2017年12月26日 15:50 掲載
くるナンデス
【菰田潔の、目から鱗のタイヤの話】2
重要!「空気圧」が正しくないと、
クルマはまともに走らない。
空気圧低下の悪影響
空気圧の指定は車種によって異なり、同じ車種でも上写真のようにタイヤサイズや乗車人数によって細かく分けられている場合もある。では、空気圧が低いと何がいけないのか。実はクルマにとって悪いことだらけなのだ。ひとつひとつ具体的に説明しよう。
燃費
空気圧が低くなるとタイヤの転がり抵抗が増えて燃費が悪くなる。自転車に乗れば体験できるが、空気圧が低いタイヤより高いタイヤの方が楽に走れるのと同じことだ。空気圧が低いとタイヤが回転したときにゴムの変形が大きいからそこでエネルギーを消耗してしまうのだ。
摩耗
空気圧が低いとゴムの摩耗も早くなる。路面との接触面でゴムが動いてしまい、そこが擦れるとゴムが減るからだ。溝が早くなくなればタイヤ交換を早くしなくてはならない。つまり出費が増えるわけだ。損をしないためには正しい空気圧に合わせておくことだ。
ブレーキ
空気圧が低いと急ブレーキのときに制動距離が伸びてしまうこともある。タイヤのグリップが弱くなるからだ。全体の接地面積が増えるのは良いのだが、ブロックが変形しやすくなり、結果として強いグリップを発揮できなくなるからだ。
安定性
空気圧が低いと、クルマの重さを支えているタイヤのサイドウォール(側面)がたわみやすくなるから、カーブを曲がっているときに、車が不安定になりやすくなる。
乗り心地
タイヤが車重を支えることや路面の凹凸を吸収して快適性を高めることも重要な役目だ。空気圧が低いとタイヤがソフトになって乗り心地がよくなると思うかもしれないが、実は車体が無駄に動く量が増えて快適性が低下することもある。タイヤは上下方向にはたわみやすいが、その動きを抑える機能はタイヤにないので、揺れが大きく、かつ多くなることもある。大きな段差ではタイヤが全部つぶれて強い衝撃が伝わるだけでなく、縁石などでタイヤのサイドウォールが切れてしまうこともある。
以上、空気圧が低いとこれだけ悪いことがたくさんあることが分かったと思う。
逆に空気圧が高すぎるとどうなる?
それなら空気を余計に入れておけばいいと考えるドライバーもいる。しかし空気圧が高いことによるデメリットも生まれることを知っておかなくてはならない。摩耗に関しても路面と接するトレッド面の全体がうまく接地できなくなり、タイヤの真ん中あたりから局所的に減る、いわゆるセンター摩耗になる。ブレーキ性能も必要以上に空気圧が高いと接地面積が減ってしまうことでグリップ低下により制動距離が長くなることもある。グリップ低下はカーブでも影響が出て、不安定になりやすくなることもある。空気圧が高いとタイヤが調度いい具合にたわみにくくなって、ポンポン跳ねるような感じになり乗り心地が悪くなる。
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