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クルマ最終更新日:2018.09.13 公開日:2018.09.13

住民も参加してのドローンによる被災地実態調査

 急速に普及してきたドローンだが、被災地の実態調査への活用も模索され始めている。2018年9月15日(土)・16日(日)・17日(月)には、広島市・呉市など、広島県内3か所でボランティアによる被災地でのドローン調査が実施される。16日の調査には被災地の住民も参加し、ドローンの撮影した映像を見ながら、リアルタイムで状況を確認。後日、調査に基づく避難計画を立案した上で避難訓練なども行う。なお、この調査は一般社団法人ドローンシティ協会と、一般社団法人日本防災教育振興中央会(以下、防教中央会)、そして広島工業大学田中研究室が共同で取り組むものとなる。

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広島県内3か所で実施されるドローン調査。一部住民も参加して避難計画などが立案される。※写真はイメージ

被災地・広島で不安を抱える住民の声がきっかけ

 西日本豪雨で被災した広島県だが、すでに多くの住民が避難所から帰宅している。一見、平静を取り戻したかに見えるが、被災者たちの不安が消えたわけではない。ひろしま県防災教育振興協会(以下、ひろしま防教)は、被災住民を訪ね心境などをヒアリングしたところ「このまま生活を続ける中で、次に大雨に遭遇したら、一体どうなってしまうのか」という不安の声が多く聞かれたという。

 こうした状況を踏まえ、ひろしま防教の全国組織である防教中央会と、ドローンの活用を目的として設立されたドローンシティ協会、そして以前から広島での水害対策を研究してきた広島工業大学の田中准教授の3者がタッグを組むことに。ドローンによる被災地の現地調査を共同で行うことを決め、今回のプロジェクトが実現する運びとなった。

豪雨災害が及ぼす3つの影響を3か所で調査

 この調査の目的は2つ。ひとつは、被災地で2次被害および再被害が予測される場合、緊急性を要する地域の調査結果をいち早く伝えること。2つ目は、次の大雨に備えた避難計画および避難訓練を実施し、さらなる被害を軽減することにある。

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矢野東七丁目地区のドローン飛行計画。住宅密集地での土砂崩れの実態について調査が行われる。

■調査概要■
ドローンによる被災地調査。豪雨災害が今後及ぼす影響として要素を3つに絞り込み、以下の3か所で調査を行う。※雨天時は順延。

【調査1】
ダム放水と下流域での因果関係の証明
・日時:9月15日(土)14~16時
・場所:呉市安浦地区野呂川ダム周辺

【調査2】
住宅密集地での土砂崩れの実態調査と、調査結果を基にした避難計画の策定
・日時:9月16日(日)10~12時、13~15時
・場所:広島市安芸区矢野東七丁目地区

【調査3】
復旧や流通に影響の大きい主要道路の再被害予測調査
・日時:9月17日(月)10~12時
・場所:山陽自動車道志和トンネル東口

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写真は矢野東七丁目地区。このエリアの調査では住民立会いの下、被災地上流部の映像がリアルタイムで解析される。この写真はドローンによるものではないが、調査当日にはドローンでの撮影が行われる予定だ。

実態調査に基づく避難訓練をモデル化し、広域展開

 ドローンシティ協会と防教中央会は、今回の住民参加による実態調査や避難訓練を通して、災害可能性の予測と発災時の適切な対応により被害を極小化するためのモデルを策定。西日本豪雨による他の被災地や、甚大な水害リスクの高い地域へと同モデルを展開する予定だ。

 近年、自然災害が頻発する中で、被災地調査にドローンを導入する取り組みが進みつつある。これまでの活用事例としては、2016年4月の熊本地震や2017年7月の九州北部豪雨などの被災後に、行政や民間企業などが単独で行った調査が知られている。今回の調査は、行政・企業・研究機関が共同で実施。さらに、当事者である被災住民も参加することで、具体的な避難計画や避難訓練まで結び付けられることが期待されている。

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