・リアル)」(07年)、「Winglet(ウィングレット)」(08年)と長らくパーソナルモビリティを開発してきてきた。i-ROADはその流れを受けて、13年にスイス・ジュネーブ・モーターショーで初披露となった最新モデルである。

左上からPM、i-unit、左下に移ってi-swing、i-REAL。先代たちはi-ROADとはかなり雰囲気が異なる。

 Wingletのみは、ソニーが開発していたところを途中から引き継いだという経緯もあって、セグウェイに似た立ち乗り型という具合で異色となっているが、それ以外は着座型である。

“モリゾー(トヨタの豊田章男社長の別名)”専用スペシャルカラーのWinglet。右が初心者向けのType Lで、左が中級者以上向けのType S。Wingletは、Type LならいつでもMEGA WEBで無料体験が可能で、お台場を走る屋外実証実験も定期的に実施中。

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i-ROADは実際に公道を走れるパーソナルモビリティ!

i-ROADは公道での走行も試験中で、市販化まであと少し!?

 過去のトヨタ製パーソナルモビリティのPMからi-REALに至るまでは、1人乗りのクルマ、もしくは走るリクライニングチェアといったイメージだった。しかし、i-ROADは前2輪後1輪という点はi-REALから引き継いでいるが、ご覧の通りに外見はバイクの雰囲気が強く、これまでとは一線を画すのが特徴だ。

i-ROADはi-REALからリバーストライクの車輪構成を引き継いでいるが、大きくイメージは変わっている。

 これまでのi-REALまではサスペンションを備えておらず、屋外で利用するのには不向きだった。一方、i-ROADはサスペンションを備え、ウィンカーやブレーキランプ、ヘッドライトなども備えていて、公道での走行を前提にしている。

i-ROADを後方から。ボディーカラーはグリーン、ブルー、ピンク、イエロー、ホワイトがある。

誰でも利用可能なレンタルサービスでも試乗できる

 すでに国内外で実証実験が行われており、現在国内で進行中なのは、2015年7月から渋谷区および世田谷区において行われている実証実験「OPEN ROAD PROJECT」だ。

 こちらは一般の方や有識者、クリエイターなど100名にi-ROADを貸与し、その評価を行ってもらうというもの。よりi-ROADの実用性を高めるべく、街中を走ってもらって意見を収集しているのである。

 また、乗り捨て可能な小型EVレンタルサービス「Times Car PLUS x Ha:mo」でも乗ることが可能だ(こちらも実証試験を兼ねたサービス)。トヨタ車体の超小型1人乗り用EV「コムス」と共に採用されており、同サービスの有料会員となれば誰でも使用料を払って利用することが可能だ。

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i-ROADはどんなパーソナルモビリティ?

バイクに見えるけど操作系はクルマ

 i-ROADは一見するとバイク風だが、前2輪・後1輪のリバーストライク、つまり3輪車である。道路交通法上はミニカーで、運転には普通免許が必要。二輪車の免許では乗ることができない。また、道交法上はほぼ普通自動車と同じなので、ヘルメット着用の義務はない。

 運転系も、ステアリングがあって、足下にアクセルとブレーキのペダル類が用意されており、完全にクルマ型。バイクやオート3輪のようなバー型のハンドルではない。

 また、これまでのトヨタのパーソナルモビリティは1人乗り用だったが、今回のi-ROADで初めて2人乗り(タンデム)が可能となった。

運転席周り。後席へは、運転席を前にスライドさせて乗り込む。

 スペックは以下の通り。

全長:2350mm
全幅:850mm
全高:1445mm
ホイールベース:1700mm
空車重量:300kg(積み荷、乗員などを除いた重量)
タイヤサイズ
 フロント:80/80R16
 リア:130/70R10
乗車定員:2名
最小回転半径:3.0m
パワートレイン:電動モーター(2kw×2個)
最高速度:時速45km
1充電走行距離:50km(時速30kmでの低速走行時の目標値)
バッテリー:リチウムイオン電池

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まずは後席で同乗試乗!

ちょっとがんばればデカ物でも後席に乗れる!

