日産のEV「ブレードグライダー」がオリンピックに!
まさに突き刺さりそうなデザインの「ブレードグライダー」。リオ五輪で展示と試乗が行われている。
日産は8月4日、2013年の第43回東京モーターショーで同社が発表した、スポーツタイプEVのコンセプトモデル「ニッサン ブレードグライダー」のプロトタイプ2台をブラジル・リオデジャネイロにて公開した。
ブレードグライダーのコンセプトは、効率的で高揚感のあるEV、静粛性の高いエレクトリックパワートレイン、高性能なデルタ翼航空機のように空力性能に優れた形状がもたらす「滑空するように走るクルマ」だ。
まるで矢のような刺さりそうなデザイン!
その特徴は、幅の狭いフロントトレッドと、高い空力性能と安定したハンドリングを実現する幅広のリヤトレッド、そして車体中央に配置した運転席と、運転席後方左右に後席を配した3シーターレイアウト。
さらに、後方に開く形の二角面ドア、ロールオーバープロテクション構造によって補強されたオープンルーフ、どの座席からも景観を眺めやすい継ぎ目のないウィンドスクリーンなども大きな特徴だ。
それらにより、クーペの安全性を確保しながら、フォーミュラーカーのような外見を持ったデザインとなっていて、実際にフロント部分はF1のノーズを思わせる形状である。
デザインは、日本の厚木センターと、ヨーロッパのデザインセンターの共同作業だそうだ。
3シーターで近未来的なコックピット周り
ドアをオープンした様子。
運転席周りは、ブレードグライダー専用のステアリングコントローラーが装備され、バッテリー残量、速度、回生モード、トルクマップなどが表示される。
そのセンターディスプレーの左右にもスクリーンがあるが、それは後方視界用のもので、ドアミラーの役割を果たす。ブレードグライダーでは空力性能を上げるため、ドアミラーは廃されており、その代わりに左右のフロントホイール後方にカメラが備えられている仕組みだ。
ブレードグライダーの運転席周り。ドアミラーレスで、代わりに左右の後方視界はカメラが左右のスクリーンに表示。
バッテリーとモーターはF1のウィリアムズ製!
真横から。ルーフ部分が開いているのがわかりやすい。
そしてパワートレイン系には、F1チームとして有名な英Williams Advanced Engineeringが開発したバッテリーおよびモーターを採用。
モーターは左右のタイヤに130kWのものが搭載されており、EV車ながら最高時速190km以上をマークする。さらに、走り出しから5秒で時速100kmに到達できるパフォーマンスを実現した。
その上、単にトップスピードや加速力を追求しただけでなく、ハンドリングを向上させるためのシステムも搭載している点も見逃せない。
被駆動輪に伝わるトルクをコントロールするためのシステムにより、例えばアンダーステアが発生した場合でも、より大きなトルクを自動的に外側の駆動輪に送り込むことでアンダーステアを抑制できるようになっている。
同ステムはトルク制御だけでなく、運動性能の向上も目的としており、「agile(敏捷)」、「drift」、そして同機能を切る「off」の3モードに切り替えることが可能だ。
インテリアに関しては、スポーツカーらしく3席ともすべて4点式シートベルトを装備。シートには丈夫で滑りにくい素材が採用されている。
またシートやボディの縁取りなどが2台ではカラーリングが異なり、画像のステルスオレンジのほか、サイバーグリーンも用意されている。
「ブレードグライダー」のスペック
ブレードグライダーのリアビュー。
なお、スペックは以下の通り。
全長×全幅×全高:4300×1850×1300mm
ホイールベース:2800mm
車両重量:1300kg
最高出力:200kW(268hp)
最大トルク:707Nm
最高速度:時速190km以上
日産インテリジェント・モビリティの拡充を目指す1台!
同社社長のカルロス・ゴーン氏は、同車に対して、運転の楽しさを追求すると同時に環境に対する責任を果たす「日産インテリジェント・モビリティ」の拡充を目指す、同社の意気込みを表すものとした。
また、ゼロ・エミッションの将来を待望しているクルマが好きな顧客に対し、同車は完璧なEVであると確信しているともコメントしている。
ブレードグライダーを発表するカルロス・ゴーン社長。
今回公開された2台のプロトタイプは、1台がオリンピック・パーク内に常設展示され、もう1台がメディアやVIPの試乗に使用する予定だ。
なお、今のところ日本での試乗できるようなイベントは未定。そして市販に関しては、あくまでもコンセプトカーなのでいまのところは計画されていないそうである。
2016年8月10日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)