2017年12月26日 15:50 掲載

くるナンデス 【菰田潔の、目から鱗のタイヤの話】2
重要!「空気圧」が正しくないと、
クルマはまともに走らない。


空気圧チェックをしてもパンクが怖いときは?

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 最近ランフラットタイヤを採用するクルマが増えてきた。ランフラットタイヤは空気圧がゼロになっても、80km/h以下で80kmの距離(車種によってはそれ以上)を走れるというものだ。

 ランフラットタイヤを装着すると環境性と安全性をより高めることができる。

 環境性という意味では、スペアタイヤの搭載をしないことで、クルマの中のスペースを広くすることとスペアタイヤを運ぶ無駄をなくすことができる。

 ドライバーがパンクを経験するのは、俗に8万kmに1回とか8年に1回といわれている。5〜6万kmでクルマを買い換えるという人は、一度もスペアタイヤを使わずにクルマを売る可能性も高いわけだから、その使用期間はスペアタイヤに無駄なスペースを取られ、無駄な重量を運んでいたことになる。またスペースセーバータイヤやテンパータイヤと呼ばれるスペア専用のタイヤを搭載しているケースもあるが、これらのタイヤのほとんどが1mも走らずに廃棄されているという事実もある。

 パンク時の応急処置のためにスペアタイヤを搭載するというのは、環境性という意味では好ましいことではないことが、これらの事例からお分かりいただけるだろう。

 では、ランフラットタイヤがどう安全性に貢献するのかを説明しよう。雨が降る夜に高速道路でパンクしたとすると、通常は暗い路肩にクルマを止めてタイヤ交換しなくてはならない。これは非常に危険な行為ということは上述したが、そんなときでもランフラットタイヤなら次のICかSA・PAまで行くことができる。つまり、危険な路上でのタイヤ交換作業をしなくても済むというのが大きく安全性に貢献しているといえる。

 ただ、いかにランフラットタイヤが良いといっても、どんなクルマにでも装着できるわけではない。クルマ側の装備も必要だ。それは空気圧低下を検知するシステムだ。 その多くはABSの回転センサーを使って空気圧の低下をドライバーに知らせる。空気圧が低くなると実際に回転するときのタイヤ径が小さくなるから、他の3輪よりも回転数が多くなることで差をセンシングするものだ。30kPa(0.3kgf/cm2=0.3bar)くらい低下するとアラームで知らせてくれる。これは4輪全部が同じように減っていくケースでは対応できない。

 最新の車はそれも対応できるようになった。ホイールに空気圧センサーが付いているタイプで、走行中でも1輪ずつそれぞれの空気圧を運転席にいながらにしてチェックできる。ちなみにこの仕組みは、ランフラットタイヤを履いているわけではないが、たくさんタイヤが付いている大型トラックなどでもすでに採用されている。

2017年12月26日(モータージャーナリスト 菰田潔)

菰田潔(こもだきよし):モータージャーナリスト。1950年生まれ。 自動車レース、タイヤテストドライバーを経て、1984年から現職。日本自動車ジャーナリスト協会会長 / 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員 / 一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)交通安全・環境委員会 委員 / 警察庁 運転免許課懇談会委員 / 国土交通省 道路局環境安全課 検討会 委員 / 一般社団法人 全国道路標識・表示業協会 理事 / NPO法人 ジャパン スマート ドライバー機構 副理事長 / BMW Driving Experienceチーフインストラクター / 運送会社など企業向けの実践的なエコドライブ講習、安全運転講習、教習所の教官の教育なども行う。

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