 というわけで、まずは同乗試乗ということで、後席に乗ってみる。本来、同乗試乗イベントでは身長170cm以下が条件なのだが、身長183cm・体重78kgの体格で、無理矢理乗らせてもらった。

 乗る前は、後席に自分が入るスペースがとてもないような気がしたのだが、なせば何とかなるもので、少々無理矢理だったが身体を押し込むことに成功! 人間、意外と無理そうに思えても入り込めるのを実感。

後席から撮影。レポ第1弾で、フォーミュラ・トヨタの後席に乗り込む際に苦労したのに比べたらとても楽だった。

 走り出すと、加速時はモーター音がするが、当たり前だが内燃機関のエンジンに比べたら静かである。最も大きな音といえば、アクセルをオフにしたときの回生音。EVらしく回生システムを搭載しているのだ。

 後席に乗っての同乗走行のコースは、ライドワンの半分を使用。MEGA WEBの中核施設の「トヨタ シティショウケース」とつながったピットから西側へとストレートを進み、MEGA WEBの3施設の内で最も西側にある旧車再生とその展示を行っている「ヒストリーガレージ」の前にある噴水の周囲をぐるりと回って、ストレートを反対車線でピットまで戻ってくるという形だ。

 ピット前まで戻ってくると、そこには障害物が設置されており、スラローム走行をする形になっている。

 なお、通常のトヨタ車の試乗や、これまで紹介してきたモータースポーツ系の同乗試乗会では、MEGA WEB東側の施設である「ライド スタジオ」の方まで行くのだが、今回はそこまでは行かないショートコースである。

今回走ったのは、中央のピットから左側にかけて。画像はMEGA WEB公式サイトより抜粋。

コーナーでの傾き具合がすごい!

 後席に乗ってみて、2人乗っているにもかかわらずモーターがトルクフルなので加速でもたつくような雰囲気もなく、爽快だ。特徴的なのはやはりコーナリング。車体がかなり傾くので、やはりバイク的な感覚が強い。しかし、転びそうで転ばないのがすごい。

コーナリングでのこの傾き具合はクルマにはないもの。i-ROADの走りはバイク的な一面を持つ。

 この旋回時の仕組みは、旋回Gに合わせて前の2輪を独立して上下させ、車体の傾きが最適になるよう自動的に制御する「アクティブリーン機構」という。同機構により、「大丈夫なの?」と不安になるぐらい車体を傾けても、まったく安定感を欠くことなく平然と走って行けるのだ。

 パーソナルモビリティは、大きな視点で見るとロボットの1種とされているのだが、こうしたハイテク制御を搭載していることを考えれば、それも納得できるというところだろう。

後席から撮影した同乗試乗の様子。

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続いては運転席の様子を紹介!

運転の仕方はクルマそのまま

 続いては、いよいよ実際に自分でも運転させてもらうことに。スペース的には、後席に比べればまったく問題なく、記者のような大柄な体格でも問題なく乗り込める。

 運転系で、一般的なクルマと少し違うのはウィンカーレバーが左側にあるところ。国産車ではワイパーレバーがある位置だ。ただ、右側にはレバーがないので間違える心配はない。

スピードメーターや電池残量メーターなどは、中央奥の液晶パネルに表示される。

 また、ギアを変えるシフトノブやセレクターはなく、左側に上から「R」、「N」、「D」の3つのボタンがある。「P」ボタンはなく、足下のパーキングブレーキを踏むだけだ。

ギアのセレクターはなく、ボタンを押して行う。「L」はない。

 コックピット周りはかなりスペース的に切り詰められているので、カーオーディオやカーナビなどはない。

USBのコネクターがあるので、スマートフォンの充電が可能。カーナビとして使うこともできそうだ。

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いよいよ自分で走ってみることに!

グリップしているはずなのにドリフトしてる!?

