優秀なハイブリッド車はどっち? 「ホンダ・フィット e:HEV RS」と「ルノー・ルーテシア エスプリ アルピーヌ」を乗り比べ! 欧州では立場が逆転する理由とは?
転居先の機械式駐車場が狭すぎたため、BMW1シリーズからホンダ フィット e:HEV RSへ乗り換えることにした、自動車ジャーナリストの山崎 明氏。ついにフィットを購入するものの、納車後に気になっていたモデルの国内導入が決定。これは乗り比べるしかない!
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目次
マイチェンしたルノー・ルーテシアのエスプリ アルピーヌ仕様が気になる!
なぜ私は愛車のBMW 1シリーズを手放すことになったのか、という記事から始まった私の車買い換えプロジェクトだが、最終的にはホンダ・フィットe:HEVのRSグレードということで決着した。買い換えのきっかけは転居したマンションの駐車場が狭かったからだが、それ以前から買い換え候補として狙いを定めていたのは、ルノー・ルーテシア エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECHだった。
購入検討時点でルーテシアのフルハイブリッドE-TECHは販売中だったが、日本ではまだマイナーチェンジ前のモデルが販売されていた。欧州では2年前の2023年にマイナーチェンジが行われており、フロントデザインが大きく変更されると同時にエスプリ アルピーヌ仕様が追加されていた。
その情報を知っていたので、せっかく買うなら「アルピーヌ」のロゴの入ったものが欲しいと思い、旧モデルを買う気にはなれなかったのである。それが2025年の10月になって、ようやくマイナーチェンジモデルが日本でも発売されることになり、エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECHが導入されたのである。
もう既にフィットを買ってしまったので後の祭りではあるのだが、当然気にはなるので、借りだして試乗をしてみた次第である。
ルノー・ルーテシア エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH|Renault Clio full hybrid E-Tech version esprit Alpine
欧州でのフィットとルーテシアの市場価格がスゴイことに
フィットとルーテシアは同じBセグメントに属し本来は競合関係にあるのだが、日本ではその位置づけは大きく異なる。
フィットは頻繁に見かける量販車だが、ルーテシアはとてもマイナーなフランス車だ。輸入車ゆえ価格には大きな差があり、ホンダ・フィットe:HEV RSが261万6900円なのに対し、ルーテシアは399万円もする。100万円以上の価格差だ。
やはり輸入車は高いと感じるが、実はこのルーテシアの価格、大バーゲンなのである。本国フランスで同じ仕様の車を買おうとすると28,300ユーロ、日本円に換算すると516万円になるのだ。つまりフランスで買うより100万円以上安く買えるのである!
しかし、欧州でのフィットの価格を調べると驚愕の結果となる。
欧州仕様のフィット(現地ではJAZZという名で売られている)で日本のRSグレードに近い佇まいのADVANCE SPORTというグレードの価格は31,240ユーロ(フランスの場合)とルーテシアよりもかなり高く、日本円にすると570万円となる。なんと日本の価格の倍以上だ。日本人は本当に恵まれているのである。
ホンダ フィット e:HEV RS|Honda FIT e:HEV RS
いざ試乗! 乗り心地対決は意外な結果に?
フィットに慣れた身体でルーテシアに乗ると、まず驚かされるのがステアリングの感触だ。フィットに比べると重いが、とても剛性感があり頼もしく感じる。
しかし街中での走りっぷりは結構よく似ていて、信号からのダッシュはどちらも電気モーターらしい俊敏な加速で楽しい。
ルノー ルーテシア エスプリ・アルピーヌ|Renault Clio Esprit Alpine
ホンダのe:HEVシステムとルノーのフルハイブリッドE-TECHは全く違うシステムで、エンジンは発電に徹して電動で走行し高速時だけエンジン直結走行となるe:HEVに対し、フルハイブリッドE-TECHは複雑なギアボックスを持ち、エンジンと電気モーターとを協調して、なんと12通りもの走行モードを切り換えて走らせている。
ルーテシアのメーターにはエネルギーフローを表示できる画面もあるのだが、単純化しすぎているため実際の作動状況は良くわからない。逆にいうと、複雑な機構にもかかわらず変速も含め走りは極めてスムーズで、ほとんど気にならないともいえる。
高速道路、ワインディングロードではやはりフランス車の良さが光る。市街地ではちょっと堅さを感じたサスペンションは高速ではフラット感を増し、小型車とは思えない安定した走りとなる。
ワインディングロードではフロントタイヤの接地感が非常に良くステアリングに伝わり、安心して飛ばすことができるし、エンジン音は純粋なエンジン車に近い感覚で心地よい。フィットも高速安定性・操縦性とも悪くなくそれゆえ選んだのだが、こうして直接比較するとフランス車の良さが目立つ結果となった。
ハイブリッド車として燃費や使い勝手、そして総合評価は?
ハイブリッド車といえば燃費が気になるが、今回は両車で藤沢から御殿場まで高速道路を使わないルートで往復してみた。134号線で二宮まで、それから県道71/77号線で大井松田まで、そして246号線で御殿場までというルートである。
平日なら渋滞がなくとても好燃費が期待できるルートだが、フィットは31.5km/Lをマークした。一方ルーテシアは28.6km/Lという結果となった。ルーテシアはハイオク指定なので、燃料代もあわせて考えるとフィットの完勝なのだが、走りの良さも合わせて考えるとルーテシアは思ったよりも健闘したと言えるだろう。欧州製ハイブリッドとしてはダントツの燃費であろう。
フィットの燃費は31.5km/Lをマーク
ルーテシアの燃費は3.5L/100km=28.6km/Lだった
一方、一般的な車の使い勝手としてはフィットの圧勝である。
まず室内が断然広い。身長178cmの私のドライビングポジションでも後席の膝回りは余裕綽々だが、ルーテシアはあまり余裕がない。トランクルームはルーテシアの方がやや大きいが、フィットはリアシートのアレンジが豊富で様々な荷物が積みやすい。
ナビゲーションシステムもルーテシアは車載のものはなく、Apple CarPlayやAndroid Autoでスマホと接続して表示させるしかないが、フィットは専用ナビを選べてOTAで最新の地図データに更新できる。使い比べるとやはり専用ナビの方に一日の長があり、フィットはApple CarPlay/Android Autoにも対応しているのでスマホ接続のナビも表示可能だ。
トータルで考えると走りのルーテシア、総合力のフィットという結果となる。もし1台しか所有できないのであれば運転好きの私としてはルーテシアにかなり惹かれる。
しかし私は運転を楽しむため(だけ)の車、マツダ・ロードスターも所有しているのだ。価格差、実用性、燃費も含めた維持費を考えるとフィットのコストパフォーマンスはすばらしく、判断は間違っていなかった、と考える次第である。
ホンダ フィット e:HEV RSの内装。アクセントに使われたイエローのステッチも気に入っている