 というわけで、いよいよ走ってみる。コースはピット前周辺だ。下の動画が、走りながら撮影したもの。

速度を抑えて、ゆっくりとピット前の直線やスラロームを走ってみた。

 自分で運転してみてとにかく不思議なのが、やはりコーナリング。後席に乗っているときはその斜め具合のすごさに意識がいっていたが、自分で運転してみると、それよりもコーナリングでの独特の感覚で不思議な気持ちになった。

 例えていうなら、グリップしているのにドリフトしているような感覚といったらいいだろうか。スキーの感覚にもよく例えられる、i-ROADならではのコーナリングである。

 どういうことかというと、ドリフトしたとき、ドライバーはタイヤが滑っている感覚をシートから腰(お尻)を通して感じ取るわけだが、i-ROADでコーナリングすると、シートから車体が外側に流れているようなドリフトと同等の感覚を受ける。

 しかし、最高速でも時速45kmなわけで、まして試乗したときのように時速30km以下で走っていたらドリフトをするわけがない。それに、タイヤがきっちり路面をグリップしている感覚もある。

 どうやら、ドライバーにドリフトしているように錯覚させる何かがあるようなのだ。

 その大きな理由のひとつと思われるのが、フォークリフトなどと同様の後輪操舵になっていること。

 後1輪が操舵しているので、前2輪が操舵する普通のクルマや、前輪が操舵するバイクなどとはまったく違った挙動を示すのである。

後輪操舵により、クルマはもちろんバイクでもない独特のコーナリング感覚が生じる。

 それから、後輪操舵に加えて、アクティブリーン機構による車体制御も大きいはず。

 前輪の内でコーナーの内側になる方は大きく縮み、外側は逆に伸ばす形で、車体のバランスを取っている。よほど無理矢理倒そうとしない限りは倒れないそうだが、これもまたかなり独特の感覚をドライバーにもたらしているはずだ。

 それらの組み合わせにより、実際の進行方向と車体=自分の向きにズレが生じるというか、少なくともドライバーがそう錯覚してしまうようで、ドリフトしているような車体(特に後輪)が外側に流れている感覚を味わってしまうというわけだ。ともかく不思議でたまらない。

外からi-ROADの走りを撮影。特にカメラ前を通り過ぎて反対車線に移るときの旋回時、そして反対車線からピット前に戻ってくるときの旋回時は注目。後輪操舵やアクティブリーン機構の動きがよくわかる。

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i-ROADが市販化されるのはいつ?

カラーバリエーションは、ここまで紹介した4色以外にホワイトもある。

 乗ってみて、通勤でクルマに1人で乗っている人たちがもしみんなi-ROADのようなパーソナルモビリティに乗り換えたら、渋滞や環境問題の面で大きくプラスになるだろうなというのを強く実感した。

 確かにセダンなどの通常のクルマに比べたらプライベート空間としては狭いのは事実だが、それよりも何よりも走っていて楽しい! というのもある。通勤や近場での取材に使って気軽に移動してみたいとも思う。

 ちなみに、実際に市販されるとなったときの車両価格だが、今のところは未定だ。

 しかし、普及させることを考えると、軽自動車と同等の100万円近くまでいってしまうと、なかなか難しそうな気がする。

 50ccスクーターと軽自動車の中間の50万円を切るぐらいか、可能ならそれよりももう少し下の40万円前後とかの価格設定だと、魅力的だと思うのだが、いかがなものだろうか?

 あとは、どれだけ世間一般にこの新しいカテゴリーであるパーソナルモビリティが便利であるし、エコ的な面でも優れているかということを認知させる必要がある。

 駐車場の観点で見ても、クルマよりは小さいがバイク用ではちょっと狭いので、専用のスペースを設ける必要があり、普及のためにクリアすべき課題はまだある状況だ。

 とはいっても、実証実験とはいえ、i-ROADのように、パーソナルモビリティが徐々に公道で走り出していることは紛れもない事実。

 市販されたi-ROADなどが当たり前のように走っている時代は、徐々に夢物語ではなくなってきているのだ。

有楽町イトシアのTimes Car PLUS x Ha:moの駐車スペース。i-ROADやコムス専用だが、クルマ2台分でコムスは3台、i-ROADは4台とめられる感じ。

2016年8月9日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

フォトアルバム

トヨタ「i-ROAD」(サイズ900×600:全16点)

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外部リンク

MEGA WEB
Times Car PLUS x Ha:mo

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